真っ赤な嘘とほんとの境目
昨年の12月頃、直木賞候補作として書店のいちばん目立つところに平積みされていたのをよく憶えている。妖しいモノクロの表紙に半分消えかかったヒゲおじさんの写真。教科書か参考書で見かけたことのある写真の人、誰だっけ?、ブラームス?ドストエフスキー?、いやいや、ちゃんと帯に「マルクスは消失する」と書いてあるじゃないか。
小川哲著『嘘と正典』である。
書影は以前から見かけていたが、SFに対する苦手意識からすぐには手が伸びなかった。
「#読書の秋2020」課題図書をきっかけに読んだ