YouTube、TikTokを中心に活躍中の若手作家が語る|SNSで支持されるコンテンツメイク
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YouTube、TikTokを中心に活躍中の若手作家が語る|SNSで支持されるコンテンツメイク

株式会社FIREBUG

もはや、ただ面白いだけでは見てもらえない──
厳しい競争の時代において、YouTubeやTikTokでヒットコンテンツを生み出すにはどうしたらいいのか?
1,000万回試聴に迫る勢いの四千頭身による「Make you happy」MV完全再現の仕掛け人であり、丸山礼、土佐兄弟といったSNS発で人気を拡大していったお笑い芸人のYouTubeチャンネルや、SNSコンテンツの制作を手がける新進気鋭の作家・ダンプさんに、支持されるコンテンツメイクのポイントを聞きました。

コンテンツ作家の肩書きは、メディアにこだわらず活動していくという意志表示

──ダンプさんはYouTubeやTikTokを中心に、テレビも含めて幅広く活躍中です。いわゆる「放送作家」ではなく、「コンテンツ作家」という肩書きにしているのは何か理由があるのでしょうか?

2017年から作家として活動し、当初は「放送作家」と名乗っていました。ちょうどその頃から、YouTubeが注目を集めるとともにSNSのことをしっかりと理解して寄り添った企画を考えられる人材が求められる傾向が強くなり、テレビの匂いを感じさせる放送作家の肩書きがマイナスになることもあったんです。とはいえ、SNSに特化した肩書きにすることでテレビの仕事の可能性を狭めてしまうのはもったいない。イメージしやすい放送作家の要素を残しつつ、SNSにも通じる新しい肩書きはないか。そう考えて、ありそうでなかった「コンテンツ作家」にしました。「名は体を表す」と言うように、作家としてメディアにこだわらず活動しているので、この肩書きはピッタリだと思っています。

──なるほど、理由を伺うと納得ですね。作家として活動を開始するまでには、どういった経緯があったのでしょうか?

父親が歯科医師で実家の歯科医院を継ぐことも考えていたのですが、高校卒業直前に「自分が本当にやりたいことは違う」と思い、思い切って上京しました。好きだったお笑いやエンタメに関わる仕事ができないかと考え、お笑い芸人の養成所を見学したり、若手芸人のライブに足を運びました。その中で、四千頭身のように同年代で圧倒的な存在感を放っている人たちを見て圧倒され、「自分にはお笑い芸人は無理だな」と諦めたんです。

ただ、瞬発力を要する面白さはないけれど、時間をかけて練って考えることなら勝負できるかもと、「水曜日のダウンタウン」の「みんなの説」などのテレビのネタ募集に応募したところ、いくつか採用されて。放送作家ならいけるのではないかと手応えを感じ、ワタナベエンターテインメントの養成所「ワタナベコメディスクール」の放送作家専攻に入学しました。養成所では放送作家としてのテクニックを一通り教わりましたが、それ以上に心構えというか、好きなことに本気で取り組む姿勢を学びましたね。常に自分自身と向き合い、作家として生きていく覚悟ができたという意味でも非常に有意義な時間でした。

──現在は四千頭身をはじめ、丸山礼さん、土佐兄弟など、数多くのYouTubeチャンネルなどを手がけています。

四千頭身のYouTubeチャンネル「YonTube(四千頭身公式チャンネル)」は2017年の開設直後から携わっています。養成所在籍中にニコニコ生放送の番組の作家になれるという学内コンペで企画が通って、毎月2〜3回の番組を4カ月担当させてもらいました。その番組を統括されていたのが当時の四千頭身のマネージャーだった方で、12月のクリスマス特番の制作を通して出会ったのがきっかけでした。ちょうど2017年12月にYonTubeが開設されたばかりで新ネタなどをアップしていたのですが、企画もしっかり出していきたいというタイミングで。僕自身、ライブで衝撃を受けたお笑い芸人がスターになっていく過程を間近で見たいという思いがあったので、この上ないチャンスでしたね。動画の編集作業に関してはまったくの素人でしたが独学で身につけて、企画も編集もトータルで担当しました。

当時はカジサックさんもYouTubeを始めていなかった(2018年10月開設)ですし、芸能人のYouTube参入はほとんどなく、全てが手探りでの開拓という状況でした。当然ながら予算も限られていて、そのやりくりも含めて苦労はありましたね。そういった中でも、YonTubeで得たノウハウを他のYouTubeチャンネルの仕事でも生かし、そこで得た知見をYonTubeに還元したいという強い思いがあり、経験を積んでいき、今に至ります。

「話題性」「ストーリー性」を経て、今重視するのは「ポジション戦略」

──ここからはSNSで支持されるコンテンツづくりについて具体的に伺っていきます。SNSで発信するコンテンツだからこそ必要となるポイントについてお聞かせください。

フェーズによって意識するポイントは変えていて、今は「ポジション戦略」を重視しています。直近3年を順に整理すると、芸能人のYouTube参入が話題になった2019年は「話題性」。当時はYouTube全体のチャンネル数も今ほど多くはなく、面白い企画さえアップすれば再生回数も伸びていくというシンプルなフェーズでした。特に芸能人のYouTube参入は新鮮味があり、テレビの情報番組で取り上げてもらうなど、いかに話題性のあるネタとして広げられるかがポイントでした。

