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「考える」ことのよくない面(反すう)

記事を開いていただき
ありがとうございます!


「よく考えなさい」
「考えてから発言しなさい」

そんな言葉はよく聞きます。

しかし、
「考える」ことが
事態を悪化させることもあります。

今日は、
「反すう」と呼ばれる
考え方についてご紹介します。

「気がついたらぼーっと考えていて、
 時間が経っていた」

そうした状態が多いなら、
今回の記事がお役に立てるかもしれません。


反すうとは


「反すう」という言葉は、
そんなに日常には聞かないですね。

もともと動物が食べる方法を指す言葉です。

食べたものを口で咀嚼し、
一度胃に送って部分的に消化した後
再び口に戻して咀嚼することです。

牛などの動物が、
草を消化するために行う食べ方です。


心理学的な「反すう」


心理学的には、
過去に起こった悪いことや苦痛となる考えや思い、
問題となっている心配事を
繰り返し、蒸し返して考えることを意味します。

多かれ少なかれ
みなさん経験はあるかと思います。

「とても傷つくことを言われた」
「将来の自分が見えない」

そうした過去の傷
先々への不安を
繰り返し何度も考えてしまう。

そうした思考のことを
「反すう」と呼びます。


例えば、
以下のようなものは
反すうに当てはまります。

□ 何度も心配する
□ 物事を過剰に分析し考える
□ 強迫的に悩む
□ くよくよする
□ 心の中で何度も問題を考え直す
□ 問題に頭を悩ます
□ 長時間、問題に気を揉む


ちなみに、この心理学的な「反すう」は、
反応スタイル理論(Nohlen-Hoeksema, 1987)に
由来します。

抑うつ気分に対する反応を分析したこの理論では、
反応の種類を「反すう(rumination)」「気晴らし(distraction)」
の2つに分けています。

「反すう」は、抑うつを持続させ、
「気晴らし」は、抑うつを軽減させる
ことが
報告されています。

特に「反すう」は抑うつの持続に
大きな影響を与えることが
指摘されています。

ちなみに「反すう」にも上に言ったような
嫌なことを繰り返すものと
問題解決のための有益なものがあります。
(前者のみを反すうとすることもあります)

一方「気晴らし」にも
気分転換となって抑うつ軽減につながるものと
問題から逃避するためだけのものがあると
されています。

なので、
「反すう」が悪くて「気晴らし」が悪い
というよりは、
その機能や効果を見て判断した方がいいです。


いずれにしても、
嫌なことを繰り返し思い出したり、
必要以上に考え込んだりすることが
抑うつを持続につながることは
理解できますね。


反すうを抜けるには?


反すうがよくないことは
わかります。

でも、
実際ハマっている時には
なかなか抜け出せないものです。

特に、
考えている時には
反すう「で」抜け出そうともしています。

「考え抜いたら答えが出る!」
と思ってしまうこともあります。

確かに
授業の問題やパズルなどは
考えることが解決の道ですが
心の問題は必ずしもそうではありません。

例えば、
以下のような状態の場合
反すうにハマっている可能性があります。


□ 否定的な考えや感情、もしくは
  状況について何度も考える
□ 何度もくり返して考えることが、気分の改善
  希望の回復、自己卑下の軽減に役立っていない。
□ 考えることが、問題解決に役立っていない。


このような反すうを抜けるには、
以下の2つのステップが必要です。

① 反すうに気づく
② 「考える」とは別の行動をする

書けばそれだけなのですが、
特に①が難しいものです。

ハマっているその時には、
なかなか自分の反すうに
気づきづらい。


この反すうに気づくために、
マインドフルネスの練習が
有効です。

このあたりは、
以下の記事の方法も
参考になります。

そして、
「反すうしている自分」
気づいたら、次は
「考える」以外の行動をします。

「呼吸に集中する」でもいいですし、
「歌う」でもいいです。

あるいは、
自分の身の回りの体験に目を向ける
というのもいいです。

普段気にしない自然に注目する。
自然の音を聞く、
匂いに意識を向ける、などです。


このように
「反すう」への気づきを
トリガーにして
他の行動に代えていく方法があります。


とはいえ、
SNSなどは回避のための「気晴らし」
なってしまうかもしれないので
よくないかもしれません。

また、
「考えないようにしよう」
というのも難しいものです。

「考える」がうまくいってない状況ですから、
「「考えないようにしよう」と考える」のも
うまくいかないでしょう。

2分ルールというのがあって、
「2分クヨクヨして、何も進展がない」
と気づいたら、他の行動をするというものです。

「気がついたら、ぼーっと考えて
 時間が経っていた」
という状態が多いなら、
今回の記事のことを試してみてほしいと思います。


おわりに

最後までお読みいただきありがとうございます!

私は、「人生迷子を1人でも減らす」ために
日々活動をしております。

その中では、
自分の思考とうまく付き合う方法も
サポートしております。


「人生迷子」を減らすために
運営している具体的なプログラムが
こちらとなります!

よろしければ、
自己紹介も兼ねたこちらの記事も
ご覧ください。

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参考
・Addis, Michael E. and Martell, Christopher R. 訳 大野裕・岡本泰昌(2012). うつを克服するための行動活性化練習帳 : 認知行動療法の新しい技法 創元社.
・松本麻友子 (2008). 反すうに関する心理学的研究の展望ー反すうの軽減に関連する要因の検討ー 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要, 55 145-158.

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