「ぼくが電話をかけている場所」の感想文
レイモンド・カーバー著、村上春樹訳「ぼくが電話をかけている場所」を読みました。
この作品は村上春樹さんの改題で「短編集の白眉ともいうべき見事な作品である。」、「これから読みつがれていく作品のひとつになるだろうと思う。」と紹介されています。しかし、初めて呼んだときの感想は「他の作品のほうが面白い」でした。そこで翻訳と原文を2回ずつ読んでみて、気が付きました。これは喪失の物語だと思います。
アルコール依存症の問題を抱えた登場人物たちは家族と離れて生活しています。クリニックの責任者のフランク・マーティンもアルコールで失くした知人がいます。それぞれのエピソードに喪失があり、オブセッション(執着)のようにひとつに繋がっているように思います。それを見つけるためにペーパー・バックの原文を探して、ようやく気づきました。とても時間が掛かりました。
数年前に英会話教室のスタッフに「10年後には小学生も英語で雑談をします。乗り遅れないように英会話の勉強を始めるべきです。」と騙されてから英語にハマりました。
「読書が趣味で最近は芥川龍之介全集を読んている」、「テレビはNHKとBBCしか見ないので、明石家さんまの存在は知っているけど、観たことはない。」そんな生徒と同じことは絶対にやらないだろうと思っていました。しかし、確実に同じ方向へと向かっています。明石家さんまは大好きで、いまでもよく見ますけど。
図書館で原文を読み終えたあとは非常に疲れました。疲労回復のために近所のバナナ専門店でクレープを食べようとお店のドアを開けたら、「すいません。3時まで休憩なんです」と言われました。完全に「やっちゃいました。」
作品の登場人物たちも自分も「やっちゃいました」の連続です。だからこの作品が好きです、そして、意外と「やっちゃっている時」の中心にいる時は周囲がよく見えないので、この作品がお気に入りになるのに時間が掛かったのかもしれません。
#読書感想文
#休日のすごし方
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