8/16 ニュースなスペイン語 Aislamiento térmico：断熱
Aislamientoは「isla（島）」から派生した単語。a-は「〜の方へ」、-mientoは動詞を名詞にする機能を持つ。だから、単語の造りから得られるのは「島の方にする」という何ともヘンテコな訳。少しこなれた訳としては「孤島化すること」とか「孤立させること」とか。
そして、タイトルにあげたのは直訳すれば「熱の孤立化」という意味なので、まぁ、「断熱」という訳が良いんじゃないかな（辞書には載ってないけど）。
今、ヨーロッパは冬の到来を「恐怖におびえて（con temor）」見ているという。ロシアからの天然ガスが止まることで、深刻なエネルギー危機（crisis energética）に直面することになる。加えて、昨今の異常気象だ。どんな冬になるのか。心配は増すばかりだろう。
スペインの住居の80%が節電対策について非効率（ineficiente）との試算がある。
ところで、EUエネルギー消費ラベル（European Union energy label ；Etiqueta energética de la Unión Europea）は家電などに付いている、いわば節電の成績表だ。AからGまでの７段階評価。上に行けば行くほど、エネルギー効率が良い：
この成績表によれば、スペインの大部分の住宅は「E」か「F」か「G」のどれか。つまり「もっと頑張りましょう（necesita mejorar）」と通信簿に書かれるレベル。大学なら「赤点」もちらほら。そして、わずか５%の住宅が「A」か「B」。
そのため、冬と次なる夏の酷暑に備えて、「リホームブーム（boom de rehabilitación）」が始まりそうだ、と専門家は指摘する。
その際のキーワードが「断熱」だ。
ドアの下の方とか、石膏ボードに指がスッと入ってしまうようなことはよくあるんですよ（Aún son habituales cosas como puertas en las que cabe un dedo por debajo o paredes de pladur）
専門家は指摘する。そのため、熱が出入りする家周り（envolvente térmica）、例えば、玄関（fachada）、窓（ventana）、天井（techo）などの断熱の重要性を説く。
玄関のエネルギーリホーム（rehabilitación energética）するだけで、30%〜40%の節電になるという。
30%〜60%の節約が出来ると、10年〜15年で約２万ユーロ（約270万円）〜５万ユーロ（約670万円）が浮く（amortiza）計算になり、これは、ほぼ車１台分に相当する。住宅の平均寿命が約70年と考えれば、リホームは賢い選択（sensato）らしい。
しかも、リホームに対する国や自治州からの補助金（subvención）も充実している。リホーム代の40%〜80%、１住居に対して最大（como máximo）２万1000ユーロ（約280万円）の補助が出る。自治州によっては、経済的に厳しい家庭（vulnerabilidad económica）には100%の補助もあり得るという。
その一方で、大金をかけないでも（sin gran coste）、節電はできると専門家は話す。
葉のある木を家の南側（cara sur de la casa）に置くとか、日除け（toldo）を付けたり、夏は朝に窓を開けたり、家を薄暗くしておく（penumbra）――。世代を超えて（desde hace generaciones）伝えられた先人たちの知恵に目を向けるのも良い（とはいえ、昔の暑さとは違うけど…）
写真はエネルギー効率の良い家（casa eficiente（左））と悪い家（casa ineficiente）のイラスト。エネルギー効率の良い家は１日約2200キロワット（kilovatio por día）の消費であるのに対して、悪い家は39640キロワットも消費するとのこと。
ちなみに、エネルギー効率の良い家には太陽光発電パネル（placa fotovoltaica）が付いている。ある専門家は次のように言っている：
（エネルギーの無駄を見直す前に太陽光パネルを設置することは）船底に穴の開いた船を所有しながら、穴を塞がずに、船内に入ってきた水を汲み出すためにポンプを買うようなもの（tener una barca con una grieta en el fondo y comprar bombas para sacar el agua en vez de tapar la grieta）
なかなか、上手いことを言うなぁ。