![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88667930/rectangle_large_type_2_b24c821607cae754bc62f6747441ce04.png?width=800)
Photo by
dennabe
幸せになりたい行進曲
僕は幸せになるのが怖い。
というより、自分がいま幸せであることを認めたくない。
過去の僕には居場所がなく、コンプレックスにもがいていた。しかし今は相談できる友人が居て、趣味や打ち込むものもでき、居場所が複数ある。そして数年にわたる壮絶な戦いの結果、ついにコンプレックスを札の貼られた炊飯器に閉じ込めることに成功してしまった。
そのとき、戦う相手がいないのがこれほど不安なのかと驚愕した。戦いたい敵と戦う以外に生き方を知らないのだ。もしバイキンマンが居なくなったら、アンパンマンは毎日をどう過ごすのだろう。
だから僕は、まだ不幸である。幸せになったという事実がときに襲ってくるけれど、見て見ぬふりをする。炊飯器をぱかぱか開けてコンプレックスを呼んでみるけれど、返事はない。何を仮想敵とみなしても、今までのように怒れないし悲しめないが、泣き叫ぶふりをする。
僕が幸せになるのはいつで、どんなきっかけなのだろう。そんなことを考えている時間が希望と期待に満ちていて、やはり自分は幸せなんだと自覚してしまいそうになる。
僕は多幸感あふれる不幸な人間なのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?