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FIREBUG・スクー代表対談。レガシー産業のDXに必要なことは「論理」よりも「感情」や「コンテクスト」

株式会社FIREBUG
当社はエンタメの力で、スタートアップ企業のマーケティングをメインにさまざまなビジネスサポートを行ってきました。スタートアップ企業が直面する課題、FIREBUGだからこそ提案できるソリューションを、事業成長の後押しとなった事例を交えて紹介する対談企画「Startup STORY」。

第5回のゲストは、オンライン生放送学習コミュニティ「Schoo(スクー)」を展開する株式会社Schoo代表取締役社長CEOの森健志郎さん。今回は森さんがスクーを創業した理由、オンライン学習の可能性について話を伺います。

オンライン生放送学習コミュニティを立ち上げることにした原体験

佐藤:森さんがスクーを立ち上げようと思った経緯について教えてください。

:まずスクーについて説明します。私たちは“オンライン学習”を通じて、社会人が学び続けられる社会を目指し、生放送を活用した双方向型の動画学習サービスを提供しています。個人向けとしてスタートし、現在は法人、高等教育機関、地方自治体と提供先が広がっています。ただ、やっていることは創業時から変わっていません。

創業の経緯は前職時代の経験がきっかけです。前職はリクルートコミュニケーションズにいまして、入社2年目の終わりに会社でeラーニング研修を受けることになったんです。その内容はマネジメントとロジカルシンキングについて、10時間ほどの動画を見て学ぶというものでした。個人的にもすごく学びたい内容だったので、楽しみにしながらeラーニング研修を受けてみたら、想像と違って全く面白くなかったんです。

当時、ニコニコ動画が好きだったこともあり、eラーニングもひとりで受講するのではなく、同期と一緒になって学んだり、一緒に受講している人たちとやり取りしながら学べたりしたら、最後まで楽しく学べたはずだろうな、と思いました。
その出来事がきっかけとなり、現在の事業の原型を思いつきました。それで勢いのまま「起業しよう」と思い、翌日に退職届を出し、スクーを2011年10月に創業しました。

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佐藤:創業からの10年間を振り返ってみて、想定どおりだった部分、逆に想定とは違っていた部分などはありますか?

:起業したときから、特に何も想定していなかったんです。決してスタートアップに興味があったわけではないですし、当時は外部から資本参加してもらうことも一切考えていませんでした。とにかく「今のサービスをやりたい」という思いしかありませんでした。

そうした中、最初にサービス上で提供する学習ジャンルは「自分がユーザーになれる分野がいい」と思い、『スタートアップ』や『起業』というテーマに絞ったんです。振り返ると懐かしいですが、最初の頃は家入一真さん(CAMPFIRE代表取締役社長CEO)、古川健介(アル代表取締役)さんといった人たちに出演してもらっていました。
そういった人たちから講義を通して話を聞いていくうちに、外部から資本を入れてもらい、成長を目指す方法もあることを学び、今に至っています。正直何も想定していなくて、やりたいようにやって行き着いた先が“今”だった。そういう感覚です。

佐藤:弊社も創業から今に至るまでの歩みを振り返ると、「ここが分岐点だったな」と思うターニングポイントがいくつかあるのですが、森さんの中で振り返ってみて「ターニングポイントだったな」と思うときはありますか?

:いくつかあります。創業期に近いターニングポイントで言えば、1年目の終わりのタイミングで外部から資本をお預かりし、個人経営の会社ではなく、世の中に大きなインパクトを与える会社にする、という意思決定をしたことですね。

あのときの意思決定がなければ、今のスクーはないと思っています。当時はANRIとインキュベイトファンドに出資してもらったのですが、何度か追加投資もしてもらっていて、今では10年ほどの付き合いです。人生を大きく変えるターニングポイントだったなと思います。

事業を10年続けるために必要なマインドセット

佐藤:改めて創業から10年続いているのはすごいですね。事業を長く続けていくために意識していることなどはあるのでしょうか?

