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1/21 ニュースなスペイン語 Píldora viva:生きたカプセル

スペインの研究チームがある技術の開発に成功した。

肺炎(infección pulmonar)を引き起こす菌に、「緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)」というのがあるらしいが、この細菌(bacteria)はバイオフィルム(biopelícula)という菌膜を作り、抗生物質などが届かないような構造しているという。

緑膿菌は、このバイオフィルムを気管支の表面に作り、この裏に隠れて、悪さをする。だから、「スーパー耐性菌(superbacteria)」などと、憎たらしい異名もある。

スペインゲノム解析センター(Centro de Regulación Gemómica)という研究機関が、そんな厄介者の緑膿菌退治に目を付けたのが、他でもない、バクテリアそのものというのが面白い。

肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)というバクテリアから、肺炎を引き起こす能力(capacidad patógena)を取り除き、その代わりに緑膿菌を攻撃するように改造(modificar)した(!!)という。

抗生物質が効かないなら、バクテリアにバクテリアを退治させる――。

まさに、微生物を改造した「生きたカプセル」ということになる。

我々は抗生物質の効かないバクテリアを攻撃できる破城槌を開発したわけです(Hemos desarrollado un ariete que asedia a las bacterias resistentes a los antibióticos)

研究チームの代表は胸を張る。

ちなみに破城槌は、読んで字のごとく、以下に見るような、太古の兵器。

緑膿菌が作るバイオフィルムを「要塞(fortaleza)」に見立てているのだろうが、最新の技術の結集の割には、例えがアナログで、何とも、可笑しい。

だけど、それだけに、親しみもわく。

肺炎マイコプラズマはゲノム(gen)がわずか684体しかない上に、細胞壁(pared celular)が無いので、その単純さ(simplicidad)が改造に適してるという。

それでも、苦節20年(hace dos décadas)の地道な研究の結晶。

しかも、肺がん(el cáncer de pulmón)やぜんそく(el asma)といった呼吸器系の疾患(enfermedades respiratorias)にも応用が期待されているというから、いやはや、バクテリア様様だ。

ただし、今回はマウス(ratón) での実験のお話。これがヒトに応用されるまでには、まだ、時間が必要かもしれない。

写真は肺炎マイコプラズマ。

ちなみに、破城槌は、まだ、スペインでは現役だということを思い出した(詳しくは2021年3月31日の記事を参照)。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230119/pildora-viva-infecciones-pulmonares-resistentes-antibioticos/2416613.shtml