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ニュースなスペイン語 Euroorden:欧州逮捕状

カタルーニャ独立問題が新たな局面に入った。今日までの大まかな流れを思い出しておこう。

2017年10月1日、カルラス・プッチダモン(Carles Puigdemont)首相が率いるカタルーニャ州政府(Govern)は、同州の独立を問う(違法な)住民投票(referéndum)を実施。結果は投票率43%、独立賛成90%であった。この投票結果を受け、プッチダモンは勝利宣言を行ったが、独立宣言は保留した。正確には10日に独立宣言に署名はしたものの、すぐさま凍結した。その間、わずか8秒。スペインの当時の新聞には「8秒間の独立(Independencia de ocho segundos)」とか「8秒間の共和国(República de ocho segundos)」などの見出しが並んだ。

結局、プッチダモンは27日に首相を解任され、現在は、ベルギーに亡命状態(exiliado)にある(スペイン国内には「逃亡(fugitivo)」と評する政治家もある)。プッチダモンらには、スペイン国内で逮捕状が出ている。罪状は「扇動罪(delito de sedición)」と「公金横領罪(malversación)」。

そして、そのプッチダモンと他2名に対して、欧州議会(Parlamento Europeo)は9日、非逮捕特権(la inmunidad)を無効にする決定を行ったというニュースが今朝、入ってきた。プッチダモンらの非逮捕の無効化に、スペイン社会労働党(PSOE)、国民党(PP)、市民党(Ciudadanos )、ボックス党(Vox)出身の欧州議員(eurodiputado)が賛成票を投じたのに対して、ポデモス党(Podemos)他、カタルーニャ州からの各政党からの議員は反対票を投じた。連立を組むPSOEとポデモス党の異なった投票行動は今に始まったことではない。ポデモス党の振る舞いにいつもは静観の構えのPSOEだが、今回ばかりは「ポデモス党はなぜ反対票を投じたのかを説明する必要がある(Podemos tendrá que explicar por qué ha votado lo que ha votado)」とピシャリ。今後の両党の動向が注目される。

いよいよ、欧州逮捕状(la euroorden)の発行が視野に入った。しかし、プッチダモンらの引き渡しと身柄の拘束には、まだ、いくかの法的ハードルがあるようだ。これは機会を改めて記事にしたい。

カタルーニャ独立問題をめぐり、実は、もうひとつ国内で動きがあった。

一連の独立問題に関わったとして当時の副首相だったオリオル・ジュンケラス(Oriol Junqueras)は、最高裁から、2019年、「扇動罪」などの罪で禁固13年の判決を受けた。しかし、第三級恩赦(el tercer grado)による仮釈放(semilibertad)のため、先月出所し、カタルーニャ選挙などの政治活動に携わっていた。そして、そのジュンケラスと他数名の政治家たちが、9日夜、自身が党首を務めたカタルーニャ共和主義左派(ERC)の党員や家族、支持者らに見送られながら、再び、拘置所に帰っていった。日本では見ない光景だけに、やや、度肝を抜かれるが、これがスペインの民主主義の形なのだろう。

写真はCosas de un pueblo(3.9)より。欧州議会で非逮捕特権をはく奪されたプッチダモン(中央)、トニ・コミン(Toni Comín(左)) 、クララ・ポンサティ(Clara Ponsatí(右))。