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21世紀型スキルがゲームで楽しみながら身につく「子ども未来キャリア」インタビュー

日本ゲーミフィケーション協会 理事の原です。

今回のテーマは子どもむけキャリア教育です。私自身、子ども向けプログラミング教育を行う株式会社プロキッズの代表も務めており、気になるテーマの一つです。

近年、学校教育の中でアナログゲームを活用する動きが注目されてます。アナログゲームは、子供たちを能動的に学習するアクティブラーニングのツールとなり、ゲームプレイを通してのコミュニケーション力の育成にも役立つと言われています。

今回は、全国の小中学校でのキャリア教育において、テーブルゲームを通して未来で役立つスキルを習得することができる「子ども未来キャリア」について、イー・ラーニング研究所の営業の溝渕様、谷村様、木村様と広報の中沼様から色々お伺いしました。

大阪と東京を繋いでインタビュー

「子ども未来キャリア」とは?

子どもたちが将来なりたい自分になるために、アナログゲームをプレイすることで、必要なスキルを楽しく学べるキャリア教育教材が「子ども未来キャリア」です。

特徴としては、テーブルゲームをしながら学ぶことができるので、子どもたちが苦労して勉強するのではなく、主体的に楽しく対話しながら、学べるように工夫されていることです。まさにこれからの教育として文部科学省が提唱している「主体的で対話的な深い学び」が盛り込まれた設計であり、ゲーミフィケーションが活用されています。

テーマは下記の全部で12種類のゲームが用意されています。

12種類のキャリア教育ゲーム

一つ一つのテーマは2時間標準で設計されており、アナログゲームをプレイする時間は1時間が標準です。それ以外は説明や振り返りなどの問いの時間です。

「楽しさ」と「学び」が両立する教材

それでは早速インタビューをさせていただきましょう。

Q1. 開発のきっかけについて教えてください。

5、6年ほど前から開発を開始しました。きっかけは子どもの取り巻く「学校教育」と「将来必要なスキル」にギャップがあると感じたことです。

社会に出た時に必要なスキルとしては、他者とのコミュニケーションなどの人間力が必要ではないかと感じ、それを習得するためにはコンピュータなどのICT機器を使った教育よりも、敢えてアナログの商品の方が適しているのではないかと感じました。

Q2. 開発で苦労したことはありますか?

「遊び」と「学び」のバランスです。

学びをゲーム化することで、子どもの「遊び」要素が強くなり、積極性は向上しますが、学習効果が下がってはいけません。一方で、「学び」要素が強すぎると、子どもたちにとって楽しくなくなってしまう可能性が出てきます。「遊び」と「学び」の両立こそが最大のポイントです。

Q3. 開発で工夫したことはありますか?

「学び」と「遊び」を両立するために、オリジナルメソッド「QMI+NA」を開発しました。

OMI+NAメソッド

ゲーム開始時に、そのテーマに関する「問い」を投げかけます。そうすることで、この後の学習への興味を促進し、子どもを「前のめり」にしていきます。そして、最後にも「問い」が用意されており、内容を振り返ることで学習の定着度をアップし、実際のアクションプランに落とし込めるような設計になっています。

また、プレイ時間としては2時間なのですが、子どもがゲームに飽きないように、実は途中でゲームのルール変更が行われます。そうすることで、ゲーム自体に慣れてきたユーザがまた新たな気持ちでゲームに取り組むことができます。

学んで終わりではく、実体験に結びつく学び

非常に興味深い内容です。もっと内容を深掘りさせてください。

Q4. このサービスの評判はどうでしょうか?

保護者様からの評判が高く、「子どもの意識が変わった」との感想をいただきました。
特に「需要と供給」を学んだ子どもが、スーパーで野菜の価格を見るようになったということもあったそうです。

また、展示会ではアナログだからこそ良いというフィードバックを頂いており、手応えを感じております。

Q5. ゲーミフィケーションを知っていますか?

はい、知っています。
学びの中に、遊びの要素を入れることを重視しております。

それ以外にもゲーミフィケーションを活用しており、イベントでポイントカードのようなものを使っております。参加するとポイントがもらえるのですが、リピート率を上げたりするのに効果が出ています。

Q6. 今後の予定について教えてください。

子どもの能力開発はこれから重要性が上がると考えており、「子ども未来キャリア」をもっとブラッシュアップしていき、認知度も上げていきたいと思います。

また、「デジタル化して欲しい」「社会人教育に活用できるのではないか」などの新しいご意見も頂いており、様々なニーズをお伺いしながら、これからも商品開発と販路拡大に取り組んでいきます。

「達成可能な目標設定」などのゲーミフィケーション要素

インタビューありがとうございました!

実際に私が体験したのは「情報リテラシー」だったのですが、アナログカードゲームだったので、すぐに使い始めることができました。

カードゲームの内容としては、「赤い」「丸い」「くだもの」などのヒントカードが次々に出され、その要素から何のことを表しているのかを当てるゲームです。そして、途中で嘘のヒントカードを出す「ライアー」が出現します。すると、難易度が変更されて、このゲームの目的としては多くの情報がある中で正しいことを導き出していくことです。

ここでゲーミフィケーション協会の提唱するゲーミフィケーション6要素を抜粋して分析してみます。

<1.能動的な参加>
 
アナログカードゲームなので楽しそう
 ゲーム内のゴールやルールが明確
<2.達成可能な目標設定>

 カードゲームなので事前学習することなくすぐに誰でも開始できる
 ライアーが出現して難易度が上がる
<3.称賛の演出>
 上手くできるとうれしい
 周囲のメンバーからも褒められる
<4.即時フィードバック>
 答えた人は正解か不正解かをすぐに伝えられる
<5.即時フィードバック>
 ライアーが出現して難易度が上がった時にクリアすると達成感が上がる
<6.独自性の歓迎>
 自分なりの思考や工夫で、正解に近づける

やはり、子どものモチベーションをアップさせる仕組みがあるのが分かります。

教育総合展「EDIX」での展示の様子

敢えてアナログでのゲーミフィケーション活用事例

「敢えてアナログのカードゲーム商品」とおっしゃっていたのが印象的でした。

ゲーミフィケーションを取り入れる際に、コンテンツがデジタルなのかアナログなのか、その両方なのかを設計することは重要です。

今回インタビューさせていただいた「子ども未来キャリア」は、アナログカードだからこその強みを活かし、参加への敷居を下げて、対話が生まれやすく、みんなが積極的に参加しやすい環境を生み出しています。

重要なのは、ユーザにどんな体験をさせたいかということであり、その手法としてアナログとデジタルの特徴を理解して、状況によって使い分けることが成功の秘訣ですね。


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