この時季だからあじわえる:パスタにとうだちやさいをあわせると…
はじめに
ひとむかしまえはたけをつくっていた。この時季には、秋作でそのままにしていた作物たちが新芽を出しはじめる。
秋から冬のあいだにじっくりためこんだ滋養を託すかのように、新芽の部分はあじが濃い。まちがいなく栄養も豊富。新鮮なうちに調理しよう。
きょうはそんな話。
おすそわけ
やさいがとれはじめるとわが家では食べきれなくなるので、知りあいや近所の方、それからしごとで日ごろおせわになる取引きさきへ、やさいやみかんをもっていく。「従業員でわけますね。」とのお返事を頂戴する。
さらに「このあいだのみかんは買ったものよりおいしかった」との言葉をいただき、気分よく帰ってきた。めいわくになっていなければといつもそれが心配。
おいしさがあつまる
さて、このところすう~とのびるやさいの新芽。まさに旬の時期。きりがないほど収穫できる。たとえば菜の花のひらくまえはくせがなくほのかにあまくほんとうにおいしい。かおりもよくまさに早春の風味。アブラナ科のやさいたちはつくづくおなじなかまなんだなとあじわいが似ている。
どれもならばどんな料理に使ってもおいしいもの。テレビの「きょうの料理」では、とう立ちした菜の花のつぼみの部分を下ゆでしたのち、豆腐と煮物にするシンプルな料理をやっていた(2017年2月)。
かつお節などのだしを使わず、下ゆでした菜の花からだしが出ておいしいとのこと。味は酒としょうゆを少々くわえただけ。たしかに菜の花からは皮のまわりを中心にいいだしが出る。
つぎの代に
とくにとう立ちしたやさいは、子孫をのこすためにここにためこんだ栄養を集中させるにちがいない。「きょうの料理」の先生は、「とう立ちした部分が今は旬でおいしいです。」とおっしゃっていた。
旬の部分を使ったパスタもいい。じつにかんたんでそれでいて素材のあじわいそのまま。はやくも昼の献立にしようとわくわく。採るタイミングによってはちょっとほろ苦くて大人の味。
あえて残すもの
大きなブロッコリーを収穫したあとの株。これは中心の売りもののブロッコリーをとった周囲にすでにぽつぽつと新芽が「つぎの番だ。」と準備万端。そのまま追肥で大きくなる。そして最初に収穫したものをうわまわるほどたくさん新芽を収穫できる。
ほぼ1日おきにいくつかの株を収穫してまわらないとならないほどになる。一方で菜の花の新芽のほうもおいしいのでこちらもたべたい。さらにタラの新芽も目につきはじめる。やわらかな芽のてんぷらはほかにかえがたい。
おわりに
こうしてあらたな農作業の1年があわただしくはじまる。4月の端境期までこうした収穫がつぎつぎ休みなくおとずれる。
新年をむかえたころからたねまきをして準備していた春作の苗を植えつける作業がほっとするまもなくやってくる。
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