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愛国者学園物語 第3部

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主人公・三橋美鈴が、愛国者学園を支える日本人至上主義について考える。それは、神道、天皇、それに愛国心から成り立っているので、それらの話題について、彼女は議論して悩みつつ、自分の意… もっと読む
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記事一覧

日本なんて壊れちゃえ  愛国者学園物語191

 「いいーじゃないの、そんな日本なんて壊れちゃえばいいのよ」 美鈴は桃子叔母をまじまじと…

傍観者たち 愛国者学園物語190

 桃子が尋ねた。 「なんでそんな人間がさぁ、東アジア総局長なの? ジェフさんは彼女を叱ら…

フカヒレデブ 愛国者学園物語189

ある日、名古屋近郊の海辺にて。三橋(みつはし)家の女たちが、缶ビールを片手に散歩をして…

希望はある 愛国者学園物語188

 2日後、美鈴の元に電子メールが届いた。西田からで、先日のメールの続きから始まっていた。…

貴女の味方 愛国者学園物語187

美鈴は早口で言った。 「 西田さん。私の会社で働きませんか。私たちと一緒に日本の将来を考…

人間の理解 愛国者学園物語186

 美鈴は自分の意見を述べた。 「人間の理解。そうなると、彼らにかなり近づかなければいけま…

いじめられっ子 愛国者学園物語185

 二人は喋り疲れてしばらく黙っていた。そして自分たちが焼きとん屋にいることを思い出して料理を食べ、それを酒で流し込んだ。 西田は唐突に言った。 「美鈴さん、貴女は将来のある方だ。私のような人間といつまでも酒場でしゃべってちゃいけませんよ」 美鈴はその言葉に衝撃を受けた。 「私のような……」 とは言っても、その次が出ない。美鈴は自分に喝を入れた。  「この会合は私にとって貴重な体験でした。ホライズンの職場では話さないようなことも、ここでは話題に出来ましたから」 西

愛国心を証明する必要 愛国者学園物語184

「国民が、自分は国家への忠誠心があることを宣言する、つまり自分に愛国心があることを宣言す…

勇ましい愛国少年の作文 愛国者学園物語183

美鈴たちの、愛国心をめぐる対話はまだ半分も終わっていない。 4番目、 「愛国心教育の成績…

愛国心再び 愛国者学園物語182

「なるほどねえ、難しい問題ですな」 8月15日から数日が過ぎた金曜日の夕方。美鈴たちは…

終戦の日 愛国者学園物語181

そして、終戦記念日が来た。2022年8月15日、77回目の終戦記念日は月曜日だったから…

聖戦ナンテアリハシナイ 愛国者学園物語180

  桃子との長話を終えてから、美鈴は思った。 そうだ。桃子との話でも言ったが、あの5回目…

別の角度 愛国者学園物語179

「不思議な意見だわ」 その声を聞いて、桃子はニヤリと笑って続けた。  「神風特攻隊を称賛…

土曜日の午後 愛国者学園物語178

 またもや、美鈴の朝は 二日酔いで始まった。昨日、あの会合から帰宅した後、彼女は六角形の青いビンに入ったジンを片手に考え事を始めて、結局、夜明けまで起きていた。そして、二日酔いだ。休日の朝なんてこんなものだ。インスタントの味噌汁と大きな梅干しを、まだ酔っ払っている胃袋に流し込んでから、パソコンを開いた。  今日が8月6日土曜日、広島に原爆が投下された日だとは知っていても、何かをするわけじゃない。美鈴には原爆よりも、気になることがある。 (そろそろ、『来る』、はず……)美