「 土 」 で 丁寧な暮らしをつくる
僕は、本屋に行くのが好きです。
特にお目当ての本がなくても、ふと本屋に入ります。
今回は、僕の本屋の流儀と直近で手に取った本をご紹介します。
本屋の流儀 /周りの目を気にせず自分と向き合う
僕が本屋に求めることは、「今、自分が本能的に求めている言葉」を見つけることです。何となく手に取った本、気になるコーナー、やたらと目につく言葉。
本のタイトルから今の自分の脳内コンディションがわかります。
僕にとって、本屋は脳内の健康診断のような役割に位置付けられています。
入店すると、まずは深呼吸。
自分の興味や趣味嗜好などは考えず、とにかく店内をぐるりと1周します。
まるで、フィールドワークをするかのように五感を研ぎ澄ませて練り歩くその様は
まさに異様です。
「他のお客様にどう思われても構わない」
徹底して自分と向き合う姿勢こそが、僕の本屋の流儀です。
本のタイトルや帯・目次や見出しには、僕よりもはるかに頭の良い
語彙力のある方々が吟味した言葉が使われていて、表現豊かで洗練されています。
目に入るその言葉に「自分が共鳴するか」で今の自分の頭と心を言語化し
チューニングを合わせています。
僕が選んだ1冊 / 土 [ つち・TSUCHI ]
高島屋京都店が改装され新たに蔦屋書店が入った、内装が綺麗だとの噂を聞き
見に行ってみました。僕にとって蔦屋は本屋ではなくレンタルビデオ屋「TSUTAYA」だったのですが、ここでは立派な本屋でした。
店内は、アートを中心にしたコンセプトで驚きと興奮からか、入店儀式「深呼吸」を忘れたまま、過呼吸気味で店内を徘徊していました。
やたらと目が合う「土」と書かれただけの本
土 (La Terre) / エルメス財団 編 [岩波書店]
「何これ」とまんまと釣られた格好で手に取った本は秀逸の1冊でした。
ぜひ、皆様にも読んでいただきたいので詳細は控えますが、
感銘を受けた一文を紹介させて下さい。
アート、建築、暮らし
生命の営み、歴史や文化など全ての原点・礎として「土」がある
土壌を生み出すのは生命
生命が存在しないところに、土壌は存在しない
土木を生業に勤しむ毎日で忘れていた「土という当たり前」
何か立派な建物や構造物を造ることがステータスのように、
また、ICTと呼ばれる技術の導入やシステムなどの効率化によりスピードが増した建設環境において忘れられつつある原点の大切さを思い出させてくれた1冊です。
読み終えた僕は(影響を受けやすい単純な男ですので)、居てもたってもいられず陶芸家の話を聞きたい!土をこねたい!と陶芸教室へ行きました。
土木会社と陶芸家の「土サミット」
一方的な熱量で押しかける格好で始まった陶芸教室は、
制作10分、対話80分(工場で60分、焼き窯で20分)となり、今では何を作ったかも忘れています。
デジタルやシステムといった効率的なものも良いけれど
丁寧な暮らしをつくるには、
生命の循環、自然のもので暮らしをつくる、手間をかける
今の「当たり前」を疑ってみることで、本質が見えてくるように思いました。
不便は不幸ではない。意外と幸せなのかもしれないな。
今日はLINEではなく、久しぶりに手紙を書いてみることにします。
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