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アドラー心理学とゲーミフィケーション~勇気づけの技術


 ゲーミフィケーション賢者Lv98の”きっしー”です。

 昨年、アドラー心理学カウンセリング指導者である岩井 俊憲さんのワークショップに参加しました。内容は、授業スキルアッププログラム(勇気づけるチカラワークショップ)に関してのものです。

勇気づけと勇気くじきヨイ出しとダメ出しなどの反対語が、印象に残ったので、私もそれを真似てゲーミフィケーション講座で、「能動的参加と強制的参加、あなたならどっちをやってみたいですか?」などと使っています。

そしてその後、岩井さんの書かれた「勇気づけの心理学 増補・改訂版」(2011)を読みました。

「BOOK」データベースより内容です。
小さな勇気づけは、自分の内面に潜む可能性に拍車をかけ、希望と信念を加え、周囲の人たちを巻き込んで、やがて大きなアウトプットをもたらす。アドラー心理学の「勇気づけ」の理論と実践を一気に学べる“決定版”が、さらに読みやすく、充実・進化して登場。

本書の内容を紹介しながら、私の興味を持ったところとゲーミフィケーションとの関係について書いていきます。


「ほめる」と「勇気づける」との違い

 ほめることは評価的な態度で一時的な効果しかもたらさないが、勇気づけは共感的な態度で継続的な効果があるそうです。(p38~)

例えば、親子で言うなら、ほめるは親の期待を達成したとき。期待が外れた時は失望が表明される。
勇気づけるは相手に共感し、達成した時も達成しなかったとも勇気づける。継続的な効果がある。とのこと。

これは目からうろこで大変勉強になりました。私自身もゲーミフィケーション賢者として、大学や高等部の講師として、上から目線になりがちな所をフラットな立ち位置を心せねばと思いました。

また、ゲーミフィケーションでの<能動的な参加>を引き出すことは、勇気づけの目標と同じだと思いました。一歩目を踏み出せない人、途中で立ち止まってしまった人に、ワクワクする仕掛けで行動をサポートすることです。


勇気づけの技術 7つ

 勇気づけの技術として、加点主義、ヨイ出し、プロセス重視
、協力原理、人格重視、聞き上手、失敗を受容
の七点を上げています。(p153~)

加点主義は、成長や進歩をともに喜ぶこと。ヨイ出しは、ダメ出しの反対で建設的な行動に目を向けて声をかけること。プロセス重視は、結果だけではなく努力している過程に寄り添うこと。協力原理は、それぞれの人の長所・持ち味を共通の目標に向けて生かすこと。人格主義は、罪を憎んで人を憎まず精神。聞き上手は、話したい誘惑をコントロールして相手の話を聞くこと。失敗を受容は、失敗をチャレンジの証で学習のチャンスと肯定的な意味に注目すること。
はしょりましたので、詳しくは本書をお読みください。

ゲーミフィケーションとの関係だと、加点主義は、ゲームは全て加点制で同じです、得点はどんどん増える、レベルもどんどん上がる。ゲームでは下がるのはやる気を削ぐので使いません。同じくゲーミフィケーションでも加点制で評価します。<成長の可視化><即時フォードバック>です。

ヨイ出しは、ゲーミフィケーションの<達成可能な目標設定>の<称賛の演出>です。スモールステップに分けて出来たことから、ドンドン誉めてあげます。

協力原理は、今流行りのオンラインゲームのチーム戦の様です。メンバー同士が役割分担して協力しながら敵と戦います。ドラクエの様なRPGでの、勇者、戦士、魔法使い、商人でパーティを組むなども、個性の尊重だと思います。

失敗を受容は、ゲームのリトライできると同じ。リトライできる安心空間なのでゲーム内では色んなことにチャレンジできるのです。ゲーミフィケーションでも失敗しても経験値が溜まって<成長の可視化>できる仕掛けを用います。

仲間たちの役に立つこと

まとめとして、勇気づけの三段階(p151~)
1.相互尊敬・相互信頼(フラットな関係)
2.相手が自分自身を勇気づけられるように
3.共同体の役に立つように

人は、仲間たちと繋がって、他の仲間たちの役に立てることにより、勇気・自信をもって自分から行動できるようになるのですね。「勇気づけ」も「ゲーミフィケーション」もそれを支援していく仕掛けです。

そして実践


 この本の素晴らしいところは、「勇気づけ」の理論だけではなく、理論をもとにした実際の技法が、例えを使いながら豊富に書かれていることです。

最後は、勇気づけのケース・スタディ(p207~)で、現実に即した建設的な勇気づけに頭を絞ってみてください。
(おわり)


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執筆:岸本 好弘(日本ゲーミフィケーション協会 代表賢者Lv98)
https://jgamifa.jp/

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