見出し画像

12/18 ニュースなスペイン語 Juan Carlos Ⅰ:フアン・カルロス1世

フアン・カルロス1世は、現国王フェリペ6世(Felipe VI)の父親で、2014年6月18日、正式に王位を譲位した(abdicación)。現在は、「Rey Emérito」という立場なので、本来であれば、悠々自適、スペインで穏やかに余生を送っているところだが、現在、スペインにはいない。

現在、アラブ首長国連邦の首都であるアブ・ダビ(Abu Dabi)で隠遁生活を送っている。もう少し正確に言うなら、隠遁生活を送らざるをない状況に追い込まれ、2020年8月、アブ・ダビに移らざるを得なかった。

私がスペインを去って、何人かの人はさぞかし喜んだことだろう(Algunos están muy contentos de que me haya marchado)ーー。

とても、国を務めた人とは思えない、いじけたことばだ。フランスで出版された書籍『堕ちた私の王(Mon roi déchu)』の中で語ったとされることばとされる。

この度、アブ・ダビで開催されたテニス大会で、スペイン人のラファエル・ナダル(Rafael Nadal)がイギリスの選手と対戦することになり、久々に公の場に姿を現した。

不透明なクレジットカード(tarjetas de crédito opacas)、スペインへの帰国願望(deseo de volver)、国王の「女友達」コリーナ・ラルセン( la amiga del rey emérito Corinna Larsen)ーー。フアン・カルロス1世にはいろいろな(ゴシップ的な)話題が事欠かない。

10月19日の記事でも紹介したように、フアン・カルロス1世が在位の時にクーデータ(golpe de estado)があり、国王はこれに屈しなかった。暴力に自由と民主主義が勝った瞬間だった。その象徴的な存在だったのがフアン・カルロス1世だった。このように、フアン・カルロス1世はカッコイイ国王だったのだが、残念ながら、いろいろな疑惑やらスキャンダルやら不透明なカネなどで、晩節を汚した。

ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)現政権は、左派なので、当然のことながら、前国王に対して「国民に対して、説明責任がある(debe dar explicaciones a los ciudadanos)」とし、帰国したいなら、一定の説明をすべきであるとの立場を取る。前国王にしてみれば、せめて、右派の国民党(PP)が政権を取っていれば、もう少し、帰国の筋道が立てやすいのだろうが、サンチェス政権が仁王立ちになっている今、なかなか、胸を張ってスペインの地を踏むのが難しいだろう。

日本と違い、スペインの王室(Casa real)は政治にも口を出すので、政治からも叩かれる。

写真はナダルの試合を観戦する、マスク姿のフアン・カルロス1世(中央)。