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人事部長その44〜就職活動編⑫〜面接考察②

またまたとある人事部長の面接考察です。

先日面接した学生は、自己肯定感が強く
ポジティブであったが、
反面、なかなか自分の苦手や失敗を
本当の意味で捉えきれていない学生でした。

僕の面接は、とにかく就活の事をかなり深掘りする。
年明けに面接に来る学生には特に深く聞いている。
そしてどれだけ自己分析ができているかを探る。
目の前の学生が、就活で行動した動機を
本人の言葉ではっきり言えるか、を確かめている。

その点で、本音を言うようにお願いするのだが
なかなか本音を言えない学生が多い。
面接は【良く見せたい場】なので
なかなか本音の牙城を崩すのが難しい。

自分がサボってた。
自分が迷ってた。
自分の気持ちが分からない。
考えるのが嫌だった。
甘えていた。
事の重大さから逃げていた。

そんな事を言えた時、
初めて殻を破れるきっかけがあるからだ。

この学生もスポーツや習字を幼い頃から
長く続けており、スポーツでプロを目指していたり
習字もかなり達筆という文武両道をこなす学生だったそうだ。
長く続けていける力や、数々の失敗から学んだ成功体験を自己PRの強みとして言う。
通常なら良い自己PRとして受け取れるのだが
やはりもう入社まで何ヶ月みたいなタイミングなので
説得力には欠ける。

では何故就活で時間がかかってしまったか。

良くある例では
●就活してなかった。サボってたか迷ってた。
●就活を続けていたが結果が出ない。
みたいな感じが多い。

この学生は幼いころから
あまり大きな苦労や挫折を経験しておらず
勉強もスポーツも部活も器用にある程度こなせるが故に就活や将来の事から逃げていても
どこかで『まだ大丈夫』と言う意識があったようだ。
コミュニケーション能力もあるし、大人と話すことも下手ではない。

簡単に言うと
逃げずに真剣に将来の事をしっかり考えれば、
あっという間に内定をもらえた学生だと思った。

深掘りしていく中で
サボってた自分。
ちょっと就活をやれば
すぐにうまくいくと思ってた自分。
就職活動を舐めていた自分。
そんな自分を
自分の言葉で
はっきりと言えていた。
話しながら気付いたり
自問自答しながら答えていたりしていたが、
確実に甘えていた自分に気付いていた。

ただまだどこかで
大丈夫!と言う甘さは完全には拭えていないのも分かった。
なので働いてから多くの失敗をすると思うことを本人に伝えた。
経験していない事をすることには失敗が付きまとうが、恐らくある意味成功体験が多く、それも自分の道でなんとかなって来てしまったが故に自己判断で進めてしまう事も多いのと、失敗も隠してしまう傾向もあるだろう事も伝えた。

自分で自覚を持って『気付き』を得たこの学生は自分の殻を破ろうとしていた。
そしてその成長度への期待をこめて
僕はこの学生に内定を伝えた。

そしてさらにこの面接で以下の事を伝えた。

自分に自信がある。
生き方に自信がある。
それは良い事だが、失敗する道を選んでこなかったことでもある。
チャレンジしないと失敗しない。
闘わないと失敗しない。
就活を通じて、うまく行かなかったり、だらしない自分を発見してしまったが、それも自分の一部。
そんな自分を否定するのではなく
受け入れて、自覚して。
それを分かって学ぶ事は、性格を変える事ではなく修正するテクニックを身につけるということだ。
だから性格を否定して性格を変えろ。ということではないから、まずは良い自分も、だらしない自分も両方受けとめる自己分析を入社までにもう一度やってほしい。


この学生がうちの会社に決めてくれるかは分からない。
この面接の仕方は、自分を見つめ直せたのでもっと違うチャレンジをします!といって振られてしまうリスクもある。でももし承諾を貰えたらかなり強い志望動機をもって入社してくれる。
深掘りする面接も表面的な面接もどちらが間違ってるという事はない。
ただその学生が何故内定を貰えたが理解できることは大きな動機づけになるだろう。

と、こんな面接をしたのだが、
自分をさらけ出す事に慣れていないこの学生はそうとう勇気を持って面接を受けてくれたことだろう。
やはり自分を理解しつつ、それを言葉にする事の大切さを改めて感じた面接でした。

以上、就職活動が始まった学生や面接を行なっている社会人の方々に読んで頂けたら幸いです。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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