【連載第215回】演劇的コミュニケーションと平田オリザの実践(1)
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「対話」を必要とする地方“まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている”。
『下り坂をそろそろと下る』(講談社現代新書、2016年)の冒頭、平田オリザは、司馬遼太郎の『坂の上の雲』をもじって、このように語り始める。日本はもはや、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と賞せられた経済大国ではない。明治の時代から、敗戦という挫折を経験しながらなお上り坂を