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企業は「働く」を通じ、個人の「暮らす」「生きる」をどう支援していけるのか。境界線を越え、緩やかに曖昧な時代へ。

新型コロナウイルスの影響による、大都市中心のリモートを中心とした働き方がニューノーマルになってから、早くも半年が過ぎようとしている。私の周りでも週の半分以上がリモートになったのを機に、都心から少し離れた神奈川・千葉・埼玉の自然が豊かだったり、暮らしに焦点をおいて、従来よりオフィスと離れた場所に居を構える知人が増えたように思っていたが、

それを裏付けるかのように地方移住に対する関心も高まっているようで、内閣府が6月に発表した生活意識の変化に関する調査では、20代30代を中心に東京、名古屋、大阪の三大都市圏居住者の15%が、地方移住への関心が「高くなった」「やや高くなった」と答えている。

もちろん地方移住と一言でいっても、従来と異なる生活環境や地元の方など周囲で暮らす人々も変わり、新しい仕事に暮らしとそんなに簡単ではないだろう。旅先で日常と異なる空間に訪れたり体験するスパイスのような変化と違い、一定期間それがノーマルに当たり前になると、それはそれでちょっとした変化が欲しくなるのが常なのかもしれない。要はないものねだりだ。

コロナ以降、家や家を取り巻く周辺の生活環境は日常の大半を過ごす場所となり、個人にとってそのプライオリティが高まった。これまで職住近接はあっても、そこには少なからず境界線のようなものがあった。が、今日では家は暮らす場所とともに、働く場所になった。結果、境界線は曖昧になった。

また、昨今ではグローバルに旅をするように働き、暮らすことも可能になってきており、線はますます曖昧になりつつある。(※コロナで移動そのものの制限はあるが、それでもアフターコロナでは息を吹き返していくのだろう)

人口130万人ほどの北欧のエストニアでは、1991年に旧ソ連から独立後、近年あらゆる行政手続きを電子化し、IT分野でも有力なスタートアップ企業を輩出してきている。その中でも現在、成長著しいジョバティカルという企業は創業者のシリコンバレーでの経験から、

成長企業がアメリカに集積しているのは、世界中から人材が集まり、企業と人材の国境を越えた結びつきからであると感じ、今日では外国籍の人が好きな国で働く上での手続きを簡易にする雇用支援サービスを提供している。そして人々はそこでの働くを通じて、新たな暮らしも獲得していくのだ。

こうしてみると、今とこれからを生きる僕らの「働く」「暮らす」はその境界線を曖昧にしながら、ファーストペンギンと呼ばれる人たちが越境した結果、優しく温かく、人と人の繋がりをリアルでも感じることの出来る時代へ原点回帰しているのかもしれない。

下記の記事などは「働く」と「暮らす」が重なる中で、家族の形という人々の「生きる」までに踏み込んでいく様子を感じることが出来る。少子高齢化や単身世帯が増える中で、繋がりという生きていく上で大切にし続けたい気づきがここにはある。

一方で、僕自身はこのnoteを書きながら、難しさを感じることも多かった(※もちろん難しいという言葉では片づけてはいけないのだけれど)。企業人事として、チームやチームで働く個人を支援し、自社の掲げるミッションの体現にどうすれば事業やサービスを近づけ、そこで働く個々人の充実感を高めることに近づいていけるのか。

そんなことを考える試行錯誤の日々の中、必ずしも個人の「働く」を通じた「暮らす」や「生きる」と、企業の提供する「働く」の働き甲斐や働きやすさは一致しない。入口で一致しても、人も企業も変化する生き物だ。だからこそ双方変化の中での違いを互いに受け入れた結果、それぞれの道に進んでいくことも多いのだけど。

それでも僕ら企業人事や経営など、チームや個人の成長に向き合う人達は皆、もっと「働く」ことの先にある、否、「働く」リンクしていく「暮らす」や「生きる」に向き合っていく時代に入ってきたのだとつくづく痛感する。一企業人としては、個を生きる個人も組織を生きる個人も、個を活かそうとする組織も組織を活かそうとする個も、支援し活かしたいと切に思う。


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