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「自分軸手帳」の始まりと譲れない思い

2024年で発行4年目を迎えた「自分軸手帳」では、「自分軸を育てる、仲間と育てる」を合言葉に、手帳の発行やオンラインコミュニティ運営を行っています。

この企画「自分軸手帳の舞台裏」では、運営現場の裏側や、手帳・活動に込めた思いなどを運営メンバーが語ります。

既に自分軸手帳をご存知の方はもちろん、自分にピッタリの手帳をお探しの方、胸に秘めた得体の知れないモヤモヤを手放すための手がかりを見つけたい方も。ぜひ最後までご覧くださいね。

さて、今回ご紹介する「自分軸手帳の舞台裏」は、「自分軸手帳の始まりと譲れない思い」。自分軸手帳誕生の背景や、毎年改良を重ねながら制作を行う過程で大切にしている思いなどを、運営メンバー・ようこがお話します。聞き手はライターの矢島美穂さんです。


【語り手】自分軸手帳合同会社代表・ようこ

1982年東京都生まれ。手帳を使い始めたのは小学校高学年。2021年から「自分軸を見つけ育てる」をモットーに、自分軸手帳の制作・販売と、自分軸手帳部の運営を始める。好きなことは、手帳と家族と自分の人生クエスト。家族は、同い年の夫、小学4年生と1年生の息子、9か月の姉妹猫。


「書く」ことで人生が加速し、世界が広がる

——「自分軸手帳」は2024年で4年目を迎え、今年から書店やAmazonなどへと販路が広がりました。販売部数も、1年目の500部から今年の1万部(2024年現在)へと大幅に伸びていますね。成長し続ける「自分軸手帳」がどのようにして生まれたのか、まずはその始まりを聞かせてください。

ようこ:数々のオンラインコミュニティで私が運営してきた「手帳部」が、自分軸手帳誕生のきっかけになりました。

――「手帳部」から「手帳」へ。どうつながるのでしょう?そもそも手帳部とは?

ようこ:少し……いや、とっても長くなりますが、遡ってお話させてくださいね(笑)。私個人の手帳歴は、およそ30年。とはいえその歴史の大半が、スケジュール管理や読んだ本のメモ程度。20代半ばに経済評論家・勝間和代さんの影響を受けて気合を入れて買ったフランクリン・プランナーも、ほぼ真っ白でした。ところが2018年はじめに、夫が突然「今年はこれを使って目標を立てる!」と、ある手帳を片手に宣言したんです。そのときなんだか興味を惹かれてしまいまして。「お互い目標を立てて、1月15日に見せ合おう」と、私も便乗しました。

2018年にはじめて立てた目標

ようこ:その時取り組んだのは、手帳冒頭に設けられたゴリゴリのワーク。年間目標を設定して、逆算しながら行動計画などに落とし込むのですが、それまでの私はこういうワークを仕上げたためしがありませんでした。だって、やってみてもイマイチピンとこないし……なにより面倒じゃないですか。ところが、「夫と約束した」「期限がある」という程よい強制力のおかげで、初めて書き上げることができたんです。

――夫さんの存在のおかげで書き上げられた目標は、何か変化を生み出しましたか?

ようこ:たとえ拙くても、「この1年をどう生きたいか」という問いに真剣に向き合ったことで、自分の中に無数のアンテナが立ちました。たとえば、このとき掲げた目標の一つが、「いつでも転職できる自分でいたい」。すると、今までだったらキャッチできなかった情報にアンテナが反応する。当時育休中だった自分と同じ境遇のママが集まるコミュニティに参加することができたのもそのおかげ。情報感度が上がったことで、アクションの選択肢が増えました。

ようこ:すると、今度はそのコミュニティで「手帳の人」というタグを授けられ、イベントを開催することに。私と別の方の手帳の使い方をそれぞれ紹介するというものでした。果たしてニーズはあるのかと、それはもうビクビクしていました。ところが参加してくれた方々からは「手帳をツールに夫とのパートナーシップを考えたい」「キャリアに向き合いたい」と、大きな反響をいただいたんです。

――初めて本気で向き合った目標設定が、思いもよらない展開を引き寄せてくれたわけですね。

ようこ:そうですね。ここから形を変えつつ、いくつかのコミュニティで「手帳部」を立ち上げました。活動自体は、「毎月1回、その月の目標を設定して振り返る」というもの。するとね、みなさん「自己効力感が高まる」って言うんです。

――目標設定と振り返りで自己肯定感が高まる、とは?

