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「監理者」と僕【僕とパーツの人生紀行】

今日は「監理者」というパーツについて話そうと思う。

正直、僕が直接的に関わることは少ないのだが、遠目から観察しているとおもしろい人だ。

「おもしろい」というのは「興味深い」という意味で。


彼は僕たちの中で「規律」を司っているような人だ。「日常を送る自己」の代理として、長く事務的なことを担ってきた。

まるでビジネスマンのように、のりの利いたスマートなシャツと細身のスラックス、ほどよく爪先の尖った上品な光沢の革靴を履いている。

主が高級文具やスーツの着こなしに目がないのは、彼の趣味指向が影響しているのかもしれない。

見た目の通り、彼の愛読書はビジネス書だ。

僕たちをある程度統制して「それらしく」生きていくために、自分に合いそうなライフハックや仕事術の知識を得ようと躍起になってきた。

例えば、
・やるべきタスクを細分化して書く(とっつきやすくするため)
・忘れたくないことはふせんに書いて貼り、達成したら剥が
などのライフハックは、今も非常に僕たちの役に立ち続けている。

最近は、主がバイトをする時間に居場所を得ている。言われたことをこなすのが得意だ。

反対に小説やブログを書くことなどの創造的作業は苦手だから、バイトの後は「監理者」が「抜ける」時間を作らないと、創作活動に入れないことが多い。そもそも小説を書いているのは彼じゃない。


仕事に役立つ反面、彼は完璧主義で、神経質。
知識が豊富なことに価値を見出し、人を見下す癖がある。

ビジネス書で読んだライフハックは取り入れて、タスクの細分化や、優先順位をつけることはするが、順位をあまり重要視しない。

全部やることこそが完璧だと思っているから、「とにかく全部やれ」みたいなブラック体質があるのだ。

もしも部下がいたら「無理はするな」と声がけして定時に帰し、自分は疲れを無視してノルマ以上に残業したがるタイプ。彼の厳しさは他人に向くことは少ない。

また人を見下す癖に関しては、主はあまり褒められた特性ではないと思っていて、できるだけ表に出ないようにしている。

この間、とっさに大事な人に向かって「監理者」が返事してしまい、主はひどく落ち込んでいた。

思いがけないタイミングで実務的な話題を振られたものだから、自覚する間もなく「ブレンド化」してしまったのだ。


思うに。知識量に重きを置く「監理者」の価値観は、かつて誰かに無知を批判された傷の埋め合わせではないだろうか。

つまり「本」(『トラウマによる解離からの回復』)に出てくる

生き残るためにどう貢献してくれたか

に着目する手法を踏襲すれば、今は「困った」特性のように見えている彼の癖も、理由があって存在していることなのだ。

主が僕たちの存在を知ったこと、関わり方を学んでいくことで、「日常を送る自己」が持つフラットな思想を出しやすくなっていくんじゃないかと思う。

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