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:自分は基本的にはやりたいことをやりたいようにやっているだけです。そういう意味では“無理をしていない”ことが長く続けられている秘訣なのかなと思います。
起業すると周りから「こうすべき」といった声をかけられると思うのですが、自分はそういった声に全く興味がないんです。自分がやりたいことをやっているだけということもあり、創業してから一度もやめたいと思ったことがありません

やりたいことを自分で裁量を持って、自分の責任で意思決定する。それが自分にとっては少なくとも一番幸せなことです。もちろんその過程でツラいこともありますが、自分が納得してないこと、自分が決めてないことを誰かにやらされるよりかは全然良いです。

佐藤:それが自分の幸せだと気づいたのはいつですか?

:新卒で入社したリクルートコミュニケーションズは自由な会社で、いろんなことを好きにやらせてくれました。ただ、それでもキツかったんです。2年くらい働いてみて、「自分に会社勤めは無理だな」と思ったことが大きかったと思います。

佐藤:今でこそライブ配信、DXという言葉が使われるようになっていますが、10年前はそんな言葉もなかったと思います。当時は「そういう時代になる」と思って事業を展開していたというよりも、自分の感覚でやっていたら時代が変わってきた感覚に近いのでしょうか?

:個人的に起業家には2種類のタイプがいると思っています。ひとつは世の中の流れや変化を読んで、「こうなるだろう」という考えのもとサービスを当てにいくタイプ、もうひとつは世の中は「こうあるべきだ」と考えて時間をかけてでもやり続けるタイプです。

自分は後者のタイプの起業家です。自分自身がやりたいことはサービスを当てることではありません。どうなるか分からないけれど、「絶対にこうあるべき」という世の中を作っていくために事業を愚直に推進していく。「自分がやってきた仕事は死後に評価されるくらいがちょうどいい」と思っています。

コロナ禍でオンライン教育のニーズが高まり、市場全体が盛り上がっています。ただ、そうした出来事があろうがなかろうが、自分たちがサービスを通じて実現したい社会の姿は昔から変わっていません
自分は誰かに評価されたい、お金持ちになりたいという感情が極めて希薄です。サービスを当てたい、ランキングに選ばれたいといった感情で動いているわけではなく、社会の仕組みを変えていくことを目指しているので、コロナ前のオンライン教育に対する風当たりが強いときも、今もモチベーションは変わっていません

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DXに必要なのは「論理」よりも「感情」や「コンテクスト」

佐藤:レガシーな産業をDXしていく上で、考えておくべきことはありますか?

:デジタル化するための理屈はたくさんあると思いますが、産業の中には非デジタルな環境ながら強い思いを持って仕事に取り組んでいる人たちがいる。そうした人たちの価値観や主義を理解することが何より大事だと思っています。

社会がどうなる、人類がどうなるといったことを語り合うことは大事ですが、それだけでは人は動かないし、世の中は変わりません。教育業界は目の前の人に勉強を教え、教育を通じて世の中を良くしたいと思っているけど、Zoomのようなテクノロジーは使いこなせない。そういった人たちがたくさんいる産業です。

産業のDXを進めるにあたって、こちら側が何かを強引に押し付けるのではなく、相手の立場を尊重した上で少しずつ変えていくことを忘れないことが大事です。

佐藤:Zoomなどのテクノロジーの良さは“効率化”にあると思っています。例えば、コロナ前は会議のために往復2時間の移動時間を費やしていましたが、いまは移動時間が必要ありません。そうした変化を踏まえたときに、昔は給与が高い、地位が高いことが価値基準だったと思いますが、今は好きなことを実現できるかが価値基準になっています。

好きなことを実現するためには何より時間が重要な財産になってくる。自分の持っている時間の効率化を考えると、オンラインで出来るものはオンラインにすることが当たり前になっていくと思うので、今後デジタル化はもっと進んでいく気がしています。

