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渋谷セックスサロン物語 2 〜奥渋のマンションと店主〜

東急百貨店とファミリーマート、奥渋への道を進んでいった。

サロンのHPには正式な住所は記載されておらず、
目印の建物名と電話番号が掲載されており、
「近くまで到着されたらお電話ください」とあった。

左手に持っていたスマホの画面に
ナンバーを打ち込み、発信ボタンを押す。

すると、受話器の向こうから男性の声が聞こえた。

「はい」
「あ、もしもし。ホームページを見てお電話しているんですが」
「はい、こんにちは。キュリウスです」
「今からお伺いしたいと思っているんですが、営業されていますでしょうか」
「大丈夫ですよ。今どちらですか?」
「奥渋の通りに入って、目印で書かれていた建物の近くにいます」
「わかりました。ではそこで待っていてください」

通話が切られ、そのまま立っていると、

「こっちです!」と声が聞こえた。

近くのマンションの2階から手を振っている男性が見えた。
デニムにポロシャツ、痩せ型で髪は少し長め。
清潔感があり、柔らかい雰囲気だった。

「どうぞ」

私はその男性から導かれるまま、部屋の一室に入った。


部屋の広さは60平米ほど。
アクセサリーショップのような雰囲気で
ショーケースが綺麗に並んでいる。

しかし、並んでいるものはアクセサリーではなくセックストイ。
ベージュやブラック、シルバー、はたまたピンクやブルー。
さらに形もさまざまなトイが綺麗に飾られていた。

さらに奥の壁には棚があり、棚の中にはDVDがずらりと並んでいる。
パッケージの背表紙のタイトルを見て
瞬時にそれらがAV作品だということがわかった。

初めて目の当たりにする空間に対し、
脳内で理解をするのに精一杯で
無表情になっている私に対し、
店主が遠くから声をかけた。

「今日はどんなご用件ですか?」

夏の夕暮れの風が私たちをすり抜けていった。

ドアの方に目をやるとドアは全開だった。
横の窓も半分ほど開いていて風が通るようになっており
このひとは心地のいい空間が好きなんだなあ、
などと思いながら店主のほうへと歩いた。

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<エピソード一覧>
●渋谷セックスサロン物語 1 〜突然の探求衝動〜|愛とかセックスとか生理とか #note https://note.com/jhmmy/n/ne75f7e73ca70

●渋谷セックスサロン物語 2 〜奥渋のマンションと店主〜|愛とかセックスとか生理とか #note https://note.com/jhmmy/n/n18ffb1d4a635

●渋谷セックスサロン物語3 〜奥の開発〜|愛とかセックスとか生理とか #note https://note.com/jhmmy/n/nbcdac8180131


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