授業をオンライン化してみた話
専門学校でキャリア教育の授業をし始めて3年目。元々マンツーマンの面談がメインで、授業は苦手としていた私が、カリキュラムも資料も定着して「授業楽しいやん…」と思ってきた矢先、オンラインで授業をすることになってしまった。
めちゃくちゃ追い詰められて泣きながらオンライン化したので(というか今も準備の真っ最中)、泣いたけど頑張った私を消化するためにも書きます。
▼元々の授業
私が受け持つ授業は、「キャリアデザイン」という、ざっくりいうと就活準備をするための科目で、自己理解、他者理解から、仕事や社会を理解して、履歴書や面接対策、グループディスカッションの練習をするものです。
90分授業のうち半分以上は「ワークをする時間」で、考えて書いて、グループで共有することをメインにしています。
ちなみに40人前後で1クラスになっていて、必修なので毎回同じクラスメイトと授業を受ける、高校までと同じスタイル。
選択授業じゃないから、学生のモチベーションの差がかなりあるし、おとなしい学生も、自己開示が苦手な学生も、逆に話し始めたら止まらない学生も多い。
資料は学校指定のワークノートがあるため、それに沿って進める。プラス、A4サイズ2枚程度のレジュメを配って、授業をする。ワークノートの提出は半期で2回。
なので、私は、今年もレジュメを少し手直しする程度、の予定だったんです。
▼オンライン化決定!の連絡
新型コロナの感染拡大で早々に学校は立入禁止になり、4月からの授業も開始延期。
私はいつか来るであろうオンライン授業のために、「zoom授業のための○○」みたいな先人の知恵を読んで心の準備をしていました。
一方、小学校の授業が、公平性を保てないことから、オンライン化が進まないというニュースも見ていて、
オンライン化、難しいかも…?
と思っていました。
そして、学校側から連絡。常勤の先生方や、職員の方々は連日の検討や調整、本当に本当に本当〜〜〜〜に、大変だったと思います(私は非常勤)。
決定したのは
●原則zoomなどの配信・視聴が同時の授業は行わない
●資料や動画をアップし、課題を提出させ、質問に答える形をとる
ということ。
資料や動画をアップ…??
たとえば動画授業を作って、学生に見てもらうってこと…?
約3週間で前期の半分強9回分の授業を作る、という、地獄の授業準備を想像して、目の前が真っ暗になりました。
どうしよ……。
▼まずは学校の方針や授業スタイルを把握
使用するプラットフォームはGoogle Classroom。
学校側が生徒へ導入ガイダンスはしてくれるということなので、とりあえずそこの負荷は回避(ありがたい…ありがとうございます…)。
調べてみると、GoogleClassroomは学生とのやり取りもしやすいし、Googleフォームを使って簡単なテストも作って提出してもらえるし、良さげな雰囲気。
知らなかったけど世の中には便利なツールがたくさんあるのね〜。
常勤の先生が作ってくださった「パワポで作った資料をアップして、学生はそれを読む」というサンプル授業を見て、だいたいの準備する資料のイメージがつき始める。
ああ〜こうやって、戸惑いまくる非常勤講師を気遣って、手とり足取り「こうやってやるんだよ〜」と教えてくれる学校の姿勢に、本当にありがたい!と思いました。
ただ、これらの連絡はメールと、GoogleClassroom上でのやり取りだったので、「ログインしてこのプラットフォームを使う時点で戸惑って、レクチャーにたどり着かない先生もいるだろうなぁ…」と思いました。
▼さて私はどうやって授業する?を考える
まず私の特徴として、「動画を集中して見られない」という特性があります。
せっかちすぎて、ノウハウ動画とかも見れない。(写真と文字で書いてあるやつを探す)
テレビや映画も見ない。YouTubeも見ない。(人と一緒に見るとか、映画館で他のことできない環境なら見れる!)
