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【読書日記】行動経済学大全 / 中川功一

 最近なぜか自分の中で盛り上がってるのが、「行動経済学」とか「認知バイアス」という言葉。プレジデントか何かで知ったのがきっかけで、人間の心理でつい行動してしまうアレとか、不安になるアレの現象に、名前がついてるんだという興味と関心から、そういう本を色々読むようになった。

とにかくイラストが多く読みやすい


 この本を書かれたのは、ビジネススクールも開催されている東京大学経済学博士で、経営学者の中川功一さん。序文でも書かれている通り、「ビジネスの現場で使いこなせる」「この本を読んで効果が出たという感想を持ってもらえる」というコンセプトで、2P見開きで一項目ずつそれぞれの効果・法則について書かれているので、めちゃくちゃ読みやすい。
 しかも、右側には大きくイラストで、こんな現象というのがあるあるで表現されていて、読解力に不安がある人でも思わず納得してしまう。まさに行動経済学大全と謳っておきながら、初心者向けにわかりやすく解説された良書でした。


 行動「経済学」という分野だけあって、我々がお金を払うときのアクションだったり、同じようなものの中からなぜこれを選んで買ったかとか。はたまた、物の価値ってどういう尺度で決まるのかというような、金銭にまつわる行動は唸るくらい納得。
 読み進めるうちに、人間関係に役立つ行動経済学や、より良く生きるための行動経済学など、仕事をするうえで役立つ人間心理についても網羅されていて、組み立てがとてもよく構成されています。

日本の幸福度が低いのも、行動経済学で説明できてしまう事実


 目からウロコだったのが、『選択のパラドックス』の項目。
 よくSNSとかワイドショーで話題に出る「日本の幸福度ランキングが、途上国や他の先進国よりも低い」というニュース。日々の生活の不満や高すぎる税金と結びつけて政治批判している人々さえいます。なぜ福祉や医療が充実している日本が低くて、ブータンやフィンランドといった普段よく知らない国が上位に来るかというと、人間は生きてるうちに選択肢が多いほど不幸を感じてしまうという性質があるらしく、自由であるがゆえに不幸だと認識してしまっているからというのです。
 それを認識したうえで、幸せになりたいのならば、あえて情報や選択肢がない環境で生活することが良い場合もあるというのが、人間ってつくづく複雑で悲しい生き物なんだなぁ…なんて感じたりもします。

仕事や人間関係がしんどいなぁという人に読んでほしい


 仕事の進め方や人間関係、浪費癖で悩んでいる人などは、個と個の関係が原因で、自分または他人に非があると思いがちですが、この本を読むと「なんや、パターンやったんやん」と心を落ち着かせることができるはずです。また「そんなバグみたいな行動心理もあるの?!」とハッと気づかせられる部分もあり、経済活動を営む人必見の書だと思いました。日々のストレスの4割くらいは、「ハイハイ、行動経済学、行動経済学(笑)」とやり過ごせるようになると、生きるのが楽しくなるかもしれません。それだけでも、この本買った価値ありです。




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