ようこ:「何もできなかったと思っていた日々を実際に見返してみたら、いろんなことができていたと分かった」「自分の好きなもの、嫌だと思っていることに気づけた」と。やがて「自分の真ん中にある筋みたいなものが育っていくね」という声が生まれてきたんです。これが結果的に「自分軸手帳」のコンセプトにもつながっていくこととなります。

大切にしたいのは「逆算」より「日々の積み上げ」

――こういう経験を経て「手帳も作りたい!」という思いに至ったというわけですか?

ようこ:とんでもない!実は私、「手帳を作りたい」だなんて1ミリも思っていませんでした(笑)。ところが、当時の手帳部の活動を見守ってくださっていたある方から「知見も溜まったことだし、せっかくならオリジナル手帳を作ってみたら?」と言われまして。2020年の7月のことでしたね。

――それがきっかけでやる気に?

ようこ:いえ、その時はまだ「誰かがやるなら手伝うよ」という程度の意識でした(笑)。私が夫と手帳を書いたことで学んだのは「程よい強制力で書き遂げられる」「書くことで立ったアンテナが人生を加速させてくれる」ということ。さらに手帳部では、それまで考えたことのなかった「自分の生き方」「価値観」というものに初めて継続的に向き合えた。だから、「何に書くか」より「どうやって、誰と書くか」の方が大事だと思っていました。でも……次第に「手帳を作る」という行為の捉え方に、変化が生まれたんです。

――どういうことでしょう?

ようこ:手帳部には、学校・職場・地域という日常の枠を越えた、様々な仲間が集まります。言い換えると、それまで見たこともない価値観との出合いにも恵まれるということ。――かつての私は「何歳までにこうなる」「いつまでにこれを達成する」というスタンプラリー的な生き方でした。情緒面の優先順位は低かった……というか、考えたこともなかった。ところが、自分と似たような等身大の人間が、彩り豊かに生きたいと、人生を前にもがいている。そのことにものすごく衝撃を受けました。

ようこ:自分の人生と向き合い、「価値観で生きる」ことは、こんなにも豊かさで大切なことなのか――そんな気づきを得られた経験を、手帳に落とし込むという方法があるのかも。同時に、潜在的に手帳部内に醸成されていた「この手帳部」ならではの手帳のあり方、手帳との付き合い方を形にするという選択肢があるのではないか、って。

――そうやって自分軸手帳の制作がスタートしたんですね。

ようこ:制作自体は数十人の大所帯。その中心には手帳部のメンバーが抱いていた思いをコンセプトに据えることにしました。

・楽しく手帳が書き続けられる仕立てにしたい
・目標管理型ではなく、自分の積み上げを可視化することを大事にしたい ↓ それによって、自らの軸に気づき、育てられるような手帳にしたい

だからこそ、それまで行っていた「毎月の目標と振り返り」を入れることは必須でしたね。

初心者にやさしい「枠組み」

――逆算型から積み上げ型へと人生をシフトした、その経験があったからこその思いが詰まった手帳というわけですね。ところで、自分軸手帳は自分軸を育てるためのワークページも充実しています。それらはどのように作り上げていきましたか?

ようこ:先ほどお話したコンセプトを実装するためにどんな要素が必要かを、まずはプロジェクトメンバーと分解しました。

ようこ:人生を考えるには一体何が必要なんだっけ?という漠然とした問いから意見を交わしながら辿り着いたのが、「時間」「お金」「意志力」の3つの資源。それらの現状や理想を深掘りするためにはどんな仕立てのワークがいいかしら?ということをそれぞれのチームで話し合って仕上げていきました。

――各チームが手探り作り上げたワークを持ち寄る、というやり方だったわけですね。失礼な言い方かもしれませんが、専門的なフレームで分解したわけでもないし、MECE(※)ではない可能性もありますよね。「ワークに取り組めば本当に過不足なく自分軸のある人生が実現できるか?」と問われたら、どう答えますか?

