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哲学に関するメモ(10) 【孫子の兵法】

本メモは哲学の基礎的な内容に関するメモです。


1. 計篇 8項目

…戦争を決断する以前に考慮すべき事柄について

1-1. 兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり
…いつ生きるか死ぬかはわからないのが人生だから緊張感を持って生きなさい
→安易になっていないか、邪な心はないかと戒めることが大事


1-2. 之を経むるに五事を以てし、之を校するに計を以てして、其の情を索む、一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五に曰く法
…五事、どうやって自分の幸福を実現するか情報を集めてリアルな計画を立てなさい

❶道
…具体的な目標、五年後、十年後、二十年後の自分をリアルにイメージする

❷天
…時代性、どのようなもので何が追い風になって時代を背負っていけるか

❸地
…活躍するフィールド、自分の能力を活かせて競争がなく世界的に広がる分野

❹将
…必須能力、必要な能力やどのように身につけるかを明確にする

❺法
…己に打ち克つ、自分を律して継続する、やり通す


1-3. 主孰れか有道なる、将孰れか有能なる、天地孰れか得たる、法令孰れか行わるる、兵衆孰れか強き、士卒孰れか練れたる、賞罰孰れか明らかになる、吾此を以て勝負を知る
…七計、ロールモデルを見つけて比較し足りない能力と自分だけの能力を磨けば勝負ができますよ

❶有道
…世のための志があるか、私欲にまみれたり時代に左右されたりしたものでないか

❷有能
…実力・専門能力、嫉妬や過小評価をしない、負けている部分をきちんと認める

❸天地
…タイミングやフィールド

❹法令
…コンプライアンスを遵守しているか、成果があってもルールに反すれば脱落する

❺強き
…勝負強さ、運とは異なる、日ごろからあらゆる事態を想定し柔軟に対応できるように

❻練れたる
…どれだけ訓練しているか、量や質、上の人の何倍も積み重ねないと超えれない

❼賞罰
…報酬・評価・ポジション、目標をより明確にする


1-4. 将、吾が計を聴きて之を用うれば、必ず勝たん
…悲観的に準備して楽観的に行動することで勝てますよ
→せっかちにならずに急がば回れ、自分は勝てるという自信が滲み出てくる


1-5. 計、利として以て聴かるれば、乃ち之が勢いを為して以て其の外を佐く
…勝ちを確信できる計画ができれば勢いが出て支援者も現れますよ
→計画がない者の元気は空元気、行き当たりばったりでおろおろして勢いもなくなる


1-6. 勢とは利に因りて権を制するなり
…勝つと信じている人ほど強く権力も押し切ってしまうことがありますよ
→権力者は権力で勝ちを諦めさせることが定石だが懐に飛び込まれたら支援者になることも


1-7. 兵は詭道なり
…バカになれる人になりなさい
→強さを誇示しようとすると相手は警戒する、謙虚になることで相手も隙を見せる


1-8. 利して之を誘い、乱して之を取り、実にして之に備え、強くして之を避け、怒りて之を撓し、卑うして之を驕らせ、佚にして之を労し、親しみて之を離し、其の無備を攻め、其の不意に出づ
…持ちつ持たれつの関係でなく色んな方法で相手をリードしなさい、人間を知りなさい

❶メリットを提供
…裏で人脈や情報を用意しさりげなくすることで恩着せがましくない

❷痛いところをつく
…相手を動揺させ言ってはいけないことを口走らせる

❸得手・不得手を利用
…得意分野で話をさせてからだと本題も話しやすい


2. 作戦篇 8項目

…戦争準備計画について

2-1. 馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里に糧を饋れば、則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費やす、然るのちに十万の師挙る
…海外で勝負するのに重要なのは自分だけの能力と専門的な能力を明確にすることですよ、海外に出たらビジネスに集中できる環境を整えることが大事ですよ
→武器が法律の知識じゃ競争相手が多すぎ、日本進出を考える企業にアドバイスならいい、アウェイの中でもホームと同じように仕事ができるように、雑務、リラックス


2-2. 兵は拙速を聞く
…海外では地の利は相手にあるのでとにかく迅速に動いて主導権を握りなさい
→多少まずい点があっても迅速に動いて持てる力を全て動員して圧倒して勝つのが定石


