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狂おしい書評の数々に衝撃

三宅香帆著『人生を狂わす名著50』。これもnoteイベント「#読書の秋2020」の課題図書にあげられていなければ、おそらく手にすることはなかっただろう。

何ですかこれは。

これを読んでしまったら、もう本の感想を書くのが恥ずかしくなるではないか。

と言いつつ書き進めてしまっているのは、とにかく何か言いたくなったからで、そういう衝動を覚えるほど素晴らしい。でも恥ずかしい。

本書は、タイトルにあるとおり50冊、さらに1冊の紹介につき「次の本」を3冊、占めて200冊が熱烈に紹介されている。

ひとつひとつがぐうの音も出ない素敵な感想文である。こういう文章が書けたら嬉しいだろうな。

書籍の本質を的確にとらえ、なおかつ自身の体験を交えながら、本の魅力を余すところなく伝えている。文章から、知性と教養があふれている。言葉の引き出し、感度、経験値との結びつけ、あぁ、こう書きながらもどかしくなる。

とはいっても、紹介される50冊のうち既読は数冊しかないんだけど。だけど、全編にわたって信頼できる書評がなされていることは、文章から自然と感じられる。そして、熱くてしつこくてウザい(※褒めてます)。すごいよこの人。


『図書館戦争』の読み解きなんか首が折れるほど(心の中で)うなずきながら、あぁ同じ読み方していた人がいた、でも私はここまで言葉で言い表せない、嬉しい、悔しい、と思っていた。


熱のこもった感想・書評におなかいっぱいになりながら、たどり着いた「あとがき」には、読書の本質のひとつが鮮やかに記されていた。

だけど、「本」は、ほとんど唯一「そこ」にいてくれる他人なんですよ!

こういうことをさらっと書ける人ってすごいなぁ。


本書で紹介されている本には、積み本もいくつかある。悔しいけれど、先にこちらを読んでしまった。そして、本書の影響でさらに積み本を増やしてしまった。まさに罪な本。でもね、お陰でこれから読む楽しみが倍増ですよ。


とにかく熱い。そして、その読書量と読解力と表現力に恐れおののく、狂った(愛に溢れた)本でした。

いいよ、これ。