1/7 ニュースなスペイン語 Bienestar animal（２）：動物の福祉（２）

昨年８月25日の記事の続報ではないが、関連したお話。

先の記事にも書いたが、「bienestar」は一般的には「福祉」と訳されるが、語の構成上は「bien（良く）」と「estar（あること；いること）」という意味のふたつの語が組み合わさったもの。

従って、今回のケースは「動物が心地よくいられること」という訳でも良いかもしれない。

さて…

今年の東方の三博士（Reyes Magos）のヒトコブラクダ（dromedario）の背中（lomo）に乗ったパレード（cabalgata）は見納めかもしれない――。

さらに、もう少し、遡って、サンタクロース（Papá Noel）がトナカイ（reno）の引くソリ（trineo）に乗って登場するシーンは、今年のクリスマス（随分先の話だが）には、見られないかもしれない――。

なぜなら、こうした行為が、政府が成立を目論む（tiene previsto aprobar）「動物福祉法（Ley de bienestar animal）」によって禁じられるかもしれないからだ（prohibirá）。

動物愛護団体（movimiento animalista）は数年前から、人が密集していて、騒々しい環境（ambientes masivos y ruidosos）に慣れていない動物たちを、パレードで使うことに反対する運動を繰り広げてきたという。

一方、こうした動物愛護の動きを「極端な過激派（extremista）」と批判する人もいる。

パレードなどにヒトコブラクダやトナカイを貸し出す業者（proveedor）の代表は次のように主張する。

我々が飼っているヒトコブラクダには一切、ストレスなんかないさ。大勢の人の中でストレスを感じている動物は、ナーバスになって、グルグル回ったり、人間になつかないし、第一、反すうをしなくなる。でも、パレードに出ているうちのラクダたちは落ち着いたもので、反すうだってよくしているよ（Los dromedarios que nosotros tenemos en absoluto tienen estrés. Un animal que está estresado entre gente está nervioso, da vueltas, no se muestra confiado y sobre todo, no rumia. Sin embargo, los dromedarios que acuden a las cabalgatas están tranquilos e incluso tienen activada la rumia）。

まぁ、専門家が言うのだから、一理あるのかもしれない（が、この弁を語る男性はルベン・マタンサ（Rubén Matanza）という名前らしいが、「マタンサ」という苗字が何とも不吉だ（「マタンサ」は「殺りく・と殺」という意味））。

それはさておき。

自治州の対応も様々だ。

子どもたちがオウレンセにも本当に三博士たちが来てくれたと言っている（decían que a Ourense habían llegado los Reyes de verdad）――。

こう話すのはガリシア州のオウレンセ市長だ。市長は今年、ヒトコブラクダによるパレードを敢行した。やはり、子どもたちの期待に沿いたかったんだろう。

一方で、七面鳥（oca）、ヤギ（cabra）、アルパカ（alpaca）、羊（oveja）、リャマ（llama）などに飾りを付けて、ラクダの代用とする自治州もある。

また、動物を一切使わないで、牽引車（tracción a motor）を使う州もあるようだ。

実際のところ、パレードのような状況がラクダなどの動物にどのような影響を与えるかの研究はあまりない（Hay pocos estudios sobre cómo impactan estas situaciones a camellos y dromedarios）とのこと。パレードの前後（antes y después de las cabalgatas）でストレスがどのように変化するかの研究を求める声も上がっている。

各方面のニンゲンたちが騒がしくなりそうだ。

写真はヒトコブラクダに乗った三博士のひとり、メルキオール（Melchor）。

バレンシア州のアリカンテではラクダによるパレードに反対の署名が７万7000筆集まったという。

一方、アンダルシア州のマルチェナという地区では、三博士の山車を引いていたトラクタが制御不能になり暴走。70歳代の女性が下敷きになり亡くなった。子供を含む多数の怪我人が出たらしい。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230105/criticas-uso-animales-cabalgatas-reyes/2413522.shtml