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1/28 ニュースなスペイン語 Auténtica hermandad:真のきょうだい関係

昨日の記事で、アンダルシア州カディス県の都市アルヘシラスで25日、男が教会関係者を含む1人を殺害、4人に重軽傷を負わせ、男が地元警察に拘束されたと書いた。

その続報。

殺害されたのは聖母ラ・パルマ教会の司祭助手(sacristán)のディエゴ・バレンシア(Diego Valencia(写真))。

本来なら私が死んでいたかもしれません。犯人はディエゴが私だと思ったからこそ、彼にめがけて一直線に向かって行ったのでしょう(Yo debería ser el que estuviera muerto (...). Esta persona se pensaba que Diego era yo, y por eso, fue directamente a por él)。

こう語るのはパルマ教会の司祭(cura)フアン・ホセ・マリナ(Juan José Marina)だ。

マリナは犯行当日はたまたま別の教会の式典に参加していて、同僚がパルマ教会でミサをやっていたという。

バレンシアがその同僚の補佐を努め、ミサを終え、祭壇を片付けていた(recogiendo la mesa del altar)まさにその時、男が叫びながら教会に入って来た。

バレンシアは助けを求めに教会を出ようとした際、襲撃されたらしい。

さて、アルヘシラス市長によると、同市には129の異なる国籍の人々が暮らしていて、平和的かつ調和も取れていた(conviven 129 nacionalidades diferentes y siempre han estado en paz y armonía)という。

こうした多国籍都市アルヘシラスにおいて、キリスト教徒とイスラム教徒の関係は、マリナ司祭によれば、「良好(buena)」だった。

そして、イスラム教協会の代表がアルヘシラスでのキリスト教徒とイスラム教徒の関係について用いたのが、タイトルの「真のきょうだい関係」という表現だ。

イスラム教とキリスト教のルーツは同じだから、そもそも、きょうだい関係にあるのだが、これに加え、宗教の垣根を超えた、信者同士の交流も、まさに本物のきょうだいのようだったのだろう。

イスラム協会の代表は、今回の犯行を「下劣で卑怯なテロ攻撃(vil y cobarde ataque terrorista)」と呼び、こうした行為は「いかなるイスラムの教えにも無いし、イスラムの価値観とも合わない(no representa al Islam, ni a los valores islámicos)」と強調した。

今回、スペインの裁判所が、容疑者の男を単に「イスラム過激派」とせず、「サラフィー主義(Salafismo)」 と関連がある者と認定したのも、イスラムへの偏見や憎悪を助長しないための配慮なのだろう。

イスラムが過激なのではなく、過激な輩がたまたまイスラムを信仰していただけのこと。 

もちろん、これはキリスト教徒や仏教徒にも当てはまる。

写真は殺害されたディエゴ・バレンシア。

司祭助手という役職名から勝手にもっと若い人かと思っていたが、享年60歳前後(unos 60)だったという。バレンシアは市内で花屋(floristería)を営んでいて、催事には花飾り(adorno)を卸していた。

人から愛され、そして、尊敬されていた(querida y respetada)という。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230126/testimonios-ataque-musulman-iglesias-algeciras/2417749.shtml