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ポルノとフェミニズムは共存できるのか?|ドイツの若手ジャーナリストNhi Leが考える性のこと

南ドイツ新聞の若者向けマガジン「jetzt」で月2回連載されている「The Female Gaze」(女性の視線)。本コラムでは、テューリンゲン州出身のジャーナリストであるニー・レ(Nhi Le)が、フェミニズムや反人種差別主義の視点からポップカルチャーの現象についてのあれこれを語る。今回は、1月12日に公開された「Pornokonsum und Feminismus passen zusammen」(ポルノ消費とフェミニズムは調和する)の内容を少しだけお届けしよう。

フェミニストを分断する「ポルノ戦争」

どんなポルノが好きか? セックスの話をオープンに話せる人がいる一方で、女性のマスターベーションは依然としてタブー視されている現実がある。ポルノ消費は不潔なイメージがあり、道徳的に扱いづらいと考える人もいる。ニー・レにとって、このことがフェミニストとしてどのようにポルノを見たらよいのかを考える理由になっているという。

ポルノは、とりわけフェミニストを分断するトピックのひとつだ。ポルノをミソジニー(女性嫌悪)と捉える人もいれば、女性の解放を促進させることができると考える人もいる。特にアメリカでは、1970年以降にポルノが身体的・精神的虐待になると主張するフェミニストたちが、反ポルノグループを結成したという歴史がある。

反対に、性に肯定的なフェミニストたちは、性的な自由を求めることも自由のために努力することの基本部分だと強調する。関係者全員が同意していれば、制限する理由はないというのが彼女たちの主張だ。この激しい論争は、いわゆる「フェミニスト・セックス戦争」(ポルノ戦争)として知られている。

フェミニストとして、ポルノとどう付き合うか?

ニー・レ自身は、性に肯定的なフェミニストだ。ポルノの撮影や消費によって女性を服従させることは間違っているが、自分の性的嗜好がどんなものかを発見できるポルノを、マスターベーションをより簡単により気持ちよく行うための手段だと考えているという。実際、ポルノを定期的に観る女性はそうでない女性よりも、オーガズムを経験する可能性が高いという研究結果もある。

しかし、ポルノの中には、有色人種の女性が差別的でステレオタイプの役を演じさせられているセックス映画や、暴力が描かれ、場合によってはそれを賛美すような動画まである。無料動画サイトは出演者にとって安全とはいえず、むしろ搾取されている可能性も考えられる。

一方で、すべての関係者のよろこびにフォーカスされたものや、いろいろな体型の人々が登場するなど、さまざまな視点から制作されたポルノも存在する。そこで消費者のひとつの選択肢として挙げられるのは、有料サイトから高品質のポルノを観ること。自分の好みになったものを見つけやすいだけでなく、セックスワーカーたちを直接サポートすることにもつながる。

「わたしはフェミニストとして、ポルノを見るかどうかではなく、どのように見るかについて話し合いたいと思っています」。そう述べるニー・レは、消費者としてポルノ業界をより良くする方法を考えていくことが必要、と強調している。

参考:jetzt「The Female Gaze: Pornokonsum und Feminismus passen zusammen」

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