見出し画像

7/30 ニュースなスペイン語 Sin corbata:ノーネクタイ

ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相が公の場にノーネクタイで登場したことがちょっとしたニュースになっている(写真)。

サンチェスは次のように語った:

私はネクタイをしない。これは、エネルギーを誰でも節約できることを意味している。(ネクタイを使わないように)全大臣と公的施設の責任者たちに要請した。民間部門でも、できる限り、ネクタイを使わなくて良いときは、使わないように。こうすれば、皆がエネルギーを節約できる(No llevo corbata, eso significa que todos podemos ahorrar desde el punto de vista energético y he pedido a todos los ministros y a todos los responsables públicos. Y al sector privado, en la medida de lo posible, que cuando no sea necesario no utilicen la corbata y así todos ahorraremos)。

今や日本では、総理大臣を始めとする閣僚や会社員の夏のいでたちとして、ノーネクタイは当たり前だが、スペインでノーネクタイが議論され始めたのは、2011年頃だった。

当時の経済大臣(Ministro de Economía)のミゲル・セバスティアン(Miguel Sebastián)が下院議会(Congreso de Diputados)にノーネクタイで参上したとき、議長のホセ・ボノ(José Bono)が、「服装規定(disciplina de vestido)」に言及し、暗に批判した。

セバスティアンは当時を回顧し、昨年行われたあるインタビューで次のように嘆いて見せた:

日本のエネルギー大臣は、(ノーネクタイで)総理大臣に感謝されたが、私は違った(El ministro de Energía de Japón fue apoyado por su primer ministro, y yo no)。

日本でノーネクタイの、いわゆる、「クールビズ」が始動したのが2005年。温暖化防止対策の一環だった。

スペイン政府は週明けにもエネルギー節約のための緊急措置(medida urgente)を可決させる。ヨーロッパがロシアからの原油の輸入を制限することで、これから、ヨーロッパは深刻なエネルギー危機と対峙することになる。

来るエネルギー危機への対策のひとつとして、エアコンの夏の設定温度を27度を下回らないように、そして、冬は19度を上回らないように、企業(empresa)や商業施設(comercial)、公共交通機関(transporte)に義務付ける。

ネクタイはヨーロッパでは17世紀の半ばにはすでにその原型があったが、日本で出回ったのは、遅れること、19世紀末のこと。ネクタイの歴史が長い分、人々への定着度も高いだろうし、ノーネクタイへの抵抗も強いか。

今回は首相自らエネルギーの節約の手本を見せたというところ。

写真はノーネクタイのサンチェス首相。ちなみにスペイン語でネクタイを意味するcorbataはイタリア語のcorvattaに起源を持つ。そして、このイタリア語はフランス語のcravateから派生している。で、このcravateは元来、「クロアチアの」を意味する。クロアチアの騎馬隊(soldado de caballería)がネクタイの原型となる布を首に締めていたことによる。

出典
https://www.eldiario.es/rastreador/pedro-sanchez-no-llevo-corbata-ahorrar-punto-vista-energetico_132_9210283.html など