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1/22 ニュースなスペイン語 Crisis ucraniana:ウクライナ危機

スペインは2日前、ウクライナ危機に際して、黒海(Mar Negro)に向けて、 2機の艦艇を派遣した(envío)。

ひとつは、掃海艇(cazaminas)「メテオーロ(Meteoro)」。これは機雷(mina)を除去する任務を担う。

もうひとつは、フリゲート艦(fragata)「ブラス・デ・ラソ(Blas de Lazo)」。こちらは、対潜水艦(antisubmarino)の戦艦(buque de guerra)で、海上戦に特化している。

総勢190名の海兵隊(militares)と海上戦特殊部隊(equipo especial)から成る戦隊だ。

派遣に対して、実は、国内政党は二分している。

スペインは現在、スペイン社会労働党(PSOE)とポデモス党(Podemos)からなる連立与党体制だ。この、政府を代表するふたつの政党の見解が真っ向から対立する。これを「新たな亀裂(nueva grieta)」とマスコミでは表現する。もともと、このふたつの政党は足並みが揃わない。が、今回もまた、重要事項に関して、全く立場が違う。

スペイン社会労働党は派遣に賛成、ポデモス党は反対の立場。そして、野党である国民党(Partido Popular)は、何と、スペイン社会労働党を支持(respaldo)するという図式。これも不思議だ。ふだんは、国民党はスペイン社会労働党の一挙手一投足に文句をつけるのに。

その他、ポデモス党をはじめとする、主に左翼思想の8党が、派遣と軍の配備(despliegue de tropas)に反対表明を出した。「冷戦時代の古い枠組み(un viejo esquema de Guerra Fría)」に押し戻してはならぬ、「対話(diálogo)」と「外交努力(esfuerzos diplomáticos)」を通じて、「平和こそが唯一の道(la paz es el único camino)」ということを説得すべきである、との表明を出している。

政府内でこれほどまでに賛否が割れているにもかかわらず、派遣を決行したのは、今回の派遣が北大西洋条約機構(英語:NATO/スペイン語:OTAN)の作戦の一環だからだ。好むと好まざると、戦争に巻き込まれるのは、軍隊を持つ国の宿命だ。

日本ではこうした強硬措置は考えられない。自衛隊を、しかも、人道支援のために、戦地(もしくは戦闘が激化する恐れのある土地)に派遣するのに、どれだけ議論を積みかさねたか。つくづく、日本の平和主義に感謝するとともに、誰も傷つくことなく、任務を遂行してきてもらいたいと願う。

写真は掃海艇「メテオーロ」。