(※)MECE(ミーシー):英語の「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った言葉。「漏れ・重複がない」という意味

ようこ:そのご質問はごもっともですよね。でもね、そもそも私たちはMECEを目指しませんでした。というのも、ワークは単なる取っ掛かりでしかないと思っているから。「このワークで100%の答えを見つける」というのをゴールにしていないんです。まずは時間やお金など、自分軸を育てるためのアンテナを立てるためのきっかけとして使ってほしい。ワークをスタートに定点観測してみて、気づきを得てほしい、と思っています。

――ワークは最初の扉を開くにすぎない……。

ようこ:そう。だからこそ、人生で初めて手帳を書く方や、いま私たちが運営する「自分軸手帳部」には入らず一人で自分軸手帳を使う方でも、自力で書けるワークにしたい。難しすぎないレベル感と、自分なりの気づきまで導ける枠組みであることを大切にしています。

ユーザーの成長を妨げない「自由度」

――一方で、この手帳を既に使っている人からは「自分軸手帳は自由度が高い」という声もよく耳にします。先ほどの「枠組みを用意する」というお話とは矛盾するように思えますが……。

ようこ:よくぞ聞いてくださいました(笑)。私たちは手帳作りにおいて、「程よい枠組み」と「自由度」のバランス、これをものすごく大切にしているんです。 先ほどの枠組みのお話は、たとえば「今日の夕ご飯何にする?」という質問は、漠然としていて答えにくい。ところが「ラーメンとハンバーグ、どっちがいい?」と聞かれると、断然答えやすくなる。ワークの問いも一緒で、思考にある程度の枠組みを用意しているという意味です。

ようこ:その枠組みを足掛かりに気づきが生まれ、思考にエンジンがかかると、その先の道のりは十人十色。「どんな角度で深掘りしてみるか?どんなものを、どんな方法で観察してみようか?」と、千差万別なんです。それぞれの方法で実践し、一歩先の答えを見るには、ツールである手帳に、ある程度の自由度が求められることになる。

――先回りして次の問いを掲げられていたり、「これに沿って行けばOK!」という道筋が明確過ぎる手帳が善とは限らない、と。

ようこ:やる気があったのに手帳から離脱してしまう人に聞くと、「最初はこのフォーマットが好きだったんだけど、だんだん使いづらくなってきた」というパターンが少なくないんです。手取り足取り導いてくれる手帳って、書きやすいようで発展性がない、と見ることもできるのでは。

――その点、自分軸手帳は「次の一手」として「細かな問い」ではなく「使い手に委ねた余白」を用意している、というわけですね。

ようこ:はい、とても大切にしている部分です。たとえば「月の目標と振り返り」ページは、問いや見出しは用意しつつ、自由な方法で書けるようにしています。

ようこ:ウィークリーページの片隅にある「習慣化リスト」も、使いたいなら活用すればいいし、必要ない人は無視して方眼として使いやすい仕立てに。持ち主の目線や興味が変化したら、手帳の使い方もそれと一緒に変化できる「自分軸手帳」であることを大切にしています。

すべてを受け止めた手帳は、あなたの象徴

――それが叶えば、全てをこの一冊に集約しながら、変化とともに自分軸を育てられる、ともいえますね。

ようこ:私ね、手帳は「象徴」だと思っているんです。同じリストに何を書くか、毎日何を記録するか。どんな方向に進むかは唯一で、その人にしかかありえない手帳が出来上がります。だからいつでもどんな問いも、マルっと受け止められる手帳になっているだろうか?という視点はいつも大切にしています。

――「すべてを受け止めてくれる手帳=自分軸手帳」だ、と。

ようこ:手帳が使い手の成長を妨げるなんて本末転倒ですから。それにね、逆算思考出身の私が言うのもなんですが、人生って見通しがつかないからこそ楽しいって、改めて思うんです。

2020年の目標。逆算型の目標を徐々に辞め、予想を超える未来を目標に仕込み始めました

ようこ:だって、私が手帳を作ることも、価値観を大切に生きるようになることも、過去の自分は想像もしていなかった。もし「目標から逆算で行動する」という生き方に徹していたら、絶対に辿り着くことのない展開でした。だからこそ、「日々の積み上げ」を大切にしてほしいし、規定しないからこそ味わえる「予想を超える未来」を楽しんでほしい。自分軸手帳がその後押しや勇気につなげられたら最高にうれしいですね。

聞き手・構成/矢島 美穂


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