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ごくふつうの素材の料理法しだいで生じる「アクリルアミド」を減らせる そのファクトデータの存在について


はじめに

 すでにご存じの方がおおいかもしれない。内閣府には食品安全委員会という組織がある。中立の立場にたち、わたしたちがふだん口にするあらゆるものに関して専門家のみなさんと行政の方々が活動している。

日本にいるわたしたちがふだん口にするであろう食品や成分について焦点をあてている。

世界各地から精度の高い情報を集め、論文を比較検討、場合によっては実験を追加しつつ討議をくりかえして、どのくらいなら安全かそうでないかの意見を集約し、回避方法などとともに報告している。その目的はそこで得られた情報をひろくすべての国民に周知するためにある。

そこから得た情報を例をあげて紹介する。なお、わたし自身はいずれの利害関係者でもないことをひとことふれておく。


食べものを口にすると…

 誤解なきようにお読みいただきたい。すべての食品(水もふくめて)は人体に対してある種の食べてもよいレベル、あるいはこれを超えると健康を害しますよとか、つづけて食べつづけるとからだによくないですよという値がある。

これはわたしたちも経験上おのずと常識の範囲で心得ているつもり。梅干しだけを食べつづけているとよくないだろうし、水だけかぶ飲みしても強靭なからだはできない。

でもじゃがいもの芽ってよくないって聞くけど…とか、かびが少し生えたモチは…とか、だんだん微妙に世代や立場でとらえ方にちがいのあるものもある。

ましてや加工食品にはさまざまな食品添加物などがふくまれているし、健康食品は世にあふれている。これらについては人々の見かた、とらえかたは千差万別。

そこで食品安全委員会はこうしたあいまいにされてきたことを、ひとつひとつとりあげて、科学的なファクトデータとして積み上げてきた。まだそんなに古い組織ではない。むしろ新しいほうだといっていい。それだけ省庁の垣根を超えて独立した組織として存在する。


実験の場で

 ここ数年で食品安全委員会からの情報で得たものとしては「アクリルアミド」に関してが興味深い。これは生命科学を仕事にしてきたわたしにはなじみ深い物質。ポリアクリルアミドゲル電気泳動。これはタンパク質や核酸の分析でさけてとおれないほどメジャーな手法。

生命科学の分野では基本として学生実験などで実習することが多い。「アクリルアミド」を重合するとポリアクリルアミドゲルができる。

ゲル中にタンパク質や核酸をおき、電荷や分子のサイズによる移動度のちがいで分析する。ポリアクリルアミドゲルはそうしたタンパク質や核酸の動きを制限する有用な資材。

その原料にあたるのがアクリルアミド。以前からわたしたちの分野ではこの物質は実験であつかううえで、それとなく安全性に注意を必要としてきたもののひとつ。


加熱の調理で…。

 「過ぎたるは及ばざるがごとく。」としてお読みいただきたい。なんでも極端はさけたいもの。これもそう。バランスのとれた食生活であればそれほど気にならないが、かたよった調理法や食生活の方には要注意かもしれない。

食品安全委員会のサイトには「加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報」に関連情報を置いている。

まずはそちらに目をとおしていただきたい。くわえて、そこにはリンクとして各省庁のアクリルアミドに関する資料を置いている。たとえば農水省のサイトにも「アクリルアミドを減らすために家庭でできること」 などみじかで詳細なものもある。

慎重に言葉をえらんで紹介するが、日常的なごくふつうの食品でも条件(食品の成分の種類や 「揚げる」、「焼く」、「炒める」などの調理での加熱温度)がそろうと、あくまでも食べつづけるとからだに支障がでかねないアクリルアミドの量ができはじめる。

炒めるなどの加熱時間がながく、濃いこげなどを生じない調理にとどめる、水にさらすなど具体的な対策もいっしょに書かれている。


おわりに

 アクリルアミドにかぎらず、さまざまな食品に関するファクトデータを得られるのがこの委員会のサイト。Facebookにもわかりやすい情報を置いている。

ふと疑問がわいたときに、ここの情報を入手して生活に活かすのもいいかもしれない。

あくまでも自己責任にてご利用いただきたい。


参考にしたサイト

内閣府食品安全委員会:https://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html

農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kagaku/topics/tp021101-1.html

国立医薬品食品衛生研究所:https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-1a.html


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