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「find」するものではなく、「hunt」「get」するものになってしまったシゴト

前回は自己紹介でしたので、初の記事投稿となります。
人事屋さんです。

あまり口に出していいことなのかはわかりませんが、私は、最近の「採用」という世界が正直結構嫌いです。
というより、学生の頃の私は、就職や仕事というものをやたらときれいなもののように見すぎてしまっていた気がします。
学校の先生や警察の人をまるで聖職者であるかのように誤解する感覚に近いかもしれません。

細かいポイントは後々書こうと思いますが、端的に書くと、受験戦争みたいになってしまっている点がどうにも苦手です。
今日はこのことに関して、2点だけ簡単に書こうと思います。


1.入社と就職の同義化

英語だと「就職する」ということを「find work」というらしいですね。
自分に合った仕事を必然にせよ偶然にせよ「見つける」。良い表現だなと思います。
(最近は海外でも「Job Hunting」と言ったりするらしいですが)

私自身は海外経験がないので、なんとなく私の中にある好きな就職と嫌いな就職の比較でしかないのですが、海外と日本の就職にも少し似たような違いがあると聞きます。

就職は「職に就く」という意味であることに対して、入社は「会社に入る」ですよね。そもそも全然意味が異なる日本語です。
にもかかわらず、今の日本では「第一志望はA社です」「B社から内定をもらったので就活を止める」といった会話が当たり前のように繰り広げられています。

もちろんこれは日本の従来の雇用慣習がジョブ型ではなく、メンバーシップ型なので仕方ないことではあるのですが、それにしてもそのことに違和感を感じている人が極めて少ないと思います。
総合職という何の職かも分からない職種に就くことが前提となっている社会の暗黙知ともいえるかもしれません。

何が悪いの?という意見も多くあると思いますが、もちろんこのことが悪いと言っているわけではありません。メリットもたくさんありますし、一概に個人のスキルが伸びないといえるものでもないと思うからです。

それでも日本語としておかしい部分があるにもかかわらず、それを当たり前として受け入れて「入社活動」を繰り広げている今の採用の構造は個人的には好きになれないというお話です。
(最近はこの手の話が世の中で広く認識され始めており、課題意識が徐々に拡大していると思います。後々書きますが、このことが却って問題をややこしくしていて、エージェント・人材紹介会社が世の中に大量発生して、個人が本当の意味で「就職」するのを難しくしているとも思っています)

2.40-50年という時間の浪費

これもよく言われるポイントだと思いますが、もう一つの理由が、「就職=入社」することが人生のゴールになってしまっている点です。

経験された方は分かると思いますが、就職活動ってとても大変なんです。
エントリーシートをたくさん書き、面接や面談を大量に受け、最近は自宅の白い壁を背景にして動画を自撮りしないといけなくて、時間も手間もかなりかかります。

なぜそれほど時間を使うかというと、所謂優良企業に入るため、そう、「入社」するためであり、「入社」が目的になってしまっているのです。

環境層(=手段)の比較に終始してしまう構図

仮に大卒で22歳の子が第一志望の企業に入ろうものならば、65歳まで働くとすると約40年、70歳まで働くとすると約50年という期間を、ゴールが達成された状態で生きていかないといけなくなる可能性があるということです。

もちろんそこまで大げさに課題提起したいわけではないですが、本来は自分の理想像がどういうもので、そのための手段として環境を選ぶべきところでも、環境を最優先に検討してしまう人が非常に多くなっているように感じます。

その結果「X社に入ると、(例えば)業務内容や待遇面についてはいまいちだけど、それくらいは「我慢」するか」といった風に、環境がなければその分は別で自分で努力するよりも先に我慢することが頭をよぎってしまいます。

これでは当然、一人一人の能力が最大限発揮されることはなく、結果として、環境依存度が高い、所謂「会社ありき」「会社にしがみつく」人材が生まれてしまうことになります。

これが今の採用を好きになれない2点目の理由です。

完全に個人としての好き嫌いの話をまとめただけになりましたが、こうしたポイントは今のエージェント乱立時代、コンサル大人気時代などに繋がっていっていると思います。
(後の記事でこの内容に関してもちゃんと書きます)


是非この記事を読んでくださった方が、「hunt」「get」する就職ではなく、「find」する就職をする(もしくは応援する)ようになっていただけると嬉しいです。

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