11/19 ニュースなスペイン語 Lecciones de Japón(1):日本から学ぶこと(1)
「日本からの教訓」と訳してもいいだろう。
スペインのメディアに「日本(Japón)」という表現が出てくることはあまりないので、つい、身構えてしまうが、今回は良い内容。
カルメン・グラウ・ビラ(Carmen Grau Vila)はバレンシア州出身で、現在40歳、災害マネージメントの専門家(experta en gestión de desastres)だ。
カルメンは1996年、まだ、幼かった時に、不幸にもバレンシア州を襲った大豪雨(fuertes lluvias)と川の氾濫(riada)を経験した。
そして、不運は重なるもので、2011年にカルメンは日本での勤務中、東日本大震災が発生し、地震(terremoto)、津波(el tsunami)、原子力発電所の事故(accidente nuclear)を経験する。
そんなカルメンがこの度、タイトルに示したように、日本での水害を通じて得た7つの教訓を寄稿している。
日本にいる我々にとっては当たり前のことが、しかし、バレンシア州(もしくは、スペイン)では、まだ、実現されていないことののようだ。
教訓1 ラジオをもっと活用すること。
水害によって、電気も無く、電話も通じない時、ネットからも、テレビからも情報を得ることはできない(Cuando no hay electricidad ni conexión telefónica, no nos podemos informar a través de internet o la televisión)というのがカルメンの見立てだが、「しかし、ラジオは生存者の元に届くのです(Pero la radio sí llega a los supervivientes)」とのこと。
ラジオフリークの小生からすれば、何を今更、とも思うが、しかし、今まで軽視されていたラジオが有事の際に力強い情報源になるなら、まぁ、振り上げたコブシも収めよう。
教訓2 72時間の壁(franja de 72 horas)をもっと意識すること。
そのために活用すべきは、被災地の外からの専門家たちの援助(ayuda exterior internacional experta)というのがカルメンの主張。
住民たちの連帯は巨大な力になる(La solidaridad de la población es inmensa)が、しかし、専門家の援助は被災者の生命に関わる(pero la ayuda experta es vital)というのも、また、カルメンの経験値だ。
日本は、なるほど、スペインと比べると、被災地以外(時には海外)の力を加えることで、困難を乗り切ってきた(のだろうが、被災していないとあまりその実感がない)。
海外の有事の際、大勢の日本人がボランティアで何かしようと、居ても立ってもいられなくなるのには、こういう背景がある。
恩は直接返せないかもしれないけど、恩は他に送ることも出来る。
教訓3 カオスの中にも規律を徹底すること(Orden en el caos)。
極限状態においては、生き残ることと身の安全は何よりも大切(la supervivencia y seguridad es vital)。
だけど、互いに助け合い、親切になること(Ser solidarios, amables)、そして 赤ちゃん、女性、妊婦、子ども、病人、年寄りなどの弱者に食料品と必需品を優先して提供できること(y racionar alimentos y enseres priorizando a las personas en situación de mayor vulnerabilidad: bebés, mujeres embarazadas, niños y niñas, adolescentes, enfermos y ancianos)、これを忘れないことが肝要というのがカルメンのアドバイス。
日本人がこれほど他己中心的で、規範的かどうかは分からないが、少なくとも、カルメンにはそんな風に見えたのなら、まぁ、良かった。
カルメンが伝える日本からの教訓は、あと4つあるが、稿を改めよう。
写真は今月2日に愛媛県を襲った豪雨によって浸水した通り(calle inundada)
出典
https://climatica.coop/lecciones-de-japon-para-gestionar-el-desastre-en-valencia/