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2/8 ニュースなスペイン語 Alta cocina:高級料理

タイトルはフランス語の「オートキュイジーヌ(haute(高級な) cuisine(料理))」をスペイン語にそのまま置き換えたもの。

ちなみに、alto/aは、「背が高い」という意味なら、名詞の後ろに置く。タイトルのように名詞の前に置くと「地位とか品質が高い」という意味になる。

閑話休題。

フランス(語)のオートキュイジーヌは宮廷料理に起源を持つ、贅を尽くした料理を指すらしい。

今回紹介するのは、スペインでは、高級料理の多くが「España Vaciada」に集中しているという記事。

Españaは「スペイン」、Vaciadaは「空の;人がいない」という意味。

つまり、「España Vaciada」は過疎化の進んだスペインの僻地を指すことばで、コロナ禍でテレワークの拠点として注目されることもあった。

España Vaciadaで食せる高級料理は、「原点に、そして、その土地の旬のものに回帰する(la vuelta a los orígenes, a lo natural y al producto local de temporada)」というコンセプトがあるというから、まぁ、これはこれで贅沢ではあるけど、少なくとも、元祖オートキュイジーヌの贅沢とは違う。

記事で紹介されているひとつが、ラ・リオハ州のダロカ(Daroca)という村にある「ベンタ・モンカルビージョ(Venta Moncalvillo)」というレストラン(写真)。

この村の住人は現在56人(habitante)。

ダロカは「スペインでミシュランの星を有す最も小さい場所(la localidad más pequeña de España que cuenta con una Estrella Michelín)」とも言われている。

ベンタ・モンカルビージョはイグナシオ(Ignacio)とカルロス(Carlos)のエチャペストロ(Echapestro)兄弟が1997年に開いたレストラン。

エチャペストロ兄弟(カルロス(左)とイグナシオ)。自前の農園をバックに。

開店当時、村には、わずか34人しか住人がいなかったという。

僕らは単にこの村に住みたい、そして、そのための食い扶持を探さなければならないという、非常に単純な理由で、たいへん質素な食べ物屋を開いたんです。(En el año 1997 abrimos una casa de comidas muy sencilla con un objetivo muy sencillo: vivir en el pueblo y buscar un incremento de rentas para poder vivir aquí)。

兄のカルロスはこのように回顧する。そして、

僕らはずっとこの村に住み続けたかったんです。で、27年経った今、僕らはまだ、ここにいる。目標達成ってことですね(Queríamos seguir viviendo en el pueblo y 27 años después seguimos aquí. Objetivo conseguido)。

と胸を張る。

記事の締めくくりのことばに、これからの街づくり・町おこしのヒントがあるかもしれない。

昔と違い、町の中心はもはや教会の周りにはない。今回のケースのように、環境と経験は、田舎と生涯にわたる味に重きを置く食卓の周りに育つ(A diferencia del pasado, ahora los núcleos de población ya no crecen en torno a la iglesia, sino que en casos como este, el ambiente y la experiencia se desarrolla en torno a una mesa que pone en valor lo rural y el sabor de toda la vida)。 

写真は「ベンタ・モンカルビージョ」。

検索してみると、繊細な料理がたくさん出てくる。

前菜(aperitivo)。サクっとしたもの(crujiente)の上にオレンジ(naranja)とフェンネル(hinojo)を合わせた何かが乗っているらしい。

どんな味か想像を駆り立てる。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230205/alta-cocina-pone-valor-espana-vaciada/2420547.shtml