カスタマーサクセスは営業かサポートか
この論争(?)はずっとささやかれていますが、自分の中では完全に答えは出ています。
カスタマーサクセスは…
・自社目線では営業であるが、
・顧客目線ではサポートである。
どちらの仮面もかぶる必要がある、難しいポジションなんです。
なんか最近「カスタマーサクセスって新しくて、なんかカッコイイ」的な声も聞こえるが、実はめちゃ泥くさいことしってますか??ここではB2B SaaSのカスタマーサクセス職についてあるあるとともに綴ってみます
尚、本内容は現職の業務内容とは関係ありません。
また、CSやってる人からすれば初歩的な内容ですのでご了承ください。
1-1. 自社目線では営業メンバー
1:5の法則と5:25の法則は割と有名になってきましたね。
** 1:5の法則:新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍。
5:25の法則:顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善される。**
会社からすると新規顧客を獲得するより、既存ユーザーへ営業強化して受注(アップセル/クロスセル)を増やす方がよっぽど効率的というわけです。
では営業人員をそこに当て込んで既存ユーザーばかり営業してればいいじゃないか?!とか、当然そんな単純ではなく、そこには必ずChurn(解約)があり、新規顧客を一定数増やしていく必要があります。
新規顧客を増やしながら、解約を阻止し、できるだけ多くのロイヤルカスタマーへと育成させていくことが企業にとって重要なわけです。
多くのB2B SaaSでは、新規顧客を獲得するのは営業で、その先のコトは全部カスタマーサクセスが担当します。
なぜなら???
そう、会社にとって既存ユーザーからは効率的に売上をもらえるし、営業職は新規顧客の獲得に注力させたいからです。
(最近は数字を持たない企業も増えましたが)通常カスタマーサクセスは売上予算を持っています。既存ユーザーからの売上獲得が効率的なので、新規獲得をする営業より高い目標金額であることが多いです。
これ、めちゃ大変。なぜなら効率良く数字あげられるユーザーばかりでは無いからです。
1-2. カスタマーサクセスあるある
営業が獲得した新規顧客を、将来のロイヤルカスタマーへとするために、CSM(カスタマーサクセスマネージャー)たちががんばります(Onboarding含む)。
契約後、Onboardingの為に営業から引き継いでみると、
「どういうこっちゃーッ!!??」と感じた経験はカスタマーサクセス職あるあるだと思います。
新規営業は大変です。だって既存ユーザーよりも5倍のコストがかかるわけですから。対象ムリしてでも獲得したりします。例えば・・・
・顧客にSaaS導入に対する夢を与え過ぎていたり・・・
・うちがフォローするから初期稼働は楽チンです!とか言ったり。
・引継で初めて会った時から全くやる気ないお客様もいたり…
こういった「エーーーッ」って思う状況でもカスタマーサクセスは何とか立て直そうと頑張るわけです。(もちろん割り切ってThe Endとする場合もありますが)
そりゃそうです。なぜならカスタマーサクセスにとって、自分に割り振られた既存ユーザーが唯一の数字をあげる源泉ですし、ChurnがあるとCSの責任になることもあります。ですから必死になって関係作り、関係強化をしようとします。
そして、会社にとってCSは重要な営業メンバーであり、売上はむしろ新規営業より多いし、既存ユーザーを将来のロイヤルカスタマーへと導きながら、チャーンリスクの低下、他社の紹介獲得だったりと、売上の源泉をしっかりと握る為に多くのことに暗躍する重要なチームなのです。
暗躍…
そう。それは、お客様にはバレないように…という意味です。
お客様には営業という側面をバレないようにする。これめちゃ重要ですので後述します。
そして、もともと営業をやっていた人であればカスタマーサクセス職はしっくりくると思いますが、受動的なサポート職をメインとしてた人がサクセスになるぞー!といってもなかなかしっくりこないというのが現実かもしれませんね。
2. ユーザー目線ではサポートメンバー
前述のとおり、カスタマーサクセスは自社目線では営業です。
ただし、既存ユーザーにとってはサポート役に徹します。
なぜなら・・・
カスタマーサクセスと既存ユーザーの間には信頼関係があることが重要です。お客様から「この人、やっぱり営業数字の為にうちにサポートきている・・・??」と思われてしまうと、避けられてしまい、必要な時にコミュニケーション取れなくなるなど、関係構築に時間を要します。
自分には約10年のカスタマーサクセス経験がありますが、ずっと意識してきたことは、売上予算はあくまでも営業職が持ち(本当はCSも持ってる)、カスタマーサクセス職はあくまでも顧客に自社のプロダクトを最大限に活用してもらい、ハッピーにする仕事。とお客様に思っていただくことです。
これを建前ではなくて本音で思うこと。なので、時に担当顧客からアップセル/クロスセルの相談を受けても、その顧客に本当に必要でないのなら売らない。これも重要な仕事なのです(売上数字を持っている場合は断腸の想い。心では涙しながら売らない決断をするのです)。
テックタッチ、ロータッチ、ハイタッチ、もちろん切り分けは必要ですが、日本のカスタマーサクセスでは、顔を合わせるハイタッチのサポートを泥臭く実施することもまだまだ必要な気がします。顧客との信頼関係というのは、数回顔を合わせただけであったり、Online商談だけは絶対に築けないですから。
泥臭くサポートしていくことで、重要なタイミングではきっと助けてもらえることになると思っています。
3. まとめ
今回はカスタマーサクセスは営業なのか、サポートなのかという切り口で書いてみましたが、やはり自社からの視点とユーザー様からの視点。見せ方を変える必要があるという難しくもあり、面白い職種です。
自社からの視点では
営業である。
・Onboardingで解約リスクをなくし、
・満足度を高め、
・アップセルとクロスセルによって売上を上げながら
・Churnを無くして
・将来のロイヤルカスタマーへと導く役割。
既存ユーザー目線では
サポートである。
・営業数字とは関係なく、プロダクトのプロであると思わせながら
・導入プロダクトを100%使いこなす為のサポートをして、
・アップセル、クロスセルの必要の有無のコンサルを行う。
・時にハイタッチで信頼関係を構築し、時にはユーザーに助けてもらう。
現職はB2BではありますがSaaSではありません。ただし、同じ考え方で営業、サポート両輪で動いていけるようにしていこうと思います。
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