2-3. 尽く兵を用うるの害を知らざる者は、則ち尽く兵を用うるの利を知る能わざるなり
…どうすれば成功できるかよりどうすれば失敗するかを知る必要がありますよ
→成功するケースをたくさん知っていても不利な状況であたふたするだけ


2-4. 国の師に貧しきは遠く輸せばなり
…できないことを引き受けても失敗して評価が落ちるだけなので無理に引き受けてはいけないですよ
→欲求を刺激されてやらなければ損と思うのは間違い、焦らずに能力を磨け


2-5. 智将は務めて敵に食む
…自分の不得意分野でも得意とする人がいればうまく頼んで進めることも実力のうちですよ
→自分自身に実力があれば色んな人が協力してくれるので自分の専門分野をまずは磨け


2-6. 敵を殺すは怒なり、敵に取るの利は貨なり
…相手をコテンパンにしてケンカ別れするのは愚の骨頂、別れるなら良好関係のまま別れなさい
→冷静に相手の言い分を聞いて能力や知識、知恵を自分のものにしよう


2-7. 敵に勝ちて強を益す
…相手に勝った後は無傷のまま味方に取り込んだ方が強くなれますよ
→勝つことを第一としながらも勝った後に相手のすべてを取り込むことも考えなければならない


2-8. 兵を知るの将は、生民の使命、国家安危の主なり
…理想の上司は運と実力を持っている人、そういう人に力を尽くしなさい
→ナンバー1を狙っていて勝てる裏付けを作っている人につけば最短距離でナンバー2になれる


3. 謀攻篇 6項目

…戦争に拠らずして勝つ方法について

3-1. 百戦百勝は、善の善なるものに非ざるなり
…たくさん戦ってたくさん勝ったのは非常に危うい、戦わずして勝ちなさい
→たくさん戦っても自分とサポートで消費するだけ、交渉で譲ってもらうのが理想


3-2. 上兵は謀を打つ
…相手に早い段階で『こいつと戦っても勝てないな』と思わせなさい
→相手にいかに労多くして益少なしと思わせるかを考える


3-3. 善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うに非ざるなり、人の城を抜くも、攻めるに非ざるなり、人の国を毀るも、久しきに非ざるなり
…とにかく戦わない、自分から仕掛けない、戦わなきゃいけなくなったら長引かせてはいけないですよ
→オンリーワンの分野で圧倒的な実力を身につけ、戦うとしても初めに全力を尽くす


3-4. 少なければ則ち能く之を逃れ、若かざれば則ち能く之を避く
…相手の実力が圧倒的に上なのに負けを承知で戦うのは戦略ではないですよ、最後まで戦わない
→実力差で戦略を変える
❶自分に十倍以上の圧倒的に力がある場合は囲って相手から降りるよう工作する
❷五倍くらいの場合はちょっと戦って強いことを認識させる
❸倍くらいの場合は二手に分けて挟み撃ちにする
❹同等の場合は戦うしかないがこうならないように日頃から積み重ねろ


3-5. 将は国の輔なり、輔周ならば則ち国必ず強く、輔隙あれば則ち国必ず弱し
…能力を一体として使えれば強い推進力が発揮されるが実践する行動力・体力・気力が必要ですよ
→上司は現場責任者に口出しするな、実情を知らないで干渉すると内部から弱体化していく


3-6. 彼を知り己を知らば、百戦して危うからず
…相手と自分の実力を過大・過小評価せずに正確に把握しなさい
→他人に甘く自分に厳しくすることで付け入る隙を与えない


4. 形篇 5項目

…攻撃と守備について

4-1. 勝は知る可くして、為す可からず
…相手や環境をコントロールすることはできない、逆手に取られる可能性もありますよ
→コントロールできるのは自分だけ、五事七計によって負けない自分を作る


4-2. 勝つ可からざるとは守るなり、勝つ可しとは攻むるなり
…欲を出すと攻撃のことばかり考えてしまうがまず守りを固めなさい、攻めなければ勝てない
→負けない自分を作りながら焦らずにチャンスを待ち相手の隙をつければ勝てる


4-3. 能く自ら保ちて、勝を全うす
…常に冷静でいなさい
→感情が湧いた時はそれを放出し平常心に戻れるようにし時間を段々と短縮させていく


4-4. 古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり
…難しいことも当たり前のようにできるのが勝てる人間ですよ
→褒められたら恥と思うほどでないと成長はできない


