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渋谷セックスサロン物語3 〜奥の開発〜

「どうしてここへ?」と店主に聞かれた。

数秒考えて、私は
「セックスについて、いろいろ知りたいと思ったんです」と答えた。

どうやら店主はこの当たり障りのない私の返事で、
すべてを察知してくれたらしい。

「わかりました。
まず、あなたがどんな状態なのか教えてください。
奥でイッたことはありますか?」

「自分だと外の方がラクですけど、
人とセックスをする時は奥でイくこともあります。でも少ないですけど」

「当サロンでは、女性の方の快感レベルを高めるために奥をご自身で開発していただくことを推奨しています」

「奥を開発する・・・。自分で、ですか。開発ってどうやったらできるんですか?」

「主にマシーンを使っていただくのですが、まずはベーシックなマシーンがいいと思いますので、この中から選びましょう」

と言って、店主は私の前に3つほどバイブを差し出した。

それぞれ色も形も違うのだが、なんとなく勘が働いて
「これは合いそうだな」というのがピンときた。

「これにします」

「このマシーンを週に1回か2回くらい使っていただき、
奥でイく練習をしていただければと思います。できればなんですが、ささっと数分で済ますのではなく、きちんと1時間くらいゆっくりタイミングをとっていただき、リラックスした状態で行っていただくといいと思います」

「リラックス」

当時夫と1ルームで暮らしており、
プライベートスペースがなかった私は「どうしたものか」と頭の中で考えていた。

それと同時に、当時は出版関係の仕事をしており、取材だの撮影だので常に目の前の仕事に追われる生活だった。

ゆえに、仕事をしている時間以外は
食べるか寝るかといった生活で、
趣味の時間なども持っていなかった。

だから、「快感のための時間をわざわざつくる」という視点自体が斬新だった。

「主婦をされていて、お子さんもいらっしゃって、なかなかご自身の時間がとれないという方も多くいらっしゃるのですが、そういった方にはお一人でホテルに行っていただき、そこで快感をレベルアップすることを推奨しております」

「ホテルか・・・」

「はい。ホテルですと、非日常ですから、
家庭や仕事と距離を置いて、本来の身体の欲求が出てきやすいんですね」

店主の話を聞きながら、脳内でお気に入りのホテルを検索する。

たとえば都内ならパレスホテルやリッツ・カールトンで眺めのいい部屋を、
またはちょっと遠出をして自然に囲まれたコテージを予約するのもアリかもしれないな。

夫にも、友人にも相談しない、
自分のための秘密の計画。

想像するだけで鼓動が早まっていた。

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<エピソード一覧>
●渋谷セックスサロン物語 1 〜突然の探求衝動〜|愛とかセックスとか生理とか #note https://note.com/jhmmy/n/ne75f7e73ca70

●渋谷セックスサロン物語 2 〜奥渋のマンションと店主〜|愛とかセックスとか生理とか #note https://note.com/jhmmy/n/n18ffb1d4a635

●渋谷セックスサロン物語3 〜奥の開発〜|愛とかセックスとか生理とか #note https://note.com/jhmmy/n/nbcdac8180131

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