1/23 ニュースなスペイン語 Una España uniforme:画一的なスペイン
2日前の土曜日、実は、マドリードでは、打倒ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権を訴える、大規模なデモ集会(manifestación;concentración)があった。
デモを呼びかけた団体は国民党(PP)、ボックス党(Vox)そして市民党(Cs)の支持母体。
参加者たちは「サンチェスは裏切り者だ(Sánchez, traidor)」、「政府は解散せよ(Gobierno, dimisión)」などのメッセージを発信した。
参加者の数は、政府関係部署(Delegación de Gobierno)によれば3万1000人、主催者(organizador)発表では50万人以上だったという。
デモの参加者人数は、批判する側とされる側の両方向から発表され、隔たりがあるのが常だが、今回は随分開きがあるなぁという印象。
それでも、政府発表で3万人を超えているので、サンチェス政権にとっては、それなりの脅威になるのかな、と思ったのだが…。
当のサンチェスがデモについて語ったのが、タイトルにも挙げた「画一的なスペイン」だ。
もう少し正確な文脈を見ると、デモの参加者たちが望むのは
「画一的ゆえに、排他的なスペイン(una España uniforme y por tanto excluyente)だ」
と述べた。返す刀で、デモをスパッと切った格好だ。
サンチェスは、当たり前たが、こんなことでしょげるどころか、全く、めげない。
Uniformeの「uni-」は「ひとつの」、「-forme」は「形」を表す。つまり、「形を(表面的に)統一する」ということで、日本語の「制服」を表す「ユニフォーム」と同じ発想。
この文脈では、当然、デモの参加者たちを揶揄するニュアンス。さらに、自分たちの思想に共感しない人たちを仲間外れにする「排他的」な連中と位置づける
そして、「大多数のスペイン人が望むのは、多様性を尊重し、多様性と共存するために心をひとつにしたスペインだ(la mayoría de los españoles que queremos una España unida, en convivencia, que respete la diversidad)」という。
Uniformeと同語源の「unida(統一された)」という語を用いたサンチェス。
画一的で、排他的なスペインを望む野党か。それとも多様性を尊重し、統一的なスペインを目指す与党か――。
サンチェスは、分かり易い対立の構図を作る。
加えて、カスティージャ・イ・レオン州でここ数日、起きている反中絶ガイドライン(protocolo antiaborto)を巡るゴタゴタに言及し、同州を治める国民・ボックス両党の連立政権が「なぜ、ジェンダーの格差を広げるようなことをするのか( por qué se empeñan en perpetuar la desigualdad de género)」と問うた。そして、サンチェス政権は「絶対にそんなことは許さない(No se lo vamos a permitir)」と語気を強めた。
今回のデモが現政権の揺がしにつながるかどうかは分らないが、少なくとも、サンチェス政権に対して異を唱える人々が3万人集結した事実は記憶にとどめておこう。
後に振り返った時、サンチェスの終わりはこのデモから始まった、と言われるのかどうか。
写真はシベレス広場に集結したデモ参加者たち。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20230121/sanchez-manifestantes-madrid-defienden-espana-uniforme-excluyente/2416851.shtml