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高校「倫理」に登場する20数名の先人の生き方に恩師をつうじて惹かれる


はじめに

 高校生に学習サポートで「倫理」を教えることがある。もちろん高等学校の正式な教科のひとつとして。もちろんわたしは教える立場なので予習を欠かせない。高校時代にめぐりあった教師から、

「生きた学問」として倫理は一生使えるよ。

の言葉にあやまりはないといまさらながらに共感する。ヒトのイキザマのすごさを倫理のテキストから感じとれる。なんか長編の映画をみるかのよう。

たった20数名の…

 高等学校の倫理において登場するおもな人物は20数名。このほか派生しても十数名ほどにすぎず、ほとんどは前者の紹介につきる。ひとりを2~3週間で話していくとちょうど1年で終えるぐらい。しかも後半の各単元では3名ほどを併記して対比しつつおしえる。

前半の青年期の心理や社会学をふくむ「現代に生きる自己の課題」、「現代の諸課題と倫理」の部分をさらりと済ませる。あとは古代から現代に向かってこれらの人物の思想を紹介。おおくくりにしつつ1か月1単元でもよいぐらい。じっくり教えていくだけトピックなどもとりいれやすい。

それにしてもここに登場する人物たちはキャラがたっている。いずれもアニメにならないかなと期待する。西洋2に東洋1ぐらいの比率かな。わたしは高校時代に「日本史」と「倫理」を選択したので、その影響はいまでも尾をひき、すきなのは東洋の単元のほうかもしれない。

高校の恩師は倫理の…

 高校の3年間のうちの2年間を担任していただいた恩師は社会が専門。倫理と政経。なかでも倫理は全国模試の問題作成・解説などにたずさわるほどの人物。のちに県立最難関校の校長をつとめた。その授業はてづくりのプリントのみ。なにもノートをとらずとも聞いているだけでしぜんと引き込まれていく。

とりあげた人物の生きざまと思想がじわりとクラスのなかに表出、そして躍動した。すると教師と生徒、生徒どうしで丁々発止のやりとり。終わりには映画を一本見終わったような充実感すらあった。

じっさいにクラスから拍手がわいたぐらい。授業後の休み時間にすら余韻が残り、授業のはなしがあちらこちらで聞こえてくる。ほてった各自のアタマをアイシングするよう。生徒どうしでこんなに話す授業などほかにはなかなかないなかで、毎回のようにこの担任の話はわたしをふくめて生徒たちをとりこにした。

大学の専攻をこっちにしようかなといいだす友人がいた。まさにこの教師の影響にちがいない。

学習サポートのなかで

 そんな恩師のおこなうような授業ができたらいいなと生徒たちに教える際、はるかな先の目標としている。われながら当時受けた授業を思い出しつつ、すこしでも近づけるように意識している。

生徒たちはそんな倫理をおもしろいと言ってくれるし、大学入試の選択科目にする生徒がいる。そうした生徒たちにはとりあげた人物のまとめプリント2枚をもたせて入試に向かわせる。たった2枚にコンパクトにまとめた内容を頭のなかでものがたりできれば、入試をなんとかクリアできるとつたえて。

おわりに

 恩師の薫陶とはまさにこれかな。わたしにとっての影響は大きい。ようやくこの偉大な教師の努力は想像を絶するものだったにちがいないといまさらながら気づく自分がいる。

その山すそにさえ届かないし、目標にすべきでないのかもしれない。わたし自身のべつの小さくてもいいから組み上げて確固としてから生徒たちにつたえるのが本すじかなと最近は思い、そうすべく教えている。これですこしだけ気が楽になり肩の荷がおりてむしろ教えやすくなった。


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