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Z世代で大ヒット『オオカミ』シリーズも輩出!ABEMA編成・制作局長が語る「ABEMAの急成長を支えた"4つの強み"」
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Z世代で大ヒット『オオカミ』シリーズも輩出!ABEMA編成・制作局長が語る「ABEMAの急成長を支えた"4つの強み"」

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サービスローンチから5周年を迎えた新しい未来のテレビ・ABEMA。日本の10代・20代女性の70%以上が視聴する『オオカミ』シリーズ(※1)をはじめとした恋愛番組や、緊急速報など24時間放送のニュース、アニメ、スポーツなど多彩な番組を取り揃え、快進撃を続ける同サービスについて、株式会社AbemaTV 執行役員・ABEMA編成局長兼制作局長の谷口達彦さんにインタビューを行いました。

※1 ABEMA社調べ。2018年1月以降の『オオカミには騙されない』シリーズを視聴した重複を含まない10代から29歳女性視聴者を対象とし、日本の10歳から29歳女性の総人口割合から算出 出典:「人口推計」(総務省統計局)

同時性や無料であること……ABEMAの強みを活かして「新しい未来のテレビ」を作る

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――まずはABEMAがスタートした背景と、5年経った現在の“答え合わせ”をお願いできますか?

もともとは、Netflixなどの外資系サブスクリプションサービス・動画配信サービスの隆盛を受けて、テレビ朝日さんと話しながら、“日本のメディア、特にテレビ局が今後どう戦っていくべきか”というところからABEMAの構想は始まっています。「テレビを再発明する」というコンセプトは、これまでの5年間も、この先も変わらないですね。僕らの強みは「報道、生放送、同時性、無料」だと思っていて、それらの達成という視点で考えると、順調な5年間だったと思います。

――人気コンテンツの登場は、プラットフォームのあり方にも大きく影響を与えたと思いますが、そのあたりはいかがですか?

自由度の高い編成なので、今までは編集されていた、例えば将棋の対局などもABEMAならずっと中継できますし、緊急ニュースも通常のニュースチャンネルとは別のチャンネルで取り上げることができます。もともと「時間や場所、編成から解放されるサービス」というコンセプトがあるので、そのときどきでみんなが見たいコンテンツを放送しているという意味では、そういったコンテンツが出てもブレないプラットフォーム作りはできていたのかもしれません。

――この5年を振り返って、谷口さんやABEMA全体にとってターニングポイントとなった出来事は?

4つありますね。まずはテレビ朝日さんと連携した「報道」、そして「恋愛番組」、スポーツを含めた「中継」、あとは「話題化」がそれぞれキーワードです。

――順番にうかがっていきましょう。まずは「報道」ですね。

緊急ニュースや災害、芸能関連など、あらゆる国民の関心ごとを余すことなく即座に中継・配信するようにしています。この5年の後半くらいから、「なにかあったらABEMAでニュースを見よう」という流れを構築できたかなと思っています。これは大きな価値になりますし、今後も続けていくべきことですね。

――テレビだと編成上、急遽別のものを差し込むのは難しいですからね。ABEMAさんだと速報性をもって映像とともにノーカットで中継できるところが、選ばれる理由のひとつなのかもしれません。

いろんな制約があるので仕方がないんですが、切り取られた言葉だけじゃなく、前後の文脈も知りたい視聴者にとってはすごくいいですよね。

――『ABEMA Prime』などの独自ニュース番組は、テレビのワイドショーとは違った方向性や切り口だという印象です。

地上波やニュースサイトで取り上げられているニュース以外に、いま伝えるべきものや、出演者が話したいことを、自分たちの目線で、自分たちのターゲットに向けて話すという指針のもと制作しています。話題のトピック以外を扱っていることで、リアルタイムで見てない方もYouTubeなどを経由して視聴し、新しい論争が生まれる流れもあります。これは今後も力を入れていきたいですね。

――なるほど。それでは次に「恋愛番組」についてうかがいます。これはやはり『オオカミくんには騙されない』をはじめとした『オオカミ』シリーズのヒットが大きかったのでしょうか?