「せやろがいおじさん」のYouTubeとかはスピーディーでテロップがわかりやすいから、ギリ見れる。
そんな私が、90分授業の動画を作るとか、無理。作っても自分が見れない。
素晴らしいYouTuberたちの動画に慣れてる学生が、私が作った授業動画を、集中して見れるわけない。私なら寝る。tiktokサイズにまとめてほしいと思ってしまう。
前置きが長くなったけど、そんな訳で動画制作は早々に諦めました。
そのため、私の準備は
今まで授業でしゃべってた内容を、パワポで作る
スタイルです。
プレゼン資料というより、紙芝居の作成に近い。
プレゼン資料は要点だけ書いて、ごちゃごちゃ説明しない、が鉄則ですが、今回はプレゼンができないので説明も読み物として全部書くしかない。
学生が、単なる図や表だけの資料を読み解くのはとても大変だし、全授業がオンデマンドになり学生はぐったりだと思うので、
なるべく問いかけたり、語りかけたりする口調で作ろう。
と私の授業制作の方針が決まりました。
▼口頭で15分で終わる内容を作るのに1日かかる
元からしゃべるのは比較的得意だけど資料作成は苦手なタイプ。
しかも構成を考えながら作るから、もうめちゃくちゃ時間がかかる。
世の中の教材作りをしてる先生たちを100万回尊敬したし、授業のオンライン化を!と叫ばれる要請に何とか応えようとしている先生たちの苦労に120万回共感しました。
学生には良い授業を受けてほしい。
きちんと学んで身につけてほしい。
あれも、これも、経験してほしい。
でも、そこに至るのは簡単じゃない!どうしたらいいの〜〜!
という葛藤を、世界の端っこのイチ非常勤講師の私が思っていたぐらいなので、世の先生たちの葛藤は計り知れないです。
とにかく、学生にとって、イヤ!とならないような、でも学びになるような授業を、うなりながら考え、連日パワポに向き合い、資料を作り、
結果、いらすとや芸人、みたいなことになりました。
その話はまた今度書こうと思います。
とりあえず1回の授業が30〜40枚のスライドになり、課題をする時間も含めて90分以内で終わるかな、というサイズ感になりました。
1回の授業のコンテンツは3つぐらいですが、イラストも入れるし、スマホでスライドを見る学生に考慮してフォントサイズは32〜44ptぐらいを基本としているため、どうしてもスライド数が多くなりました。
▼肝心のグループワーク部分、どうする?
今まで、キャリアデザインの授業は、「考えて、書いて、共有する」ことを大切に、実施してきました。
発信して、フィードバックをし合うことで、自分を知って、他者を知って、成長していく。
その、人との交流という経験に勝るものはないと思っています。
でも、クラスメイトの顔も名前も知らない今のような環境下では、学生の心の安全を保ちながら、交流をしてもらうのは難しい。
Wi-Fiが無い家もあるし、安心して授業を聴いたり、発言したりできる個室の無い学生だっているかもしれない。
ただ、実際、今の就活はWEB説明会やWEB面接が当たり前になっていて、今後、学生たちはその状況に適応せざるを得ない。
このままの状況が続けば、WEB面接練習や、WEBグループディスカッションの練習も必要。
でも、(完全ではなくても)最大限の公平性を考えると、今はzoom授業での交流はできない…。
という、葛藤の堂々巡りです。
まだ授業が開始されていないのでわかりませんが、文字だけで、トラブルの少ない範囲で、発言や交流することができないかなぁ、と考えています。
というわけで、グループワーク部分は保留です。試行錯誤していくのと、学校や他の先生方と方針をすり合わせながら考えていきます。
▼まとめ
授業オンライン化の戸惑いは大きかったですが、
問いかけたり、語りかけたりする紙芝居のような授業を作る
という、授業の方向性はどうにか作れましたし、
改めて自分の知識を言語化できた
学生に自主的な調べものをしてもらうには好都合
というメリットにも気付きました。
きっと、対面授業よりインプット効率が上がる学生もいるし、インプット効率が下がる学生もいます(私は先生とのコミュニケーションでインプットしてたから、下がるタイプ…)。
しかし、環境が変わった以上、適応が必要。逆転も仕方ない(今まで不利だった人もいたわけだし)。
授業が始まらないとどうなるかわかりませんが、なるべく良い学びの場を作れるよう、今後も試行錯誤していきたいと思います。
「自分を知って、楽しく生きよう」をモットーに、自己分析や、就活、婚活、終活に役立つ記事を書いていきたいと思います。