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見極め見抜くから、正直に透明に、対話し突き合わせ続ける。前提を大切にした関係性づくりへ

寄稿している日経COMEMO#人材を見抜くには ? というテーマの企画があった。人事で採用に長く携わっていると、良い人材を見極め見抜くにはどうしたら良いか!?という相談を受けることがまぁまぁある。

いわゆる新卒や中途などの採用面接はもとより、組織内における異動や抜擢、チームづくりにおいても、見極め見抜くことの重要性は長く語られてきた。試しに「見抜く」をググると、一番初めに出てくるのが以下だ。

物事の表面に現れていない本当のところを完全に見てとる

物事の表面に表れていない本当のところを完全に見てとる。、、この言葉だけでも見抜くのは難しそうだ苦笑。わたし自身、これまでの人事を中心とした社会人経験10年の中でも、これほどまでに難しいお題目もそうそうないのではと思う。

見極め見抜く為の手段は世の中に溢れている。それは何のための手段か

3月1日には就活が解禁され、新型コロナの影響を受けつつも各社が企業説明会を解禁した。オンライン説明会、動画面接、AIによるマッチング等、様々な取り組みが増加。これ自体は地方の就活生の交通費負担を減らしたり、選考の手間無駄を省く目的もあるし、不均衡をなくす取組なのだと思う。

一方で手段ばかりが先に立ち、就職転職「how to(ハウツー)」本や記事も増えている。そしてそれ自体を否定するつもりはないし、わたし自身も新しい手段や考え方は出来るだけ取り入れ、試してみたいと思う。

その時に、その手段「how to(ハウツー」は何の為に取り入れるのか。それを用いた時の良い状態、GOALはどこか。良い状態へ近づくことを阻害するものがあるとしたら何なのか。結局、手段は目的の後、前提がなければ手段は意味をなさない。

企業側の前提で言えば、良い人材を見極め見抜く方法を考える前に、自社にとっての良い人材とは何か。そこを徹底的に明らかにしておくこと、定義した良い人材に対する理解を深める必要がある。※深めていく中では、そんなスーパーマンはいないということに気づくこともあるかもしれない

前提は変わり続ける。企業も個人も、その時々によっても

さらに言えばこれから21世紀の企業を取り巻くビジネス環境は、国内外の政情・テクノロジーの変化・地球温暖化に代表されるような環境面の影響を受け、今までにないスピード感で変わり続けていくし(変化の周期は短くなっていく)、

個人もテクノロジーの変化による影響はもちろん、家族や友人など周囲から受ける影響、就職後も結婚・妊娠出産・育児・引っ越し・家事・病気・介護等のライフステージによる影響まで、年齢にひもづくフェーズによっても変わり続けていく(個人の価値観も多様化し、それ自体も社会で受け入れられていく)。

僕らはそんな前提条件が双方変わり続ける中で、見極め見抜くといった一方通行のやり方を続けていて良いのだろうか!?世の中は物事の表面に表れていないことのほうが、本当のところだらけだ。

企業や個人が互いを欺こうとそうしているというわけではない(そんな企業や個人は少ないと信じている)。目まぐるしく変わる世の中で本当のところが見えにくく言いだしづらい、そんな前提の表れが、今日もSNS上に声として上がってきているのかもしれない。

正直に透明に、対話し突き合わせ続ける時代へ

前提条件が双方変わり続けていく中では、変わることも変わらないことも大切にすることも手放すことも、決める主体は企業にも個人にも各々にある。

人生100年時代、誰もが70-80歳くらいまで仕事を続けていけば、企業も個人も進む道も変化していくだろう。一生勤め上げることを前提にしていた終身雇用の時代から、

時に濃く強く、時に薄く弱く、繋がり続ける時代においては、それぞれの大事にする価値観や考え方、互いに対して求めているものを正直に透明に対話し突き合わせ続ける時代なのだと、わたし自身はそう思う。変わっていくことを、企業も個人も自らを変えていくことを恐れてはいけないのだと。

少しそれるが、わたしの大好きな日本橋ヨヲコ先生の漫画「少女ファイト」の一節にこんな言葉ある。

「どうにもならない他人の気持ちはあきらめて、どうにかなる自分の気持ちだけ変えませんか」

僕はこの言葉をあきらめる為の言葉ではなく、自らを変えることで自らの未来をより良い一歩に踏み出し、これからの関係性をつくっていく為の言葉だと理解している。

これからの企業にも個人にも、自らの内側と正直に向き合い、自ずから変えていくことで、前提となる透明な関係性をつくり、その上に双方の道が重なっていくのだと思う。時代は一方通行ではなくなっている。



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