次に、「Nizi Project」が注目を集めた2020年は「ストーリー性」。チャンネルの中にある「成長のプロセス」「次々につながって展開していく企画」といった、ずっと追っていきたくなるストーリーが視聴者を惹きつける大きな要素になりました。YouTubeでは、「【レペゼン地球】(現・「【Repezen Foxx】」)」「チャンネルがーどまん」「てんちむCH/ tenchim」「世界のヨコサワ」のような継続して見ていくチャンネルが人気を獲得しているなという印象です。その頃から「チャンネル登録者数〇〇万人目指します!」みたいなYouTuberが増えたと思うのですが、これも一種のストーリーと言えます。

そして、数多くの人気チャンネルがひしめき、ただ面白いだけでは見てもらえないというフェーズにある現在は「ポジション戦略」。YouTubeもTikTokも、そのチャンネルがどんなポジションにあるものかを踏まえた上で企画を練り、さらに企画単体ではなく、チャンネル全体として推してもらえるような設計が必要とされています。目に見えない雰囲気をまとうことが大事で、ブランディングと言ってもいいかもしれません。企画単体は面白いが単発的になってしまうといった課題をチャンネル全体のポジション戦略で解決していく。点と点をつなげて線にして、その線を太くしていくようなイメージですね。YouTube全体の中での競争というよりは、同じジャンルのチャンネルの中での競争というイメージです。

──ポジション戦略における具体的な設計を教えてください。

ジャンルにもよるので一概に細かな説明をすることは難しいのですが、「そのチャンネルで何が見られるかを一言で簡潔に説明できる」といった基本的な考え方は大事にしています。特に芸能人のチャンネルであれば、そこで与えるイメージがパーソナリティーにも直結するので、いかに愛されるか、いかに推されるかという印象づけは重要です。その点で、四千頭身はSNSでの人気獲得が芸能活動の弾みになったタイプなので、広く人気を得ている現状には手応えを感じています。

──YonTubeで昨年公開された「香水」のカバーや「Make you happy」のMV完全再現は1,000万回視聴(2021年11月現在)に迫る勢いです。ヒットの要因を分析すると?

「Make you happy」のMV完全再現では、以下の3つのポイントが挙げられます。

1. 完全再現へのこだわり
2. 応援してもらえるストーリー
3. より多くの人に見てもらうための仕掛け

まず、前提として「完全再現」へのこだわりがあります。今でこそ、流行った曲を「歌ってみた」「踊ってみた」で再現する企画は鉄板ネタですが、完全再現となるとそこまで多くなく、細部までこだわって完全再現できれば絶対にバズるはずだという確信はありました。NiziUはメンバーが9人。四千頭身は3人なので、残りの6人をどうするか。ダンサーを入れるのか、それとも後輩芸人と一緒にやるのか。検討した結果、後輩芸人を入れて、下手だけど全力でやるほうがお笑いっぽいなという判断に至りました。

ただ、四千頭身ファンのマインドを考慮すると、知らない後輩芸人がいきなり入ってきて一緒に踊っていても没入できないですよね。それならば、オーディションを通して応援してもらえるストーリーを作ろうと。MVの完全再現だけでなく、その前段階のオーディションから再現すべくYonTube初の大型企画として「Gozi Project」を立ち上げ(2020年9月1日公開)、1カ月にわたる「GYPオーディション」を経てGoziUとしてデビューするという過程を見せていきました。

とはいえ、単純にオーディションをやるだけだと、既存のYonTube視聴者にしか見てもらえない。当時のYonTubeの平均再生回数が10万〜15万回だったので、それ以上の広がりを生み出すにはどうしたらいいか。そこで、実際のNizi Projectと同じようにチームミッション課題曲として、2PMの「Heartbeat」とTWICEの「Feel Special」を踊ってみることで、K-POPファンにもリーチできるようにしました。

当時、「スッキリ」では毎日のようにNiziUの映像が流れていましたし、「めざましテレビ」ではバズったYouTubeコンテンツを紹介するコーナーがあり、その両方で取り上げてもらったことも大きな後押しになりました。

そして、満を持して迎えたMV完全再現の公開日(2020年10月3日)。YouTubeの急上昇ランキングに入れば完璧でしたが…その日はランク入りせず。翌日の10月4日には、リアルイベントでコアファンにも満足いただけるようにと「『GoziU』~四千頭身ライブ~」を控えていたので、急上昇ランキングに入らず「スベった!」と思ったんですけど、その後ジワジワと伸びていき、想定を大きく上回る1,000万回視聴に迫るまでになりました。

日本からも世界規模のヒットを生み出せるような、熱量あふれる場所を5年以内に作りたい

──バズる/バズらない、ヒットする/ヒットしないを分けるポイントは何なのか?クリエイターであれば誰もが直面する難題の一つだと思います。ダンプさんご自身の経験を踏まえると、その分岐点はどこにあると思われますか?

