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蟲魂

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#呪術

蟲魂2 -ガザミ(中編「襲嫡男」)-

蟲魂2 -ガザミ(中編「襲嫡男」)-

 徳兵衛、蛻吉ともに9歳。
 あさり、7歳。
 三人、夏の午後に山中の廃寺にて。

 あさりが泣いている。
「あさり。どうした?」
 彼女を慰める徳兵衛。
 蛻吉は無表情で二人を見つめている。
「虹色の蟲魂。逃がしたぁ」
「虹色?」
「うん」
「よし。俺が獲って来てやる」
「徳ちゃん。ほんとう?」
「まかせとけ。蛻吉。行くぞッ」
 徳兵衛、蛻吉の手を引っ張って山へ向かった。

 廃寺の前。
 草む

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蟲魂2 -ガザミ(中編「伊予守」)-

蟲魂2 -ガザミ(中編「伊予守」)-

 お勢は、夕餉を食する徳兵衛をジッと見つめている。
 箸を口へ運ぶ手を休めて徳兵衛は、お勢の顔をみると微笑んで言った。
「お勢。この煮つけ。とても美味しいよ」
 お勢はちょっとがっかりした顔つきとなる。
「どうしたんだい?」
「…」
「蛻吉にも食べて貰いたかったんだね?」
 お勢、頷く。
「仕事でね。蛻吉の奴。しばらく戻れないかもしれないねぇ」
 お勢、更に深く項垂れ。
「心配しなくてもお勢の気持

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蟲魂2 -ガザミ(中編「座敷牢」)-

蟲魂2 -ガザミ(中編「座敷牢」)-

「まだ、屋敷から出て居らぬ筈じゃ。くまなく探せッ」
 殺気だった伊予守の家臣数人が、繁みに身を潜めるあたりと横嶋の方の前を駆け去っていった。
「やれやれ」
 あさり、呟き。
 肩の力を抜くとあさりは、背中にしがみつく横嶋の方を自分から引き剥がして言った。
「気持ちは解るけど、しがみつかないで」
 横嶋の方はガタガタ震えている。
 …厄介なことになっちゃったなぁ…

 半刻ほど前。
 伊織とはぐれて

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蟲魂2 -ガザミ(後編)-

蟲魂2 -ガザミ(後編)-

             *
 備中国、川嶋の庄。
 その歳、備中国を旱魃が襲い町や村は大飢饉となった。

「大刀自様。この先の村は飢饉で村人が死に絶えたそうに御座います。間もなく日が沈む刻限となります。近頃、この辺りに野盗の輩も横行しております故、お一人での出立は見合わせれては如何で御座いましょう」
 旅籠の主は、草鞋の紐を結んでいる大刀自の出立を止めようと懸命に説得した。
 紐を結び終えた大刀

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