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過去にとらわれてしまう時には?(ACT実践編②)

「・・・・・・る?」

「・・・・いてる?」

「ねぇ、聞いてる?」

「あ、ごめん。何?」

「どうしたの?何かあった?」


ドラマなどで、よくある描写です。

一緒に会話していたり、遊んでいたりしても、
「この人、意識がどこかに行っているな」
と感じることがたまにあるかと思います。

こうした状態をよく
「心ここに在らず」
と表現しますね。

今、目の前で起きていることに
意識が向いておらず、
どこかに心が出かけています。

多かれ少なかれ
誰しも経験があることかと思います。

何かよかったことを
思い出していることもあれば、
悪かったことの場合もありますね。

最初の例では、
何か気になることがあって
(過去のことか未来のことかもしれません)
その思考が意識を支配しています。

その結果、
「心ここに在らず」になっているのです。

ACTの概要記事でも書きましたが、
こうした状態がたまにあっても、
困難を感じていなければ問題はないのです。

ただもし、あなたが今

「仕事をしていても、
 上司に言われた一言が頭を支配して
 目の前の仕事に集中できない」

「友人と遊んで楽しいはずなのに、
 どうしても自分の失敗を思い出してしまい、
 心から楽しめない」

そのような状態が続いていて、
苦しい気持ちがあるのなら、
この記事がお役に立てるかもしれません。


過去へのとらわれ

冒頭のような
「心ここに在らず」の状態。

ACTでは、このように
思考が意識や行動を支配してしまう状態を
(思考との)フュージョンと呼びます。

頭の中の考えが、
自分の意識、感情、セルフイメージなどと
べったりくっついて離れないような状態です。

私はもう少し一般的な言葉で、
「とらわれている」とも表現します。

たとえば、先ほどの
「上司に言われた一言」
にとらわれてしまう場合を見てみましょう。


ある日上司に、
「こんなこともできないのか!」
と叱責を受けました。

もちろん、すぐに謝り
できる限りのことはしたつもりです。

しかし、
「こんなこともできないのか!」
というその言葉が消えません。

「自分は『こんなこと』もできない人間なのか」
「上司に嫌われてしまった」
「職場での信用もなくしただろう」

上司の言葉が蘇っては、
いろんな考えが頭を巡ります。

考えてもしょうがないことは
分かっているはずなのに、
どうしても考えてしまう。

そうして、
仕事にも手がつかず、
家族との会話中も考えてしまいます。


これは、
「こんなこともできないのか」と
上司に言われた過去にとらわれています。
フュージョンしています)

こうした状況を抜け出したい、
とこの人が思っているなら、
ACTが役に立つかもしれません。

ACTでは、
フュージョンの状態に対して、
脱フュージョンというプロセスを行います。

イメージとしては、
あなたがとらわれているもの
(過去の出来事や嫌になるような思考)
切り離す距離を置くようなプロセスです。

過去の記憶や思考を
「なくす」プロセスではない
ことに注意です。


では、
具体的にどのように
「とらわれ」を抜け出していくのでしょうか。

やり方は、実は無数にあります。
100はゆうに超えるほど、
いろんなバージョンがあるのです。

この記事では、
とても取り組みやすい
「文字化する」エクササイズをご紹介します。


今、手元に何か書くものと
小さめの紙はありますか?

付箋でも、
メモ帳の1ページでも構いません。
持ち上げたりしやすいサイズがよいです。

用意ができたら、
次に進んでください。

書くものが用意できたら、
あなたの頭に何度も浮かんでしまう
過去の嫌な出来事
一言で書いてみてください。

思い出すことが、少し苦痛かもしれません。
一度、心を落ち着かせてもよいので、
紙に書いてみてください。
(上司に怒られた、など)

書けましたか?

もし書けたら、
その紙を見てみてください。

はじめは、
紙を見ることで、
その出来事が頭に浮かぶと思います。

しかし、
その出来事は今、
あなたの目の前にはありませんね。

あなたの目の前にあるのは、
「文字」が書かれた紙
です。
その「文字」を見てみてください。

どんな漢字が使われていますか?
どんなひらがな・カタカナが使われていますか?

「なんだか、変なことをさせられているな」

そんな気持ちが浮かぶかもしれません。

わかります。
でも、もう少しだけお付き合いください。

そうしたら次は、
自分の目の高さに、
その紙を持ってください。

次に、
文字が読めないくらい、
目の近く
に持っていってください。

やってみましたか?

やり続けていたらこの文章が読めないので、
きっと今、
目から離れた位置に紙がありますね?

目の前に紙がある状態では、
あなたは他の文章も見えないし、
手がふさがって他のこともしづらいはずです。

だから、あなたは
続きを読むために、
目の前から紙をどかしました。

では、その紙を
視界に入らないところに置いてみてください。

破る必要も、捨てる必要もないです。
机の中とか、お尻の下とか、
見えないところに置いてみてください。

どうでしょう。
紙が目の前にある時よりも、
あなたは色んなことができます。

景色を楽しむこともできますし、
空いた両手でご飯も食べれます。

過去にとらわれている時は、
目の前に紙がある状態です。

でも、その紙に書かれているのは、
ただの「文字」でしたね?

あなたの頭を支配する過去の出来事も、
本当に目の前にもう一度起きているわけでは
ありません。

それは、ただの「思考」です。

その「思考」を、
なんとかしよう!消そう!と
見続けても、かえって気になります。

どうでしょうか、
紙をそっと別の場所に置いたように、
過去のことも、一旦距離を置くことは
できそうですか?

距離を置けたら、
どんなことをしたいですか?
何のために時間を使いたいですか?

その、距離を置く感覚が掴めたら、
このエクササイズは終了です。


いかがでしょうか。

脱フュージョン、つまり、
過去の出来事、それを思い出す「思考」と
「距離を置く」ためのエクササイズ
ご紹介しました。

エクササイズを通して、
「距離を置く」という感覚をつかめれば
大成功です。


最後までお読みいただき、
ありがとうございます!

ACTの全体像については、
以下の記事をお読みください!

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