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4/7 ニュースなスペイン語:Perdonar:許す

昨日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がスペインの国会でビデオ演説(videoconferencia)を行った際、スペイン国内の、ロシアと取り引きを続けている企業を名指しし、「私の国が破壊されている一方で、ヨーロッパの企業が利益をあげていることを、どうして、許すことができましょうか(¿Cómo permitir que las compañías europeas tengan beneficios mientras destruyen mi país?)」と訴えた――。

昨日の記事ではこんなことを紹介した。その続報である。

名指しされた企業は、声明(comunicado)で次のように述べ、ゼレンスキー大統領の指摘を否定した。

(我々は)武力衝突が始まった瞬間から、ロシアと関係のある全ての企業や協会と幾多の会談を持ち、ロシアとの取引の中断のプロセスを維持してきた(desde el minuto uno del conflicto, con todas las empresas y asociaciones con intereses en Rusia… mantenido con ellas numerosas reuniones para acompañarlas en el proceso de suspensión de operaciones en Rusia)

そして、通産大臣(Ministra de Industria, Comercio y Turismo)のレジェス・マロト(Reyes Maroto)も、(大統領によって名指しされた企業は)「現在はロシア市場において、いかなる活動も行っていない(en la actualidad no mantienen ningún tipo de actividad en el mercado ruso)」とし、火消しに回った。

つまり、ゼレンスキーの名指しによる指摘は間違いだったのだ。

大統領に名指しされて、いち早く(desde el primer momento)反応したのが、ポルセラノサ社(Porcelanosa)の代表、マリア・ホセ・ソリアノ(María José Soriano)だった。

ゼレンスキー大統領のことばは「不正確だ(incorrecta)」としながらも、ウクライナへの人道支援(ayuda humaniaria)は支持すると表明した。

ソリアノは、当初、ゼレンスキー大統領の指摘を「良い気はしない(disgusto)」とし、「相当なショック(shock)」だったと回顧しながらも、次のように述べた。

我々はゼレンスキー大統領が大変な勇気を持った、偉大なリーダーであると理解しています。そして、大量の情報が彼のもとに入ってくることも知っています。今回はその情報が不正確で、大統領はその情報を信じてしまったまでのこと。大統領の懸念と負担は相当なものなので、今回のような誤解が生じたものと理解しています。ウクライナの国民のためになる立場を取ることに何ら痛みはありません(Comprendemos que el presidente ucraniano es un gran líder con mucho coraje, que ha recibido una información, que en este caso es incorrecta, y él la ha utilizado sin más, pero entendemos que son tantas sus preocupaciones y el peso que tiene que esto ha sido un malentendido. A nosotros no nos duele posicionarnos a favor del pueblo ucraniano)。

そして、ソリアノは次のようにも述べた。

(お客様は)我々が真心をこめて活動していることをご存知(なので、売上には影響はないでしょう)。あのような否定的で、敏感な声明に現われることは誰も望んではいないでしょうから、我々が名指しされないに越したことはありませんでした。しかし、大した影響はないでしょう。なぜなら、我々は、この戦争を利用し、いかなる利益も得ようとはしていなかったからです(Saben que actuamos con el corazón. Hubiera sido mejor que no nos hubiera nombrado porque nadie quiere verse en una comunicación negativa y tan sensible, pero no tendrá mayor repercusión porque, en absoluto, hemos querido sacar algún tipo de rendimiento por esta guerra)。

ポルセラノサ社以外の、名指しされた企業も、ゼレンスキー大統領の発言を許している。

(今回の発言は)ひどい重圧による、理解できる間違い(equivocación comprensible dada la brutal presión)で、十分な情報が与えられていなかったのだろう(no le informaron bien)。

と、大統領を思いやることばまでかける。

非を咎めるのは簡単だ。しかし、非を許すのは難しい。そして、もっと難しいのが、どう許すか、だ。しかも、ともすれば、自社のブランドに傷が付く。

スペインの企業人たちは許し方を心得ている。

余計なことを、そして、恩着せがましいことを、グダグダ言わない。さっぱりとコメントを出して、サッと許す。

こういう許し方ができると人としてのLVがアップするんだろうなぁ。

写真は記事にも登場したポルセラノサ社の製品の一部。同社はセラミックのタイルの製造・販売を行う。ちなみに下は同社代表のマリア・ホセ・ソリアノ:

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マリアは女性の名前の代表で、ホセは男性の名前の代表。つまり、男女の名前を付けて、女性の名前にする。一方、ホセとマリアを入れ替えた、ホセ・マリアという名前もある。こちらは、男性の名前。ちょいと、ややこしい。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220406/gobierno-asegura-empresas-cumplen-sanciones-rusas/2328400.shtml