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エロス/美とはなにか~プラトン『饗宴』

中期プラトンを総括する中核の書かと思ってたら、『パイドン』よりも前の本だった。『国家』と取り違え。。。

文学的見地から見れば傑作。ソクラテスを含む5人の登場人物による、エロス/美にまつわる掛け合いも、美しい劇を見ているようだ。

この美は、顔や手といった身体の部分のようには見えないし、なんらかの言葉とか知識のようにも見えない。また彼には、この美が生物とか大地とか天空など、美とは異なるなにかの中に内在しているようにも見えない。 むしろ、その美は、ほかのなにものにも依存することなく独立しており、常にただ一つの姿で存在しているものなのだ。 これに対して、それ以外の美しいものはみな、この美をなんらかのしかたで分かち持つことによって美しい。

プラトンのイデア論が芽吹き、徐々に花を付けていく過程で、本書のエロス論と華麗に結びついている部分である。

ただ、プラトン思想を掴み取り、噛み砕こうという見地から読むと、やや物足りない印象は拭えない。イデア論も前述『パイドン』での不死の議論ほど洗練されておらず、より直感的な話に留まっているように見える。

じっくり読解すればもっと色んな示唆を含んでそうではあるが、それはまたの機会に。。

ただ、エロスが少年愛(パイデラスティア,古代ギリシャでは普通だった謎文化)から始まり愛知=哲学に至る流れは、想起説とは別角度の説明でキレイな立論でおみそれしました。

若干読む順番間違った感。

(光文社古典新訳文庫)

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