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電力小売会社における競合他社との差別化戦略

両想いのご縁に恵まれる「人生の経営者」を共創するパートナー、WEBマーケティング戦略コンサルタント、サッカー戦術デザイナーのぱっち社長です。

「こういうサービスがあったら、見込み客は喜ぶだろうな。」
「競合他社が提供できていないサービスを自社でやりたいな。」

そんなアイデアを思いつくことありますよね。
でも、「どうすれば実現できるかな」に落とし込むのは簡単ではありません。

今回は、電力小売事業の事例から、どうやってインパクトのある差別化戦略を考えれば良いのかについて見ていきます。

エスエナジーのサービス「タダ電」

電力小売事業を手がけるエスエナジー(東京都港区)は2023年5月29日、「タダ電」というサービスを発表しました。

タダ電は加入すると自宅の電気代が毎月1万円まで無料になるという家庭向けの電力プランです。
1万円以降は利用量に応じて支払いが発生し、1万円に満たない場合は支払いが発生しません。

専用アプリ(現在はiOSのみ)をダウンロードし、必要事項を記入するだけで申し込みが行えます。

基本料や切り替え時の工事費、手数料はありません。
また解約についても、期限のしばりや解約時の手数料はありません。

タダ電における儲けの仕組み

料金単価が少し高い

タダ電の1kWhあたりの料金単価は65円で設定されています。
一方で、6月以降の東電は料金単価30~40円で設定しています。

つまり、タダ電で無料になる1万円分の電気量は、東電における1万円分の電気量よりも少ないということです。
それでも毎月1万円引きはインパクトが大きいです。

アプリ内での広告配信

1万円以上の電気量を使用した世帯に対する課金だけでなく、広告収入も計画しています。
タダ電に加入する際にダウンロードする専用アプリで広告を配信し、競合他社とは違う方法での収益化を見込んでいます。

タダ電の懸念点

上記のように、タダ電の主な収益は

  • 電気をたくさん使う世帯からいただく料金

  • アプリ内の広告収入

この2点です。
家族世帯など、電気をたくさん使う世帯が増えないと成り立たないビジネスモデルといえます。

あまり電気を使わない一人暮らしの人が「お得だから」と殺到したら、経営が苦しくなる恐れがあります。

まとめ

リスクがあるとはいえ、「電気代1万円まで無料」のインパクトは大きく、着眼点がすばらしいです。
電気代が高騰を続ける現在、「電気代をできるだけ安くしたい」と考える見込み客の心をつかむ戦略です。

また、ただ安くして電力小売会社が一方的にリスクを負うのではなく、広告収入を取り入れることで実行可能性のある戦略に落とし込んでいるのも秀逸です。

「こういうサービスがあったら、見込み客は喜ぶだろうな」で終わらず、「どうすれば実現できるかな」という視点を大切にした好事例です。

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