:DXを進めるにあたって、論理的に“やるべき”と判断する側面もあると思います。ただ、スクーは2015年から大学のオンライン化に取り組む中で、論理よりも感情や文脈(コンテクスト)の方が大事だなと思いました。結局、一人ひとり幸せに生きたいと思っているわけじゃないですか。それをインターネットを使って拡張していきたい。

例えば、どんどん効率化することが是とされてきていますが、人によっては時間をかけることの方が感情的に幸せなこともあるわけです。1時間をかけて大学に通うことで、友だちに会えたり、授業が休講になったりするなどのイベントが起きる。そういったコンテクストや感情の方が論理よりも大事なのではないかな、と思います。

いまはコロナ禍で一気にデジタル化が進んでいる状況です。ただ、コロナ禍が落ち着いていくのと同時にDX事業者が考えないといけないのは、コンテクストや感情も汲み取ったデジタルとの融合です。それは現場のお客様と接していて、強く思いますね。

佐藤エンタメ業界に関しても絶対に変わらないと思うのはライブ(コンサート)体験です。コロナ禍でオンラインライブが増えたと思いますが、最近少しずつオフラインのライブも復活してきています。実際、オフラインのライブに足を運んでみたのですが、空気感やサウンド、拍手などの臨場感も含めてオフラインの方が圧倒的に良い。そこに関しては現状のテクノロジーでは代替できないなと感じました。オフラインのライブの方が幸せだと感じる人の絶対量が多いからオフラインは絶対減らないですし、反動で市場自体が大きくなるのではないかと思っているほどです。

何でもデジタル化するのではなく、デジタル化の基準を人が幸せと感じる、楽しいと感じることに設定しておかなければ、本末転倒な結果に終わってしまうのかなと思います。

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:最近は“メタバース”をはじめとする仮想空間盛り上がっているじゃないですか。教育の現場でもVRを活用した教育、研修などはテーマとしてありますが、エンドユーザーの学生が今求めているテクノロジーはメタバースやVRではなく、位置情報の共有アプリ「Zenly」などで友達にすぐ会いに行けたり、飲みに誘ったりできるものではないかと思うんです。

世の中の大きなトレンドや資本家たちが持っていきたいテクノロジーの方向に対して、学生や現場で教えている人などエンドユーザーの感情が追いついていない。最終的には仮想空間やそこで生まれていく新しいイノベーションも大事になると思います。ただ、コロナ禍で急速にデジタル化が進んでしまったが故に、社会の流れで進んでいるデジタル化と、現場で求めているデジタル化の剥離が大きくなってしまっている。そこをDX事業者はどう仲立ちし、いかに繋ぐか。そこが大事になると思います。

社会人が気軽に大学や大学院に通い直せる社会を目指す

佐藤:ありがとうございます。最後に今後のスクーについても教えてください。

:基本的にやることは変わりません。学び続けることで一人ひとりが可能性を発揮したり、社会課題を解決していけたりする社会の実現を目指していきます。
事業に関しては個人向け、法人向けは成長軌道に乗っているものの、新規事業の“大学のDX”をどう垂直に立ち上げていくか。短期的にはそこにパワーを割かなければいけないと思っています。

ただ、将来的に考えているのは居住地域にとらわれず、社会人がもっと気軽に大学や大学院に通い直せるような社会にすることです。日本は先進国の中で大学に通い直す大人が少ない国。少子高齢化になっていく中で大学が生き残っていくためにも、一人ひとりが技術進化に対応して新しいことを学び直し続けられるようにするためにも、大学にもっと通い直せる社会にしていかないといけません。

スクーは2400社の法人研修、自己研鑽のための学習の学習環境を構築するお手伝いをしていますし、大学のオンライン化や地方における学習環境の整備の手伝いもやっている。両軸を手がけているからこそ、気軽に大学や大学院に通い直せるような社会にしていける。toC、toB、DXを伸ばしつつ、将来的にはすべてをつなぎ、社会人が一生学び続ける世の中にしたいと思っています。

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