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9/26 ニュースなスペイン語 Asesinato vial:道路での殺人

少なくとも、2016年代から、スペインでは、「カー・デー・デー(KDD)」と呼ばれる違法レース(carrera ilegal)が行われ、多くの死傷者が出ている。

タイトルのことばはそんな違法レースの巻き添えで娘を亡くした父親が語ったもの。こんな文脈だ。

私に言わせれば、奴らは道の殺し屋だ。事故じゃない。道路での殺人でしかない(Para mí son asesinos de la carretera. No son accidentes, eso son asesinatos viales, ni más ni menos)

違法レースは公道で行われたり、都心から離れた場所(sitios alejados del núcleo urbano)、例えば、工業団地(polígono industrial)内の敷地やショッピングモール(centros comerciales)やスキー場(estaciones de esquí)などの大きな駐車場(grandes aparcamientos) で行われたりする。

レースは大体週末に行われるが、ウィークデーにも行われる(Suelen ser fin de semana, pero también puede ser entre semana)という。

車はいずれも改造車で、日本車もある。時速150キロを上回るスピード(velocidad)で爆走する。

こうした無謀な運転をするドライバーたちは、時に、「カミカゼドライバー(conductor kamikaze(スペイン語での発音は「カミカーセ」っぽく聞こえる))」と呼ばれる。多くは18歳から25歳くらいの男子で、スピード狂(amante a la velocidad)。

アルコールやドラッグは、一般的なスペイン人たちを上回る摂取量(índices de consumo superiores al del resto del común de los ciudadanos)は検知してないという(つまり、相応に検出はされている、ということ)。

ところで、スペインの刑法(Código Penal)では、「事故(accidente)」は「不慮・無思慮(imprudencia)」によって生じたものと規定している。   

しかし、違法レースは、交通事故被害者の会によると、「不慮の事故なんかじゃなくて、避けることのできた惨事(No estamos hablando de accidentes, sino de siniestros que se podrían haber evitado)」という。

交通事故の遺族の苦しみは肉親を亡くしたことだけではない。その後の司法手続き(proceso judicial)の遅さ(lentitud)や事故を証言させられることで、よみがえる(revivir)凄惨な記憶――。加えて、加害者への刑罰の軽さも遺族を苦しめる。

冒頭の事故の例では、加害ドライバーたちはもう、とっくに、禁固2年半の刑期を終えた(cumplieron dos años y medio de prisión)。そして、罰金(multa)も、最低、500ユーロ(約6万9000円)というから、人を殺めたにしては、あまりにも安い。この額には「少な過ぎて笑いすら出てくる」という意味の「irrisoria」と形容詞が使われることもある。

上述の交通事故被害者の会は、政府に対して、厳罰化(un endurecimiento de las penas)を求めている。

日本でも危険運転致死傷罪が新設されて罰則は確かに重くはなったが、ほぼ毎日、目にするあおり運転や無謀運転のニュースを見るにつけ、厳罰化が果てして根本的な解決になるのかどうかの疑問を感じる。

むしろ、遺族と1年間ともに生活させて、肉親を奪ったことがいかに大きな悲しみを生んだのかを実感させる方が良いんじゃないかしらん。罰則より意識変革。

写真は違法レースの一幕。日本の暴走族やルーレット族とも通底してるのかも。

出典https://www.rtve.es/noticias/20220924/victimas-carreras-ilegales-no-son-accidentes-son-asesinatos/2402984.shtml