冬至のかぼちゃが待ちどおしい:かけあわせでうどんこ病につよいほくほくの西洋かぼちゃ風をつくってみる
(2023.12.11加筆)
はじめに
そろそろ冬至をむかえる。秋作のかぼちゃの味がよくなるころ。
安定してできるわけではないのを承知のうえで、あくまでもつくりやすく自家消費用として食べてもらえるかぼちゃをつくろうとおもった。手づくりでかけあわせて。
きょうはそんな話。
過去の話だが
じつはいまは農業はやめている。先祖からかんがえると100年以上たがやしつづけたはたけ。中断するのはじつにもったいない。でもいまさらあとにはひけない。つぎのしごとのために街へとひっこした。たまにもどり雑草におおわれたはたけを見るのはしのびない。
なかでもかぼちゃづくりはおもしろかった。この作業についてふりかえりたい。いまわたしたちが店でふつう「かぼちゃ」と称するものはほくほくあまい西洋かぼちゃが中心。
もちろんさまざまな在来の日本かぼちゃもある。
こちらはねっとりしてあまさはあまりない。どちらかというと店では西洋かぼちゃのほうが好まれる。
じつはこの西洋かぼちゃ、栽培の後半になり実が大きくなるころに気温が上昇すると、葉を中心にうどんこ病とよばれる病気にかかりやすい。もちろん重曹水をかけて防除するのだが追いつかない。
たいていもっとも味がのるまえに葉がいたんでしまい、あと一息のところであえなくあじよくしあげられないことがたびたび。その横で在来種の日本かぼちゃ(島かぼちゃ)が元気に育つ。
こちらはうどんこ病にはやられずにびくともしない。葉は元気そのもの。きちんと完熟までこぎつけられる。1株で100個ほどつけることも。
思いつきでやってみた
そこである年、ちょうど両者の花時期をあわせて栽培。早朝に開花するのではたけにでて受粉を手作業でおこなう。それぞれの花粉たっぷりの雄花をそれぞれの開花したばかりの雌花のめしべに受粉。昼すぎには花は閉じて受粉完了。1週間して雌花の子房がふくらんできたら半分成功。ソフトボール大まで生長するとひとまず順調に肥大していく。
このみるみる大きくなる段階の実はうつくしい。陽のひかりをあびてつやつやかがやいている。よく観察して追肥のタイミングがたいせつ。呼吸が合うといきおいをたもったまま完熟をむかえるかんじ。ねらいはそうやってできた種子。つまりは西洋かぼちゃと日本かぼちゃのかけあわせの雑種第1代F1。さまざまな性質をもちあわせている。
こうして得たかけあわせの種子を翌年播種して苗をはたけに植えて、生育をくらべる。うどんこ病がでたらその株はあきらめる。病気がでないままそだつ株へ上に記したように、ほかのウリ科の花粉を受粉させ実を得る。
するとじつにさまざまなかたちの実ができる。雑種だから当然。なかには株の葉は日本かぼちゃ風なのに、実のほうは西洋かぼちゃ風のものができあがる。これこそねらいのもの。完熟をむかえるまでわくわくする。
おわりに
日本かぼちゃ風の株にみのった西洋かぼちゃの風体の実。
うどんこ病にかからずに完熟をむかえられた。さてお味は…。うん、おいしい。ほくほくした西洋かぼちゃ。若干あまみは抑え気味だがほくほくぐあいは西洋かぼちゃに劣らない。
こちらはわずかにうどんこ病ですんだ西洋かぼちゃ風の株で完熟をむかえられた西洋かぼちゃっぽい風体の実。ああ、ややこしい。
西洋かぼちゃ✕島かぼちゃ。このかけあわせ方で3年ほどくりかえしF1を得てそだててみた。その結果ほぼ何株かのわりあいでうどんこ病になりにくい株が出現する。そのままそだてるとこうした西洋かぼちゃ風のかたちをもつものがあらわれる。じつにたのしいし実用的。あまくないほうが動物害に遭いにくいし、あくまでも自家用。これで食べるにはじゅうぶん。
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