そうですね。もともと地上波でも若者向けの恋愛番組はありましたが、僕らがABEMAを始めたころは、そういう番組が少なくなっていたんです。価値観が多様化しているとはいえ、根本的な恋する気持ちは変わらないですし、あとはカリスマカップルがインフルエンサー化している状況なども仮説に入れて、「オオカミ」を作りました。その結果大ヒットとなって、世の中になかったけど根本的に求められているコンテンツであるということがわかったので、もっと力を入れていくことになったんです。

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――恋愛番組に関しては、『オオカミ』シリーズや『今日、好きになりました。(以下『今日好き』)』、『恋する♥週末ホームステイ』といった10代向けのものと、『私たち結婚しました』や『隣の恋は青く見える』などの20代、30代向け番組の2軸があると感じました。そのように分岐していった背景を教えてください。

『オオカミ』シリーズや『今日好き』は、もともと高校生に狙いを定めていたコンテンツなんです。でも海外で人気の恋愛番組って大人にも楽しまれているので、分岐していったというよりは、“恋愛番組拡充”の意味合いが大きいですね。新しいターゲットを捉えにいくべきという思いは昔からあって、より広い層に向けて制作する中で、それぞれが大事にしている価値観や潮流を、自分たちなりに分析しています。

――『私たち結婚しました』、『隣の恋は青く見える』などでは“結婚”がテーマになっているのも、その結果なのでしょうか。

大人になると、恋する気持ちみたいな純粋な感情だけだと、なかなかコンテンツの世界観に没入しにくいんですよね。だから結婚や結婚前の複雑な感情、見ている人の人生に直結するライフイベントや、スルーできない現象を捉えなければと思っていました。

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『私たち結婚しました』に関しては、スケール感のある恋愛番組を作りたいという思いが以前からあったんですよね。“芸能人の恋愛”というテーマで考えていたのですが、名のある人になるほど当然リアリティを失うので、なにか良い仕組みがないかと模索していたときに、このフォーマットを見つけました。その後、この世界観を最大限に視聴者に届けていく時のパートナーとして、漫画家の東村アキコさんが思い浮かんだんです。要するに、漫画のような設定があり、大人でも一気にその世界観に没入できる感情が重要だと思ったんですよね。設定はあるんですけど、その中に本人たちの心の変化とか、関係性が深まる出来事とか、リアルな部分も入りまじっているのがヒットの理由かもしれません。

――視聴者もあれが擬似恋愛だとわかってはいるけれども、そういう気分で楽しんでいますよね。恋愛漫画のように、リアルだけどリアルじゃない、独特なおもしろさがあります。

リアリティとドラマの間のような感覚で楽しんでもらえる作品だと思っています。自信をもってみなさんに届けられるコンテンツですね。

――次は「中継」についてですが、最近ではMLBの試合など、地上波ではフォローできないところまでABEMAが取り上げていますよね。

テレビでは最初から最後まで放送できないけど、競技として素晴らしいジャンルには積極的に挑戦したいですね。将棋、格闘技、麻雀などは、順調に視聴数が伸びています。ゼロから作るエンタメだけじゃなく、もともとファンがいるジャンルをABEMAで全部中継して、話題の発信源となれているのはすごく価値があることだと思います。大谷翔平選手の活躍もあり、いまMLBの中継がABEMAで多く見られているので、普段野球をあまり見ない若者たちにもリーチして、少しでもジャンルの裾野を広げられたらいいですね。国民の関心ごととしての度合いが上がっていくときに、同時性や無料で提供することは大いにその価値を発揮してくれます。

最後の「話題化」は、視聴者が「なるほど、でなくまさか!」と言ってくれるような単発的に大きいお祭りやイベントのような特別番組を企画・制作するということです。

――より多くの人に見られるプラットフォームとなりましたが、コンテンツを仕入れたり、オリジナルで制作するにあたって意識していることはありますか?

オリジナルで若者向けのものは知見がたまってきていますが、まだ模索中な部分もあります。ただそれぞれのジャンルにおける熱狂の根元をおさえないといけないことは間違いないです。スタッフや演者の本気度や熱は、視聴者にも絶対伝わりますから。仕入れたコンテンツにしてもオリジナルコンテンツにしても、本気でやっているかどうかはユーザーに透けて見える時代だと思います。

――ジャンルのファンの方が見てもおかしいと思われないように、基礎を押さえることは大事ですね。

価値観が多様化していて「マス」として捉えにくい時代なので、その感覚はより重要です。

――そういう意味では、「マスメディア」という言葉をいまの時代に使う難しさを感じます。テレビも誰もが見るものではなくなったし、そのときやっている番組によっても視聴者が変わるわけで。でも、ABEMAではいろんな番組を同時にやっていて、それぞれをいろんな人が見ているという意味では、ある意味「マスメディア」といえる映像プラットフォームなのかもしれません。

その状態がうまく構築できれば、ニッチだけどそれがマス化するみたいなABEMAとしての姿勢をしっかり示していけますし、そこにいる全員に届けられる手法をもつことになるので、仕掛けやすくはなりますね。

“本当に良いものは言語の壁を超える” 世界に通用するコンテンツを作りたい

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――業界の方にインタビューに行くと、「コロナによって時計の針が早く進んだ」という声を聞くのですが、映像プラットフォームに関しても同じことが言えるのではないでしょうか。