僕はセンスよりも、「熱量」と「こだわり」が大事だと思っています。Gozi Project では、Nizi Projectでおなじみのキューブを3Dプリンターで再現して「四キューブ」として登場させました。そういった細部までこだわることで、コンテンツに想いが乗るんですよね。自分が面白いと信じた企画に対して、どこまでタイミングよくアクセルを踏めるか。熱量を込めて、その先どこまでこだわれるか。これはすごく大事だと思いますね。

センス、瞬発力、発想力はもちろん重要ですし、そういった才能あふれるクリエイターに対する憧れもありますが、僕は分析力を武器に勝負しています。「コロナ禍の今だから」「今、これが熱い」といった世相や空気の中で、風を読むのが好きなんですよね。そうやって蓄積した分析が自分の引き出しとなって、着実に増えている実感はあります。

──わずか数年でSNS発信のエンタメは大きく成長しました。今後はどうなっていくと予想しますか?

エンタメを取り巻く環境においてはさまざまな垣根が取り払われていて、特に「ジャンルの垣根」と「テクノロジーの垣根」が顕著だと感じています。今後もその勢いは加速するでしょう。

僕が活動を始めた2017年当時、放送作家はテレビの仕事に専念していてテレビ以外の仕事は邪道というような時代でした。この4年でそういった風潮は薄れ、テレビの最前線で活躍しながらYouTubeやTikTokの仕事にも積極的に取り組む放送作家が数多くいます。さらに、一億総クリエイター時代と言われるように一般の人もYouTuberとして活躍できるので、負けられないという思いは常にあります。

テクノロジーの発展も目まぐるしいですよね。コロナ禍でエンタメ業界全体が危機に直面しましたが、さまざまなテクノロジーを活用することで新たな領域に踏み出しています。仮想空間でのライブも現実のものとなり、いよいよ「縛りなし」のエンタメが実現する時代が訪れる。そのとき、自分に何ができるか。作家としての企画力や台本を書く能力も大事ですし、全体を俯瞰するプロデューサー視点も必要です。この大きな転換期の中で、原動力となるエンジンを強靭なものにしていきたいと考えています。

──そういった未来予想図を踏まえたダンプさんの今後のビジョンはありますか?

この先1年くらいはTikTokやYouTubeショートといった短尺コンテンツに力を入れていきたいと考えて、この領域を開拓していることころです。俳優のウィル・スミスさんがTikTokで公開した動画のクオリティーがスゴすぎると2年前に話題になりましたが、短尺コンテンツはまだまだ未開拓で円熟期を迎えるのはこれから。僕は短尺コンテンツを作るのが得意で、「マスクをしようとしたらヘッドホンをしてた」というYouTubeショートの動画がけっこうバズって、2021年上半期のYouTubeショートの再生回数ランキングで8位に入ったんですよ。これはまさに分析力で制作したコンテンツで、短尺だからこそ分析も生かしやすく、刺さりやすいんですよ。

さらに5年以内を目標に、BTSのような世界規模のヒットを日本からも生み出したい。BTSの活躍は本人たちのスター性はもちろんですが、韓国が国を挙げてエンタメ業界をバックアップしている背景も大きいですよね。同じようにはいかないからこそ、日本からはどうやったらBTSが生まれるのかを分析して、そういった土壌を作りたいと思っています。

──先ほど挙げていただいた「ポジション戦略」で言うと、韓国のエンタメコンテンツは世界を席巻し、今やブランドとして確立されている感があります。さらに、ヒットにつながる「熱量」と「こだわり」という点においても群を抜いています。これほどまでにポジションが確立されると、その先の広がりが格段に違ってきますよね。

本当にそうですね。話題のドラマ「イカゲーム」の成功も戦略による部分はかなり大きいですし、緻密な戦略があれば日本のエンタメにも可能だと思っています。そのヒットを生み出す場所を5年以内に作りたい。そして、常にいちばん熱のある場所にいられるようにしたい。その熱のある場所が、ここ数年はYouTubeであり、今現在は短尺動画であり。そして、5年以内に自分たちの手で世界的ヒットを生み出せる熱量のある場所を作る。これからも熱い場所を追い求めて、頑張っていきたいと思います。

■本記事のTIPS

・今、SNSで支持されるコンテンツには「ポジション戦略」が重要
・コンテンツに込めた「熱量」と「こだわり」が、ヒットの分岐点になる
・「ジャンルの垣根」と「テクノロジーの垣根」がなくなり、新たなエンタメの時代が訪れている

■PROFILE■
ダンプ(@morishin_db
コンテンツ作家。1996年生まれ、北海道帯広市出身。
YouTubeプロデュース、TikTok・shortsコンテンツ作家、テレビ構成作家として幅広く活動。四千頭身、丸山礼、土佐兄弟といった人気お笑い芸人のほか、数多くのYouTubeチャンネルを手がけている。四千頭身のYouTubeチャンネル”YonTube”の「Make you happy」MV完全再現では、GoziUメンバーの一人として出演しているので要チェック!

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Writer:龍輪剛













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