8/9 ニュースなスペイン語 Puntos violeta：パープルサポート
Puntos violetaは、直訳すれば、「すみれ色の拠点」ということになるが、実際は、「男性からの暴力を受けた被害者女性たちが駆け込める場所（espacios concretos a los que pudieran acudir las víctimas de violencia machista）」を指す。
紫はフェミニズム運動を象徴する色で、スペインだけでなく、いろいろな国で使われている。
日本に、これに相当する拠点があるのかどうか分からない（けど、似たサービスがある）ので、「パープルサポート」としておいた。
パープルサポートは2021年頃、平等大臣（Ministra de Igualdad）である、ポデモスのイレネ・モンテロ（Irene Montero）らの発案で導入され、２年程の間で瞬く間に広がった。
商業施設（comercios）や企業（empresas）、そして、各地の祭り会場（festejos）などに設置されるようになったという。
あなたの話を聞かせて。あなたに寄り添い、すぐに、援助します（te escucharemos, apoyaremos y ayudaremos al instante）――。
パープルサポートのスタンスだ。
そのパープルサポートの拠点が、今、国民党（PP）やボックス（Vox）などの右派勢力が統治している自治体の、特に祭事会場から、排除（eliminar）されているらしい。
特にマドリード州にこうした自治体が増えているらしい。
国民党やボックスにしてみれば、パープルサポートは、いかにも「ポデモス的（podemitas）」で、「（性暴力の）情報発信拠点なんかではなく、単なるプロパガンダだった（No era un punto violeta informativo, era propaganda）」と見えるらしい。
祭事からパープルサポートを排除した自治体の責任者は次のように話す。
去年のお祭りでは案内所を計20時間設置しました。3000人以上を対応してきましたが、この５日間、性暴力事案は一切ありませんでした（En las fiestas del año pasado se cubrieron un total de 20 horas con esos puntos, por los que pasaron más de 3.000 personas, y a lo largo de los cinco días no se atendió ni se tuvo conocimiento de ninguna agresión sexual）。
と、まぁ、問題なかったとの認識。
一方、パープルサポート擁護派は「暴力に苦しみながら、誰にも言えなかった女性たちが駆けつけ、そして、話をする場面を私たちは見てきた（Hemos visto que sirven para que mujeres que han sufrido violencia en otros momentos y no lo hayan contado se acerquen y lo expresen）」と指摘する。
そして、次のように話す。
被害者は性暴力について教育を受けた人に対応されなければなりません。時に緊急事態に備えなければなりませんし、女性の側に立った視点が必要です。よくある情報センターや警察官がひとりいるくらいじゃ十分ではないのです。警察官やスタッフの皆さんの仕事ぶりに疑いの余地はありませんが、皆さんがしっかりした性暴力についての研修を受けているわけではありません（Las víctimas deben ser atendidas por personas formadas en violencia sexual, en intervenciones de emergencia y con perspectiva feminista. Un punto genérico o uno con solo presencia policial no es suficiente. No dudo de la profesionalidad de los agentes, pero no todos tienen este tipo de formación）。
パープルサポートの排除の賛否はともかく、右派勢力が政権を担うことで起こりうることの縮図。
写真はどこかのパープルサポート。
出典
https://edup.ecowas.int/new/2023/08/02/el-pp-vota-contra-los-puntos-violeta-en-las-fiestas-patronales-de-las-rozas-madrid/