自粛期間中はほぼ全ての方に今まで以上の可処分時間があって、海外のものも含め、いろんなコンテンツを楽しめたという意味では、動画プラットフォームの進化が早まったことは間違いないです。人は生活水準を下げられないので、一度おもしろいものを知ってしまったらもう戻れない。ABEMA以外のサービスも含め、動画配信サービスと人がより密接に結びついたと思います。

――この5年をふまえて、次に挑戦したいことを教えてください。

戦略としては「新しい未来のテレビをABEMAが作る」というものです。報道や生放送、同時性などをもっと強化して、とにかく便利で、「ABEMAがないと不十分だ」という状態までもっていかなければならない。そのために、時間・場所の制約から解放して、いま若者が知りたい、見たいと思っているものすべての情報発信源になること。それが今後の展開にあたって目指したい立ち位置です。そうなると、このような独自のポジションで配信しているプラットフォームは他にないので、粛々と一つひとつ確実にやっていけると思っています。

あとは、たった1つのコンテンツで景色が変わるような、大勝負もしかけていきたいですね。もちろん博打にならないように、見定めが必要ですが。

――ここ5年で、Netflixやストリーミングサービス、TVerなど、いろいろ出てきていますが、それをふまえて5年後のテレビのあるべき姿や、その中でABEMAがとる戦略についてうかがえますか?

まずマルチデバイス化が加速して、地上波もTVerのようにネットの活用がさかんになり、海外のコンテンツも容易に消費できるようになりました。芸能人もYouTubeを主戦場にする人が増えてきています。そんな激変の中でも、市場が急拡大していることを考えると、追い風であることは変わらないですね。ただNetflixやYouTubeが来た当初はここまで成長すると思っていなかった人もいたと思うので、改めて時代の波を捉える重要性を感じています。5年先のことをすべて決め切ることはできないですから、俊敏性は失っちゃいけないなと。

1つ言えることは、本当におもしろいものは、どこの国のものであってもすぐに触れることができる時代になってきてるので、質の高いものが支持されて、そうじゃないものが淘汰されるということです。ドラマにおいてもただ尖っているだけじゃなく、明確なテーマをもった上で、日本最高品質の作品を作って、海外に輸出できる状態にもっていくことが重要です。今はそのための生産フローを確立することを考えていますね。

――オリジナルコンテンツにおいては、世界的なクオリティラインを意識して制作していくと。

そこはまだ勝ち筋があるような気がしています。ユーザーが自分ごと化できて、世界中の人々が反応するような品質のドラマを作りたいです。

――オリジナルドラマの『17.3 about a sex』は衝撃的でした。地上波では触れられないテーマで、ABEMAの視聴者層にしっかりとターゲットを絞っていて、まさにこれが今作られるべきドラマだと感じました。

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ターゲットが夢中になって見たいものが何かと考えて、ジェンダーギャップや性教育の遅れなどの社会問題を取り込み、普通の作品とは一味違う心のえぐり方ができる作品を作りにいきました。ただその中でも啓蒙要素の強いものにするのではなく、エンタメに落とし込みたかったんです。

――報道的な姿勢や、ニュース番組「ABEMA Prime」のような問題の取り上げ方、恋愛番組などのオリジナルコンテンツの知見など、ABEMAがもっている強みがぎゅっと詰まった番組ですよね。

そう分析していただけるとありがたいです。

――世界に通用するものとなるとどうしても言語の壁があると思いますが、そのあたりはどう考えていますか?

本当に良い作品が作れたらそこは大丈夫な気がしています。良作であれば、すぐに翻訳されて世界に送り出される時代ですからね。ABEMAがプラットフォームとして世界にいくことと、コンテンツが世界にいくことの2つの道があって、どちらも可能性はあるんじゃないかと思います。

――なるほど。そういう可能性もあるんですね。

今世界各国でコンテンツ獲得競争になっていて、ABEMAも海外のメディアからお声がけをいただいています。実際に一部のコンテンツを提供し始めていますし、一旦は両輪でやってみたいですね。

■本記事のTIPS

・ABEMA成長のキーワードは「報道」「恋愛番組」、「中継」、「話題化」の4つ
・『オオカミ』シリーズのヒットは“世の中にないが根本的に求められるもの”を作った結果
・本当に良いコンテンツは言語の壁を超える。質の高いものが支持されて、そうじゃないものが淘汰される時代

■PROFILE■
谷口 達彦(たにぐち たつひこ)
株式会社AbemaTV 総合編成局 編成局長 兼 制作局長
2006年、新卒でサイバーエージェントに入社。社長室を経て、「Ameba」の宣伝担当、2011年にアメーバ事業本部マーケティング・プロモーションDiv ゼネラルマネージャー。2013年に株式会社アメスタを設立、代表取締役社長に就任。現在は株式会社AbemaTV 総合編成局にて、「AbemaTV」オリジナル番組制作の責任者を務める。


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Writer:中村拓海
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