4-5. 勝兵は先ず勝ちて、而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて、而る後に勝を求む
…既に勝ったも同然という状況を作ってから臨みなさい、当たって砕けろでは勝てない
→最初に現場に入って状況を分析し準備せよ


5. 勢篇 6項目

…形から生じる勢いについて

5-1. 凡そ衆を治むること寡を治むるが如くするは、分数是なり、
衆を闘わすこと寡を闘わすが如くするは、形名是なり
…大きいものを整理し小さいもののように統制しなさい
→大量の仕事も分類・整頓して同じようなものをまとめて行うのが効率的、整理整頓で鍛えよ


5-2. 凡そ戦いは正を以て合い、奇を以て勝つ
…正攻法で立ち合い、奇策で相手に勝ちなさい
→自分の能力と行動のバリエーションを分析しどんな状況でも柔軟に対応できるようにしよう


5-3. 奇正相生ずること、循環の端無きが如し、孰れか能く之を窮めん
…柔軟に対応することであの手この手と行動し続けれますよ
→あきらめない人が勝てるのあきらめないの意味はこれ、学習しないで同じことを続けることではない


5-4. 激水の疾くして石を漂わすに至るは、勢いなり、鷙鳥の疾くして毀折に至るは、節なり
…何事も勢いが大事ですよ、水は勢いで石を押し流す、鷹などは瞬間的に力を発揮して餌を狩る
→集中してここぞという時に一気に行動することで勢いが生まれる


5-5. 利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ
…膠着した時はわざと隙を見せて相手が動くのを待ちなさい
→相手が望んでいる状態をちらつかせる、自分がこの手に乗らないようにする


5-6. 善く戦わしむるの勢い、円石を千仞の山に転ずるが如きは、勢いなり
…人間は危機的状況の方が勢いが生まれますよ、石を急な坂ではゴロゴロと転がり出す
→常に緊張感をもって問題点を洗い出し行動に駆り立てる


6. 虚実篇 7項目

…どう主導権を発揮するかについて

6-1. 善く戦う者は、人を致して人に致されず
…いち早く主導権を握りなさい
→いち早く困難を察知して迎え撃つ勢いで自分から仕掛けることが大事


6-2. 攻めて必ず取るは其の守らざる所を攻むればなり、守りて必ず固きは其の攻めざる所を守ればなり
…競争相手がいない、いても強敵はいないフィールドで戦いなさい
→常識を疑うことが大事


6-3. 我専まりて一と為り、敵別れて十と為らば、是十を以て其の一を攻むるなり
…色んな分野の力を強化すると総合力は上がるがどの分野でも勝てる確率は低いですよ
→一点集中主義で際立った存在になれる、他人が磨かないような能力に8割、みんな必要な能力に2割


6-4. 兵を形するの極は、無形に至る
…臨機応変に多様な技を出せるのが達人、無形というのが到達点であると心がけなさい
→最初は形から入るのはいいがいつまでも形を追っていると進歩はない


6-5. 夫れ兵の形は水に象る
…水のように柔軟性を持ち懐に入っていきなさい
→無になり聞き上手になることで相手の要望を聞き出せる


6-6. 水の形は高きを避けて下きに趨き、兵の形は実を避けて虚を撃つ、
水は地に因りて流を制し、兵は敵に因りて勝を制す
…何が起きても想定内だといって対応できるようにしなさい
→常に四方八方の状況に気を配り、包括的直感力で仮説を構築し先手を打つ


6-7. 五行に常勝無く、四時に常位無く、日に短長有り、月に死生有り
…自然の営みのように人生を回し続けなさい
→自分が不死身かのように思って柔軟性を強化しバイタリティを生み出していくことが大事


7. 軍争篇 7項目

…敵の一手先をどう制するかについて

7-1. 軍争の難きは、迂を以て直と為し、患を以て利と為せばなり
…困難があれば回り道しても良いが不利を有利にし誰よりも早くゴールにたどり着きなさい
→❶情報収集❷鼓舞❸骨抜きにする❹タイミングを味方に❺大将の首を狙う


7-2. 軍挙げて利を争えば、即ち及ばず
…何が何でもゴールに着こうとムリを重ねると消耗するだけでうまくいきませんよ
→キャパシティを把握し少しづつ限界値を超えることが大事


7-3. 郷導を用いざれば、地の利を得ること能わず
…自分でできることは限られている、専門家を活用しなさい
→専門家と交流する方が理解が深まるし知識を習熟させるプロセスを短縮できる


