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授業探検隊[全員野球ならぬ全員学習!?解答共有と対話重視の授業設計で、クラス全員が学習を深めている高校一年生の授業]

[学校紹介]

今回取材したのは山手線のとある駅から徒歩5分という好立地の学校。「なになに、僕もインタビューしてほしいなあ」と授業見学へ向かう途中の廊下で出くわす生徒たちの元気がいい。休み時間と授業のメリハリが学校全体の活性を表していた。そして授業中も全員参加の時間と、個人の集中時間の雰囲気の違いに、筆者は目を見張った。

授業が始まると廊下には静寂が、教室内にはメリハリが充満した

今回お邪魔したのは、、、
教頭の経験も持つ伊藤先生による"高校一年生"の"国語"の授業である。突如のお申し出にもかかわらず快諾してくださった伊藤先生と、一年生の生徒の皆さんには感謝でいっぱいだ。授業を見て、これは国語の授業といっていいのだろうかと違和感を受けた。それは筆者が受けてきた国語の授業とは一線を画すものであったからだ。そしてその違和感は後半で驚きと納得に昇華していくことになる。

[時間細分表]


今回の筆者計測の当日の時間細分表は以下の通りであった
(もちろん取材時の実測値のため授業日によって異なることがあることとご理解いただきたい)
※この日は短縮授業40分の日であった

当日の時間細分表(実測)

[この授業に関する学校環境と機材]


授業は伊藤先生1名。教室の中央には三脚にセットされたタブレットが黒板と先生に向けられていた。授業時間のすべてを撮影をしているようだ。これはコロナ等の事情で教室内で授業を受けられない生徒向けに授業のライブ配信をしているということらしい。
この授業は”国語”の授業だが教科書とノートを机に出しているわけではなく、生徒はタブレットやパソコン端末を駆使している。生徒の持っている端末はそれぞれだ。2020年からの2年間で、生徒の端末をiPadに統一したため、新入生の中学1,2年生は同じ端末を持っているが、中学3年生以上は所持している端末は自由だ。端末機種は問わずに用意できる機器を各ご家庭で用意してもらったのだという。ソフトとしてはGoogleツール全般、Googleフォーム、JAMボード、keynote、といったものを利用しており、実際の授業でも、先生と生徒の会話で自然とアプリケーションやツールの名前が出ていたし、生徒の端末にはその画面が出ていることが確認できた。

[本日のテーマは「資料を読み取ること」]


メディアの進化は〇〇〇を変えていく。
これだけの問いかけに対して、ほぼ全生徒が発言していた。その発言に対して先生がさらに質問を投げかけていく形で授業は進んだ。

先生の問いかけに対して、テンポよく答えていた生徒たち

「デバイス出して」


メディアについての考えが温まってきたところで、生徒たちはタブレットやスマホでアプリを起動させた。すかさずロイロノートで先生から生徒へあるグラフが送られた。この日、生徒たちへ送られたグラフは、年代ごとの通信機器の保有率推移表だ。

配信されたそのグラフを見て ①    注目したところ、②その理由 を提出箱に提出しよう という課題が伝えられた。先ほどとは打って変わって、生徒たちは静かに集中し始めた。年末の紅白歌合戦が終わり、ゆく年くる年が始まった時のような静寂に包まれ、外でやっている体育の授業の声が聞こえるほどだ。

各自の端末を使った個人ワーク

個人ワークの時間が終わるとテンポよく共有の時間となった。提出された各人の解答はリアルタイムで全員と共有された。今度は他の人の回答から考える。年代ごとの通信機器の保有率推移表を見つめる生徒たち。
#スマホとタブレットが出始めた年って他にどんなことがあった?
#固定電話を携帯電話が超えた年って何があったのだろう?
関連していそうな事柄を生徒たちは調べると同時に積極的に発言していた。

(ストップモーション)


今回の課題について、生徒は自分なりに一回考えているから、他者の解答を見た時に比較して、新たな発見が生まれやすかったと推測する。また、考える、調べる、の時間配分がよく、発言する時間になると生徒たちは満を持して発言しているように感じた。高校生の授業では沈黙が多い場面や、だらけたテンポの悪い間延びした授業も目にしてきたが、まったくそのようなことはない。さらに伊藤先生は発言内容に更に質問を重ねて考えを深堀させている。この重ねた質問にも、別の生徒が答えているために、皆で学習している雰囲気を感じた。皆で解答共有していることから起こる現象かもしれない。この授業は筆者が受けてきた国語の授業とは一線を画すものであり、授業後には”科目ごとに授業を分ける”ことも時代とともに形を変えていくのだろうという実感を持った。

今回取材した学校についてより詳しく知りたい場合はこちらをクリック


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