買わずに一生涯でつかう消しゴムをあっさり手にいれていると気づいた
はじめに
学習サポートを本業にして多くの児童・生徒に接してきた。文具は必須のアイテム。
生徒が忘れてくるとシャーペンや消しゴムを貸す。あるいはごほうびとして消しゴムを贈呈。ひごろなにげなくつかっている文具、職場でふと気づいた。
消しゴムは…
学習サポートの職場は6畳、6畳、4畳半の大家さんのはなれ。児童・生徒たちは6畳ふた間のあいだのふすまをはずし、広間にしてスチールの長づくえを置いてつかう。
おもに4畳半を事務スペースに。ここに木製の事務つくえをふたつ。ひきだしには予備の文具などをいれている。適度なひろさでおちつける場所。
こどもたちは学校帰りにたちよる。にもかかわらず文具を忘れてくる。なぜだろうとたずねると珍妙なこたえが返ってきがち。たずねないまま「はい。」と予備のえんぴつ、シャーペン、消しゴム、ノートのかわりの白い紙などをわたす。紙は広告のウラやコピーをしそこなったものなどの再利用。まっさらな紙などここにはないよとこどもたちもこころえている。
ここの先生(つまりわたし)はケチなので、わたしてもらえるものはたいていすりへり、紙のおもてにはさまざまなメモ書き、あたらしいものを提供してくれないのはわかっている。これでつぎはわすれまいとこころにきざむ。
ふとした出あい
数年前、たずねてきたむすめが手みやげになにかもってきた。「はいこれ、つかえるよ。」といいながらわたしてくれたもの。ほう、とわたしはおもわず声をあげた。わたしはものめずらしいものにかぎって感嘆符のつく声を発する。10センチ四方のポリぶくろのなかには十数個の白い物体がぎっしりはいっていた。
それはどうやら消しゴムらしい。らしいとつくのは形状がバラバラなため。いずれも直方体だが各辺のながさはバラバラ。ながいのもあればふといのもある。ではと市販品とくらべると消しゴムとしての性能は変わらない。「これで...いったいいくらなの?」ついうっかりたずねると、100均のふくろをたたみつつむすめがほらまたと笑っている。
外ぶくろの説明書きには市販の消しゴムをつくる際にでてくる端材とある。そうかこれまで利用されなかったぶぶんか。なるほどこれを市販で売り出そうと思いついたヒトはなかなかやるじゃないとそのときは思ったのだが…。
売ってはみたものの
上に書いた端材の消しゴム、たいへんお得。市販のものと性能は変わらずなんら遜色ない。生徒たちが忘れるとそのままあげても惜しくない。そのたびにあげているがなかなか減らない。
それもそのはず。わたしはこのところ比率がふえてきた高校生たちには学習サポートのここでは消しゴム禁止にしているから。とくに数学ではそう。消さずにさきにずんずんすすめるように指示。なぜまちがえたか検証するときに有用だから。
消費されないわたしのストックは昨今の病の状況もあいまって使い手がすくない。わたしも消しゴムをさいきんつかったのはいつだったかなと思いおこすほど。
そうなると消しゴムメーカーの方がこの端材を売り出そうというアイデアじたい心配になる。製品が売れなくなるのではと。
どのくらいかかるか
このふくろいっぱいの消しゴム。使いきるのはむずかしそう。わたしがめいっぱいつかっても数個にすぎないだろう。それにはさらにべつの理由がある。
大学4年で配属になった講座の研究室の大そうじ。めったにほうきのとどかない実験づくえの下。そのさきのさらに奥にたばこの箱ほどのなにか。ながい棒のさきでそれをさぐりだした。なあんだ使いかけの消しゴムか。
メンバーやスタッフにたずねるがもちぬしはあらわれずじまい。けっきょくわたしがつかう。そのまま手もとに残したまま、数十年経たいまもつかいつづけている。なにしろでかい。通常サイズのMONOの10個ぶんぐらいある。
数十年経てもいまだによい消しごこち。さいきんひょんなことからちいさなサイズの同製品をある方からいただいた。表面の覆い紙のデザインはかわっていない。いかにもドイツらしい。つかってみるとびっくり。けしごこちは数十年前と「新鮮」な新品とでほとんどかわらない。う~んすごい品質。
PV(ポリ塩化ビニル)製品なので消しカスは各自治体指定の指示どおりに処分が必要。
おわりに
検索すると、ドイツの老舗筆記具・製図メーカー、STAEDTLAER社の製図用の消しゴム。
この公式サイトには上の図内の表記で、
とある。それにしても数十年。ここまで表記どおりの品質で徹底しているとは。おそれいった。
おそらくひろった消しゴムとふくろの百均の消しゴム。両方で一生モン。
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