7-4. 其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと影の如く、動くこと雷震の如し
…行動にはメリハリをつけなさい、やる時はやるのが大事ですよ
→何事も瞬発力と集中力、周囲を巻き込めるように


7-5. 金鼓、旌旗は人の耳目を一にす
…太鼓や旗など共通のものを身につけることで仲間意識を高めなさい
→服やロゴマーク、キャッチフレーズなど


7-6. 朝気は鋭く、昼気は惰り、暮気は帰る
…朝は気力があるが時間が経つと萎えていきますよ
→重要な仕事は午前中、午後はダラダラとしてしまいがちなので体を使うもの


7-7. 帰師は遏むる勿かれ、師を囲めば必ず闕き、窮寇には迫る勿かれ
…逃げようとする相手に立ちはだかるな、囲んでも逃げ道を用意せよ、追い込んだ敵を攻撃するな
→追い詰められた時の力はものすごい、無駄にトラブルを起こさないように逃げ道を用意する


8. 九変篇 5項目

…臨機応変な対応について

8-1. 圮地には舎る無く、衢地には交わり、絶地には留まる無く、囲地には則ち謀り、死地には則ち戦う
…五進、海外で働く時の心得、地球の中で常に身軽でいなさい

❶圮地
…進めない所に駐屯させるな、困難があれば策を練らずにとにかく困難から抜け出せ

❷衢地
…バックが大きい国と戦うな、戦うだけが勇敢ではない、親密にすることも勇敢

❸絶地
…相手の陣地に侵攻した時は長くいるな、みんなで乗り込んで素早く達成し退散

❹囲地
…囲まれたときはクリエイティブを用いよ、奇策しかない

❺死地
…ピンチになったらがむしゃらに戦うしかない、冷静にい続けよ


8-2. 塗も由らざる所有り、軍も撃たざる所有り、城も攻めざる所有り、地も争わざる所有り、君命も受けざる所有り
…通らない方がいい道、撃たない方がいい軍、攻めない方がいい城、争奪しない方がいい場所、従わない方がいい命令もありますよ
→判断は現場に任せよ、目的はいい結果を残すこと、現場の人間は説得できなければならない


8-3. 智者の虜は必ず利害を雑う
…物事は利害の両面から考えなさい
→いいことも悪いこともいつかは終わると考え、バランスを取ることが大事


8-4. 其の来らざるを恃むこと無く、吾が以て待つ有るを恃むなり、其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり
…嫌なことが起こりませんようにと祈るのは愚かですよ
→来るなら来いと構えて困難を受け入れられるくらいに負けない自分を作れ


8-5. 必死は殺す可く、必勝は虜とす可く、忿速は侮る可く、廉潔は辱む可く、愛民は煩わす可し
…五危、強みが弱みに変わる場合がありますよ

❶必死
…過ぎれば思考力が鈍って当たって砕けろで失敗に終わる

❷必生
…絶対に目標を達成するという気持ちが強すぎると手段を選ばない、失敗を恐れる

❸忿速
…闘争心をむき出しにすると挑発に乗りはめられる

❹廉潔
…こうすべきと綺麗事ばかり並べると生きにくくなる

❺愛民
…甘やかし過ぎるとダメになる


9. 行軍篇 7項目

…進める上での注意事項について

9-1. 凡そ軍を処き敵を相するに、山を絶れば谷に依る、生を観て高きに処る
…上手く行っていてもどん底の時代を思い出しなさい、常に初心で上を目指しなさい
→明確に設定できるゴールとは別に終わりのないゴールを持つことも大事


9-2. 水を絶れば必ず水より遠ざかる、客、水を絶りて来らば、之を水内に迎うる勿かれ
…川に入って戦ってはいけない、上流から様子を見ながら戦いなさい
→問題が起きたら中に飛び込まずに問題から離れて大局から見た方がいい


9-3. 斥沢を絶れば、惟亟かに去りて、留まる無かれ、若し軍を斥沢の中に交うれば、必ず水草に依りて衆樹を背にせよ
…泥にはまったらそこから出ることを考えなさい、水草を掴んで沈まないようにしなさい
→問題が重なって逆境に立たされた時は心の支えが必要である、元気が湧くもの


9-4. 平陸には易きに処りて高きを右背にす、死を前にし生を後にす
…平地では山を背にしなさい、不意打ちをくらわないようにしなさい
→上手く行っいる時こそ明日死ぬかもしれないという危機感をもって慎重に行動する


9-5. 凡そ軍は高きを好んで下きを悪み、陽を貴んで陰を賤しみ、生を養いて実に処る
…寒さで体温が奪われることを避け暖かい所にいなさい、健康は成功に必要ですよ
→何事も過ぎれば心身の毒、健康の大切さを再認識し日常生活に健康にいい習慣を取り入れる


9-6. 軍行に険阻・潢井・葭葦・山林・蘙薈有れば、必ず謹んで之を覆索せよ、此れ伏姦の処る所なり
…険しい場所、窪地、葦原、山林、草木の生い茂った暗がりには敵兵が潜んでいますよ
→うまい話には裏がある、些細なことも見逃さず変化を察知する、表情や動作にも


9-7. 卒未だ親附せずしてこれを罰すれば、即ち服せず、服せざれば則ち用い難し、卒巳に親附して罰行わざれば、即ち用う可からず
…人間関係ができていないうちは罰しない方が良いですよ
→最初に威厳を示そうとして高圧的な態度をとっても逆効果、まずは良好な関係を築くことが優先


10. 地形篇 4項目

…どの状況でどう戦術を変更するかについて

10-1. 地形に、通なる者有り、挂なる者有り、支なる者有り、隘なる者有り、険なる者有り、遠なる者有り
…六形、地形に応じた戦い方がありますよ

❶通形
…遮るものがない、直接対決は元気がある方が勝つ

❷挂形
…隙があり攻めやすいが引き返せない、0 か 100 なので有利なら攻め不利なら戦わない

❸支形
…先に仕掛けたら負け、誘いに乗らない、争わない

❹隘形
…一番に難関を突破するのが鍵、新しい技術を開発したら力を蓄え不備のある相手を逆転する

❺険形
…不可能とされる難関での競争、誰よりも難関を突破し優位に立つ

❻遠形
…自分の不得意な分野、新商品や新市場への進出の時


10-2. 兵に走る者有り、弛む者有り、陥る者有り、崩るる者有り、乱るる者有り、北ぐる者有り、凡そ此の六者は天の災いに非ず、将の過ちなり
…六過、負ける理由は自分にありますよ

❶走
…目標設定が高過ぎる、諦めてしまわないようにちょっとで手が届くところから段階的に上げる

❷弛
…自分を律することができない、楽な方に流れては上手くいかない、モチベーションを維持

❸陥
…既成概念や固定概念に縛られる、環境変化に柔軟に対応できない

❹崩
…いっときの感情に左右される、冷静さを保ち常に自分をコントロール

❺乱
…自分の都合のいいように考える、リスクコントロールができず想定外のことに対応できない

❻北
…環境把握をせず実力もないまま行動する、行動しながら考えるときもせめて実力くらいつけよ


10-3. 卒を視ること嬰児の如し故にこれと深谿に赴く可し、卒を視ること愛子の如し故に之と倶に死す可し
…部下を我が子のように可愛がることで困難に立ち向かっていけますよ
→無償の愛を注ぎながら厳しく律することも大事


10-4. 兵を知る者は、動いて迷わず、挙げて窮せず
…三握、実力と置かれた状況から勝率が五分五分である
→自分の実力でクリアできるかをきちんと考えれば行動に迷いはなくなる
❶自分の実力を把握していても相手の実力が強大であることを認識していない
❷相手の戦力が劣っていると分かっても味方の実力を把握していない
❸自分も相手の戦力を把握していても地形を把握していない


11. 九地篇 8項目

…状況に応じた戦略について

11-1. 兵を用うるの法、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、囲地有り、死地有り
…九地、状況に応じて心構えを変えなさい

❶散地
…気が散る、心配事があるままでは集中できず大したことはできないので仕切り直す

❷軽地
…先が不安、信頼できる協力者を集めて落ち着いて取り組む

❸争地
…競争者が多い、市場を把握しないため利益が少ない、現場を落ち着かせる

❹交地…競争者が不意に現れる、気が休まらないので仲間と団結できるようにする

❺衢地
…バックに大物がいる、小物を相手にせず大物と仲良くしろ、小物のいいなりになるな

❻重地
…相手に深入りして身動きが取れない、持久戦で持ちこたえて抜け出すタイミングを伺う

❼圮地
…ことが進まない、苛立つ、一度関係がこじれるとめんどくさい、先送りにしない

❽囲地
…囲まれる、無力感、退路を絶って覚悟を決めろ

❾死地
…ピンチ、命がけで戦うことで思いもよらない力が発揮される


11-2. 利に合いて動き、利に合わずして止む
…心がバラバラの集団は脆い、相手を内部崩壊させなさい
→組織が危機的状況に陥る要因の 8 割は内部の弱体化、目標と信念に従え


11-3. 先ず其の愛する所を奪わば則ち聴く
…相手が一番重視していることを突けば主導権を握りやすいですよ
→触れられたくない過去、利権者も国益のもとにメスを入れられる、やりすぎは禁物


11-4. 令、発するの日、士卒の座する者は涕襟を霑し、偃伏する者は涕頤に交わる
…窮地に立ち覚悟が決まった人は人知れず涙を流すものですよ
→冷徹なだけでなく人間味あふれる豊かな感性の持ち主であれ


11-5. 善く兵を用うる者は、譬えば率然の如し
…攻撃を受け流し反撃は即座に行いなさい
→相手の言い分を聞いて理解した上で提案をぶつける


11-6. 能く士卒の耳目愚にして、之を知ること無からしむ
…部下に作戦の全てを知らせる必要はないですよ、作戦の内容は誰にも知られるな
→いい情報は隠すべき、懸念情報は開示すべき


11-7. 帥いて之を期するや、高木に登りて其の梯を去るが如く、帥いて之と深く諸侯の地に入りて、其の機を発するや、舟を焚き釜を破りて、群羊を駆るが若く、駆られて往き、駆られて来り、之く所を知る莫し
…リーダーは一番後ろから追い立てなさい、窮地に追い込めば命がけで戦ってくれますよ
→先行者利益を狙うなら俺についてこい方式でよい、状況判断が必要ならダメ


11-8. 無法の賞を施し、無政の令を懸け、三軍の衆を犯い、一人を使うが若くす
…任務によっては法外な報酬を与え掟破りの命令を下すことで大勢を動かしなさい
→報酬を示せば言葉で指示するまでもなく人を動かすことができる


12. 火攻篇 2項目

…火攻めについて

12-1. 火を発するに時有り、火を起こすに日有り、時とは天の燥けるなり、
日とは月の箕・壁・翼・軫に在るなり、凡そ此の四宿は風起こるの日なり
…火を起こすにはタイミングが重要で風を読みなさい
→イメージ戦略で意識すること
❶容姿、ヘアメイクで魅力を引き出す
❷服飾、洋服でキャラクターを表現する
❸人柄、表情、仕草、話し方を通じていい所を伝える
❹バックグラウンド
❺思想や考え方


12-2. 凡そ軍は必ず五火の変有るを知り、数を以て之を守る
…イメージ戦略では火付け役が重要ですよ
→情報の連鎖を意識して話題にし、一過性のブームで終わらないように長期戦略を考える


13. 用間篇 4項目

…情報戦について

13-1. 爵禄百金を愛しみて、敵の情を知らざるは、不仁の至りなり
…お金を惜しんで情報収集をしなければ負けますよ
→調査費用や接待費をかけてでも手を抜かずに情報収集を行なう


13-2. 必ず人に取りて、敵の情を知るなり
…情報は人からとりなさい
→ネットの情報は意図的に作り出されたか専門知識のない人間が書きなぐった情報も多い


13-3. 間を用うるに五有り、因間有り、内間有り、反間有り、死間有り、生間有り、五間倶に起こりて、其の道を知る莫し、是を神紀と謂う、人君の宝なり
…五間、情報収集マンのタイプ

❶因間
…敵国の村人、ライバル会社の社員など、怪しまれる可能性が低い

❷内間
…敵国の役人、ライバル会社の役員など、コアな情報を持っている

❸反間
…敵国のスパイ、ライバル会社から情報を取りに来た人、情報に通じている

❹死間
…内通者、怪しい人物にわざと嘘の情報を流して内通者を炙り出す

❺生間
…必ず帰ってくる義務がある間者、高度なテクニックが求められる


13-4. 聖智に非ざれば間を用うる能わず、仁義に非ざれば間を使う能わず、
微妙に非ざれば、間の実を得るに能わず
…人格者でなければ情報は得られない、知恵や愛情により人の微妙な変化を察知しなさい
→あの人のためなら力になりたいと思ってもらえるように人格と教養を磨け


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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